指導者が語る合格指南

TOP > 指導者が語る合格指南 > 国語科主任 立脇 裕一

国語科主任 立脇 裕一 国語で万能の論理力を磨く!

緻密な入試分析が 能開の“論理主義”国語を支える

「国語力」って、捉えにくいものですよね。その国語に、能開ではどのようなアプローチをしているのですか?

はい。国語への一般的な取り組み方が説明の乏しい“直感主義”だとしたら、能開は明快に説明しようとする“論理主義”ですね。能開では、国語は論理力を磨く教科だと考えています。ですから、私たちの指導の前提となっている入試問題分析ではスサマジイことになっていまして…(笑)。

えっ、どういうことですか?

入試問題の難度分析を深めているのですが、解答を得るためにどんな読解スキルが要求され、さらにいかなる解答スキルを駆使しなければならないかを詳細に解析してみますと、「読解」軸で4領域・全33スキル、「解答」軸で6領域・全16スキルを抽出できました。このかけ合わせで、1問1問、問題難度を定義していっているのです。もう、とてつもない作業でして、笑うしかありません(笑)。

大変な作業ですね。

そうです。でもそれによって、あいまいだった国語の読解プロセスが、またひとつ明らかになっていく。そしてその成果をテキストやテストなど教材に、また毎日の指導に活かしていけるのです。

言葉の“経験”を積む、「なぜ」の論理で文章を読む

「論理力を磨く」ということですが、どんな指導をしているのですか?

文章読解には、2つの力が必要です。語彙力と論理力です。
まず語彙力は、オリジナルの「ことばと漢字」テキストと漢字検定対策用の市販テキストで基礎学習を積み重ねていきます。その上で、受験学年になれば「漢字の完成」という入試データに基づいた頻出2000題の問題集で実戦的に仕上げていきます。
言葉を理解するには、言葉の“経験”が必要なのです。「悪い」や「寒い」の意味を理解し漢字が書けても、「オカン」や「悪寒」なら書けないし読めないし意味もわからないということがあります。「オカン」や「悪寒」に出会っているかどうか、それが決定的な分かれ目になります。だから、テストでも意図的にこんな言葉を出題し“経験”を積ませていきます。

なるほど、理屈が通っていますね(笑)。

次に論理力ですが、ズバリ“読み方”を体得させていきます。選択肢問題であれ、記述問題であれ、能開では一人ひとりに「なぜその答えを選んだのか、書いたのか」を厳しく問いつめていきます。文章に基づいて、その理由を見つけさせます。
「なぜそれを選んだのか」とたずねると、初めは「何となく」と子どもたちは答えます。しかし、それを私たちは許さないのです。「でも、それを選んだ理由があるだろう」と水を向けると、「ああ、ここに主人公が涙を流していたと書いてあるからかな」といった具合です。自分の行った思考をたどり直させるのです。理由を合理的に言葉で説明できること、これが“論理力”です。

一人ひとりに“読み方”を体得させていく努力

うむ。先日、NHKのテレビで「言語技術」という論理力を鍛えるトレーニングが紹介されていました。それと共通するところが多いですね。

そうですか。で、次に解答を確認し、自分の答えと違っていたら、なぜそれが正解なのかを考えさせます。先程と同様に、文章の中に理由を見つけさせます。これで、自分の答えの理由と正解の理由がそろいました。2つを比較させ、その距離感をつかませます。こういう練習をくり返して、習慣づけるのです。
テストの後に使う学習ツールに「読解サブノート」があります。1問ごと、答えの理由が書き込めるようにしてあるものです。宿題でも、単に解くのではなく、その答えの理由を書かせます。間違っていれば、解答を見て、解答の理由を書かせています。国語のノートはこの作業がしやすいように、区切って使います。

でも、それこそ一人ひとり、思考のプロセスが違っているでしょう。

そうです。だからこそ、ノートを回収し、一人ひとりに合った添削指導をして、返しているのです。論理の筋道のたどり方を一人ひとりに体得させること。大変ですが、それが私たち国語科指導陣の仕事です(笑)。

「記述」という難題を克服していく“秘伝”公開

国語科主任 立脇 裕一

頭が下がります。ところで、最近の入試傾向はどうですか?

まず、出題される文章がふつうの小学生が読むものではありません。大人向けの小説であり、論説ですね。しかも、大人の視点から設問に答えることが要求されています。たとえば、子どもを気づかう母親の気持ちが問われます。無茶ですよね(笑)。授業では、文章の中に理由を探すとともに、そんな場面での大人の気持ちを説明してやるようにしています。

記述問題についてはどうですか?

全般的に重視傾向にあります。大阪星光中は記述が増えていますし、西大和中では小作文のような自由記述があります。とにかく書かないとダメです。満点でなくていいから、部分点をもらうことが大事です。ここでも“経験”がカギになります。子どもたちは書いた“経験”が乏しいから、書くことが苦痛なのですね。どうすればいいか、わからないのです。

どうするのですか?

こんなふうに指導します、「後ろから前へと考えていきなさい」と。たとえば、最後は「気持ち」。その前には「悲しい」とか「うれしい」とか。どんな気持ちかは文章から探させます。さらにその前にはそうなった「理由」。同様に文章から探させます。もし字数がまだあるなら、その「状況」を探し出させてつけ加えるようにさせます。これをくり返し“経験”させ、記述のコツを少しずつ教えていきます。加えて、ここでも一人別のフォローが必要です。そうそう、中には実際に答えを後ろから書いていく子もいますよ(笑)。

家庭でしかできない「言語技術」トレーニング

3科入試が増加傾向ですが、その中での国語の位置づけは?

当然、4科より3科のときの方が国語のウェイトは上がります。でも、国語そのものでは得点差はつきにくいですね。むしろ大事なことは、みんなが得点している問題を落とさないこと。国語を武器にするのは難しいですが、弱点にはしないことです。
それより国語は他教科でも必須の基礎教科です。算数も理科も言葉で書いてあります。その論理をつかんでこそ、初めて問題も解けるのです。国語力、つまり論理力があるかどうかは、3科入試でますます問われることになるでしょう。

ふだんの生活の中で国語力を高める方法はありますか?

(笑)必ず、訊かれますね。言葉は言語活動ですから、話すときに言葉をよく選び、理由を明確にして話すことは役立ちます。いま、安易な言葉が多用されていますね。「うざい」「かわいい」、どちらでもなければ「ビミョー」。これらは意味が広すぎるのです。「かわいい」と言っても、「小さい」「愛らしい」「気に入った」とか、いろいろな意味があります。
でも、友だち同士ではあまり理屈っぽい話し方は好まれませんし、ご家庭でもいつもはできないでしょう。比較的できるかなと思いますのは、お子様が「Yes/No」で答えられる話し方を避けることです。「これでいい?」ではなく、「どんなものがいい?」と問いかければいいでしょう。そしてその答えに対して「どうして?」と続けることです。お子様が何かを「おもしろい」と言えば、「どうおもしろいの?」「なぜそう思ったの?」と、理由を説明する思考を習慣づけること。これはご家庭でしか続けることができないことです。

一生の“財産”にできる論理力を身につけさせたい

ありがちな質問ですが、国語と読書の関係はどうでしょう?

はい。読書は国語力の必要条件ではありますが、十分条件にはなりませんね。読書好きな子はたいてい自分の好きな本の傾向を持っています。ですから、それだけを武器に入試問題に向かうと、「内容」や「感性」の違いでとんでもないカン違いを犯す危険性があります。読書感想文の得意な子が国語で高得点が取れないことも多いのも、同様の理由からです。
言うまでもなく、本を読むことも感性を磨くことも大切なことです。それが“我流”にならないよう、論理的に言葉が使えるよう、国語という教科を勉強しているのだということです。でも、読書が国語の勉強に役立つことが多いのは事実です。少なくとも文章を読むことへの苦手意識の克服が、ある1冊の本だったとはよくお聞きします。

最後に、国語の勉強を通じて、子どもたちに何を学ばせてあげたいですか?

論理的にものごとを考え、主体的に行動できる子を育てたいですね。“直感”だけでなく、自分で理由を見つけ“論理”的に納得して、責任ある行動ができるようにです。論理力は、将来の結果を想像し、だからいまは何をしなければならないのかといった思考と行動も育みます。
中学受験、そして大学受験を越えて、最終的に残るのは算数でも理科でもなく、国語の力です。社会で仕事をしていく上で、本当に必要なのは論理的思考力、すなわち国語力だということは保護者の皆様こそよくご存知のことだと思います。私たちはそのような“財産”にできる国語力の基礎を子どもたちに身につけさせたいと考えています。

改めて国語力の大事さを教えてもらいました。本日はありがとうございました。

(2006.07)