指導者が語る合格指南

TOP > 指導者が語る合格指南 > 算数科主任 筒井 伸和

算数科主任 筒井 伸和 進化する入試算数に負けぬよう、自分を進化させよ!

合格する算数5つの力。正確な計算力を磨く

合格するための算数力って、何ですか?

はい。私たちは5つの力に分けて捉えています。「計算力」「単元力」「持続力」「整理・工夫力」「発想・創造力」がそれです。樹木にたとえれば、「計算力」「単元力」「持続力」の3つが根や幹となって算数力が育ち、そこから「整理・工夫力」の枝が伸び、「発想・創造力」となって算数力の大輪の花が咲くという関係でしょうか。
いま言ったことは、合格レベルの3つの設定にもなっています。「発想・創造力」まで必要なのは、灘中レベルだけです。正直言って、ここまで到達できるのは限られた小6生たちだけです。次の「整理・工夫力」までマスターできれば、東大寺中や大阪星光中への合格レベルに到達しています。ですから言いかえれば、清風南海中や四天王寺中レベルまでなら、「計算力」「単元力」「持続力」の3つの力が十分であれば、合格できるということなのです。

やけに容易なことのように聞こえてしまいます(笑)。5つの力について、具体的に聞かせください。

(笑)おっしゃる通り、算数力を高めていくのは簡単なことではありませんね。
まず「計算力」ですが、算数力の深さは必ず計算の速さと正確さとなって表れます。計算力だけで合格できるわけではありませんが、根幹の力として非常に重要です。しかし近ごろの子どもたちは、「ゆとり教育」の影響でしょうか、残念ながら計算力がありません。
能開ではテキストのほか、オリジナルの計算問題集なども用いて、計算訓練を日常的に課しています。その前提としては「計算力を軽視しない」価値観を持っていることが大切ですね。わざわざ年4回の集結特訓で学年を分かたず「計算大会」を実施するのも、計算がよくできる仲間を尊敬する“文化”を育みたいからなのですよ。

「あきらめず粘り強く考えを深めていく力」を磨け

“文化”とは深謀遠慮ですね。次の「単元力」とは?

入試単元1つ1つの解法をマスターしていることです。各テーマについて、正解に至るまでの手順、手続きを身につけます。能開では本科・特訓・講習などの授業、そして大小のテストでの実地訓練を通して、同一単元を何度も何度も反復しながら、解法を完全に自分のものにしていきます。陸上で泳ぎ方をいくら学んでも泳げないように、テストで解けるようにならなければなりません。最終的な合格力としては単独の「単元力」だけではやや不足なのですが、それ以上をめざすためにも、まずは単元レベルでのマスターが肝心です。
そして「持続力」。これは「あきらめない粘り強さ」と言った方がいいかもしれませんね。集中力を持続させ、速断せずにしんぼう強く考えを深めていける力です。現代っ子が一番苦手なことです。いまの子は我慢できず安易に間違った答えを出してしまうか、「わからない」と投げ出すかのどちらかです。算数の入試で受験生が問われていることの1つは、この「持続力」があるかどうかなのですよ。私たちの指導でも、ここがたいへん重要なポイントとなります。

なるほど…。

「整理・工夫力」はこの「持続力」の先にあります。複合した入試単元を解きほぐしたり、複数の入試単元を結びつけて考えられる力ですね。最後の「発想・創造力」とは、入試単元を自在に応用できる力です。算数でモノを考えられるレベルです。

やさしく見える星光・東大寺中の入試は、なぜ解けない

難関中学の入試ではそういう力が問われるのですね。

大阪星光中の算数は分量が少なくすっきりしていて、一見やさしく見えます。それに比べると、たとえば西大和中は大問1つで1枚いっぱいの分量があり、複雑で難しく見えます。しかし結果をみると、星光中の方が得点できていない。星光中は「整理・工夫力」を要する問題で、そのままでは解けず、言わば翻訳が必要なのです。
東大寺中もやさしく見える年が多いです。しかし、何が問われているかを見抜けないと合格に必要な得点が確保できません。特徴的なのは、時々出題され、意外に取りにくい「単位当たり量」の良問でしょう。概念に対する本質的な理解が必要で、パターン化した単元力では解けません。やや「発想・創造力」に首を突っ込んだ問題という感じですね。
ちなみに灘中になると、解法パターンが完全に通用しません。何と言っても、日本の入試算数をリードする先生方が心血を注ぎ作問されるのですから。灘中の受験生は、すべて新傾向、新パターンの問題に挑むことになるわけです。

“停滞”と見える時間の中でこそ、算数力が育っている

算数主任 筒井 伸和

そういう力は、どうすれば身につけられるのですか?

先ほど言いました「持続力」、つまり「粘り強く考える力」を磨けるかどうかが分かれ目です。これだけは自分で磨かなければなりません。そしてこの壁を突破すれば、「整理・工夫力」そして難関校合格が見えてきます。同時に、誰もがつまずくのもここなのです。(次に述べるように配慮がない場合、)家庭教師など個別指導で成果が上がるのは「計算力」「単元力」までです。「持続力」向上は担当外でしょう。むしろ、一人でじっくり考えるという観点からはマイナスになります。
「単元力」までをある程度身につけた子は、必ず「持続力」を発酵させる時期を迎えます。問題を前に、ぐずぐずしているように見えることが多くなります。この一見ムダに見える時間が大事なのです。試行錯誤をしているのです。その中で「持続力」が磨かれています。スイスイ解ける問題ばかりしていたら、次のステップへは進めません。同じところに留まっているように見えている間に、算数力の“量から質への転化”が起きているのです。

ご家庭では、なかなかわかりにくいお話ですね。

そうなのです。実はお母様方から、このケースでのご相談をよく受けます。「近ごろボーッとしているようで、勉強が捗っていない」と否定的に訴えられます。現象だけで判断できません。「単元力」が完成しているかどうかで、対応は全く逆になるわけですから。
また、お子様が難問に悩んでいるのですから、お父様が「教えてやろう」と登場されるケースもありますね。しかし、本人が悩むところにこそ意味があるわけですから、これでは台無しです。ご家庭では見た目での安易な判断を避け、必ず私たち担当者にご相談していただけるようお願いしています。

入試算数は、高次化するプログラムのように年々“進化”する

近ごろの入試傾向はどうでしょう?

「数論」の出題が増えていますね。これは、「○○算」といったパターン化された問題への対策が進み、差がつきにくくなっているからなのです。数論は数学の1分野で、大学入試でも頻出のテーマです。有名な「フェルマーの最終定理」もこの数論分野の難題です。実は、数論は文科省のカリキュラムで位置づけを明確にできていない“グレーゾーン”なのですよ。入試での出題範囲の遵守が厳しく言われていますよね。たとえば、小学校での履修からはずれる「確率」は絶対に出題されません。その間隙をぬっての出題と言えます。

敵もさる者ですね(笑)。

「入試算数」は年々“進化”し続けています。たとえばあの灘中の入試問題でもずいぶん以前のものなら、いまの能開生はたいてい解けてしまいます。

本当ですか?!

ええ。タネ明かしをしましょう。灘中などで新傾向として出題されたパターンが数年後に他の難関・有名校入試にも取り込まれ、1テーマとして確立します。そこで、たとえば「○○算」とネーミングされるわけです。すると、それへの対策・解法がパッケージとして完成されて受験生全体に普及します。次々とこのようにパターン化され、解法パッケージとなり、それが今の「入試単元」に整理されていったのです。
ですから、難関校の入試ではパターン化された「入試単元」に加え、新傾向というか、まだテーマとして一般化されていない問題、あるいはそうしにくいテーマが出題されることになります。数論もその1つです。
入試算数では、コンピュータのプログラムにたとえると、1つ1つの入試単元を「サブ・ルーチン」とする、より高次の複合的な「プログラム」が難度の高い問題となっていると言えます。このように毎年進化する入試算数に負けないよう、自分自身を進化させていくこと。難関校突破をめざすにはこれが必要です。

なるほど、入試算数は“進化”しているのですね。

ワールドカップ開催の翌年はこれが出題される?

面白いことを1つ。今年は、日本が初優勝したワールド・ベースボール・クラシック、そしてサッカー・ワールドカップの開催年です。こういう年の入試では、「日本チームが優勝するためには何回勝つ必要がありますか」といったような「場合の数」「組み合わせ」の問題が必ずと言っていいほど出題されますね(笑)。
それから、図形では「立体」の出題が増えています。「平面」の問題は出尽くし、パターンが研究されてしまったからです。大学入試でも立体のテーマはトレンドです。大学入試での出題傾向は中学入試にも微妙に影響があるのですよ。だから大学入試チェックも、私たちには欠かせませんね。立体でも、特に「切断」はマスターしておかなければなりません。しかしそれ以上は、立体への直感センス次第かなとも思っています。なぜなら、成績が勉強量に比例してくれない分野なのですよ(笑)。

算数の勉強の仕方について、アドバイスはありませんか?

2つの勉強スタイルを、意識して使い分けることですね。細切れの時間は、計算や小問に当てる。一方でまとまった時間を取り、じっくり考える問題に取り組む。「量」と「質」の2つの勉強、この両方ともが必要です。もちろん宿題を出すときには、「これとこれは時間をかけてじっくりやってみろ」と区別し指示しています。

算数のスペシャリストとして、入試のプロフェッショナルとして

ご家庭へ何かありましたら…。

先ほども申し上げましたように、お子様の“異変”はご家庭で速断されずにご相談ください。私たちは算数のスペシャリストとして、子どもたち一人ひとりの学力段階に応じて対応しています。そう自負できるものに、たとえば「自習質問教室」があります。そこではそういう個別対応をきめ細かに実践して成果を上げています。
また、能開はシステム的にも個別フォローを組み込んであります。たとえばテストの結果、「単元力」不足が発見されたテーマにはその穴を埋めるようにフィードバック問題を指定しています。そのために一人ひとりの小問別管理データを私たちは掌握しています。
さらには、カリキュラムの一環としてある年4回の集結特訓は、入試本番で緊張し本来発揮できる力を出し切れず取りこぼしするということがないよう、入試疑似体験として行っているものです。
このように、私たちは万全のシステムとフォロー体制を「合格プログラム」として敷き、大切な入試に臨んでもらいたいと考えています。能開の指導をご信頼いただき、万端お任せくださいますように。

最後に「3科入試」の波が押し寄せていますが、能開算数科としてはどうですか?

能開の会員生は現在、大阪と奈良に在住の子どもたちが主体です。近畿圏統一入試2年目、3科入試拡大により、3科入試の先進地である兵庫のライバル諸君と、難関受験の本命校を舞台にこれまで以上の激しいつばぜり合いを演じることになるでしょう。
3科入試により、ますます算数のウェイトが高まっています。私たち能開算数科は、「難関校は算数で通す!」を合言葉に指導を一段と強化しています。必ずや、その成果を会員生諸君は入試本番で惜しみなく発揮してくれるものと信じています。私たちはそのために入試のプロフェッショナルとして全力を尽くします。

わかりました。期待しています。本日はありがとうございました。

(2006.08)