指導者が語る合格指南

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奈良エリア責任者 紺屋 清司 “情報戦”の統一入試を戦略と指導で勝ち抜く!

近畿圏各地からこぞって受験する、激戦区・奈良県中学入試

初めに自己紹介をお願いできますか。

はい。能開センターでの指導歴は今年で17年目になります。主に西大寺校と八木校で教壇に立ってきました。担当は算数です。奈良のエリア責任者に就いて、3年目となります。授業することと子どもに教えることが大好きで、現場一筋でやってきました。

早速ですが、奈良エリアの入試状況を伺います。

奈良県の中学入試の特徴としては、どの学校もレベルが高く、人気も広くあるということですね。数字で挙げますと、首都圏の受験率(中学受験者数÷全小6児童数)が16%、近畿圏で25%、それに対し奈良県はなんと41%です。むろん、奈良県在住の小学生に限って、中学受験者が多いというわけじゃありませんよ(笑)。そうです、大阪など他府県からの受験者が多いのです。
統一入試になっても、この数値です。先行日程での入試だった昨年度は76%でしたから。それだけ、わざわざ行かせたいと思うような、たとえば東大寺、西大和、奈良学園、帝塚山、智辯奈良カレッジといった中学があるということです。

より熾烈な受験となった統一入試をいかに勝ち抜くか

本当に人気があるのですね、しかも難関校ばかり。統一入試になって、少しは易しくなったのですか?

受験者数は半減しました。でも、レベルは相変わらずと言ってよいと思います。本当に行きたい志望者が少数で激しく合否を争うという様相ですね。
これは近畿圏全体の傾向ですが、統一入試になって「一か八か」の受験は急激に減っています。各受験生とも、自分の実力で合格ラインにギリギリ到達できるところで、それぞれの志望校を絞り込んで受験しています。ですから合否ボーダーライン上では、より熾烈(しれつ)な受験になっているとも言えます。

そういう中で、能開の戦略は?

そうですね、“正確な情報収集・分析に基づく的確な個別最適化”ということになるでしょうか。受験校は併願先を含めて、ひとまず9月には決めなくてはなりません。各中学の入試情報、各受験生の模試などの成績情報、および過去の能開受験生データを緻密に分析し、個人別にシミュレーションしながら、受験日程を綿密にスケジューリングします。
実質、1月20・21・22日の3日間の短期戦ですからね。「敵」と「己(おのれ)」を知り尽くすことが大事です。そうすれば、『孫子』の言う「百戦危うからず」です。

能開の近畿圏ネットワークと豊富な過去受験データ

統一入試は“情報戦”だということですね。

はい、そうです。能開センターの優位性はこの“情報戦”に強いということです。奈良県の受験生と言えども、大阪・京都はもちろん、さらに兵庫や和歌山の中学を受験します。そのとき、近畿圏に拡がる能開ネットワークが活きるのです。
中学ごとに担当がいて、年間を通じて校長先生や入試ご担当の先生方と接触しています。入試情報について、私たちは最新の内容をいち早く入手しています。それどころか、時には入試戦略の取り方などについて逆に相談を受けることもあります。私たちが近畿圏一円の学校事情に通じているからです。
それから、受験生の実力把握については「中学受験公開模試」(小4・5:年6回、小6:年8回)のほか、各中学の入試問題に近似させた「ターゲット校模試」なども実施しています。これらは実際の入試レベルに即した内容・形式で出題していますので、過去の受験データと比較すれば、受験での合格可能性を測れる非常に信頼度の高いデータとして活用できます。
以上の証拠に、初の統一入試となった今年度入試で東大寺中と西大和中の合格実績を伸ばしたのは、近畿圏にネットワークを張る大手塾の中では能開センターだけです。また、“個別最適化”戦略の成功が能開生の合格率の高さを生んでいるのだと思います。

まだまだ過渡期の中学入試、拡がる女子の選択肢

来年度入試の展望はいかがですか。

まず、各中学はいろいろな意味で模索状態にあるように思います。毎年のように入試日や入試科目、コースの変更があったり、学校によっては立地さえも再検討されています。いまは過渡期なのでしょう。だからこそ、正確な情報の早期入手がまず重要なのです。展望としては、入試3日間の初日は大阪で、奈良私学は2・3日目の入試となります。
注目校の1つ、東大寺中は来年度、3科・4科の選択制になります。しかしその後もこのままかどうかはわかりません。少なくとも来年度については、どちらかを選んで受験しなければならないということです。能開生には4科受験を薦めます。社会の学力は入試直前まで伸びますし、科目の特性に合ったコツコツ勉強させることができているからです。
それから近年の流れとして、共学校の新設や新コースの設置が相次いでいますね。智辯学園奈良カレッジ中の開校、奈良学園中の医進コース、帝塚山中の特進コースの開設などがそうです。どんどん魅力ある選択肢が拡がっています。
県外になりますが、京都の洛南中も共学となり2年目です。奈良からも通える学校で、学力のある女子にとってはよい選択肢です。また、少し先の話ですが、近鉄・阪神電車が相互乗り入れへ向けて工事中です。この完成によって、奈良から灘中への受験・入学も一気に増加するでしょう。

一人ひとりの性格や状況まで把握・共有して指導

奈良エリア責任者 紺屋 清司

奈良エリアの指導方針をお教えください。

一人ひとりの子どもに密着して接し、指導するということです。誤解しないでくださいね。一人ひとりのわがままを聞き、甘やかすということではありません。一人ひとりの能力・実力・性格・状況をスタッフ全員でチームとして把握・共有し、授業の中では一人ひとりを見極めた発問やアドバイスを行い、家庭での課題についても一人ひとりに合ったアレンジを行うなど、きめ細やかな個人別指導管理を徹底しているという意味です。
先ほど言いました“個人別の受験戦略”も、奈良エリアのスタッフ全員が額を寄せ合って、能開生全員分を毎年議論して決定しているんですよ。

そうなんですか。

そうできるのは、中学受験に専門性をもった自慢のスタッフがそろっているからです。全員がベテランと言っても過言ではありません。中学受験の成否を決めるのは、本人・ご家庭・指導者の総合力だと考えます。実はここで重要な要素がご家庭のご協力なのです。それをうまく引き出せてこれたのもベテランの力かなと思いますね。

受験に向けたご家庭にしかできない大切な役割とは

受験に向けて、ご家庭へのアドバイスがありましたら…。

小6生の保護者の方々がお集まりの際に、ご家庭でのお子様の様子について質問しました。そうしましたら、ほぼ全員の方が「家ではダラダラしていて勉強しない」の方に挙手されました(笑)。子どもたちは家ではそうなのですよ。ご家庭と能開では“場”が違うのです。良い勉強には“集中”と“ノリ”が必要で、その触媒となっているのが“仲間”なんだと思うのですね。場が違う家で同じことを要求されても子どもたちはなかなかできないのですよ。
それよりも、ご家庭には特別な役割があると思います。その大事な1つが学校選びです。名前やレベルではなく、それぞれのお子様の性格に合った学校を探し選ぶこと。どの学校にもトップからビリの子までいます。ギリギリに入ってもがんばれる子もいれば、余裕をもって勉強できる方が安定して力を伸ばせる子もいます。それに中学・高校は、ただ勉強をしに行くところではありませんよね。校風、立地、クラブ活動など様々なことを知った上で、志望校は決めなくてはいけません。
お子様といっしょに学校見学や体験授業にお出かけになることです。能開センターでは、そんな機会を数多く設けています。実際にその学校に行ってみることが大切です。うわさを鵜呑みにしていたことに、そのとき初めて気づくということもあります。自分の目と耳で情報を仕入れる。複数の選択肢の中で比較し、検討する。こういったことが何より大事です。

“出かけて行って点を取る”体験も合格プログラムの一環

もう1つ申し上げておきましょう。ご家庭の円満がお子様を合格へと導くということです。入試や模試、どこかの会場で試験を受ける場合ですが、その前日もしくは当日の朝に、お父さんやお母さんとケンカした子どもは絶対に実力を発揮できませんね。確実に各科目10点は下がるでしょう。特別な送り出しは無用ですが、ケンカはいけません。子どもたちの精神は簡単に切り替えができないのですよ。
そうでなくても、ふだんとは異なる環境での試験は緊張してしまうのが普通です。だからこそ能開では、いつもの校でのゼミ授業とは別に、大阪・清風中学校に集まっての「集結特訓」(年4回)、難波校その他での「ターゲット校模試」など(大阪地区では「土曜特訓」「日曜実戦」も“集結”形式で実施)、奈良県から出かけて行っての集結講座や模試を“受験合格プログラム”として組み込んでいます。
大阪まで“出かけて行って点を取る”、これは入試のシミュレーションでもあるのです。また、いつもの校での日常的学習に、校や県を越えた“仲間”との出会いと鍛え合いで“非日常的の刺激”を定期注入し、精神力を強化していく仕掛けでもあります。

入試が始まってからも個人別の受験指導は続く

なるほど。受験に対して実に“戦略的”ですね。

第一には、おっしゃる通りです。でも、それだけではうまくいかないことがあるのも受験です。

と言いますと…。

たとえば、受験が始まってからも指導を怠りません。こんなことがありました。西大和中合格を強く志望していて、4科入試の初日、3科入試の2日目と、2日続けて受験する子がいました。十分、勝算ありの子です。ところが、初日入試終了後、泣きながら能開へやってきたんです。「算数ができなかった。もうダメだ」と。
今日のうちに気持ちを切り替えさせて明日の入試には平常心で臨ませないと、受かるものも取りこぼしてしまうと私たちは直感しました。今日の試験のやり直しをさせました。どこをどう間違ったか、どこは取れているかを客観的に確認していったわけです。時間をかけて順々にやっていくうち、本人は落ち着きを取り戻し、最後にはこう言ったのです。「先生、明日もう一度がんばってみるよ」と。無事、いいえ見事、彼は合格しました。
統一入試は短期決戦です。入試初日の落ち込みが2日目、3日目にまで及んでしまったら、すべて本意ではない結果となりかねません。だから、私たちは入試が始まってからも“個人別の受験戦略”を続けるのです。

“本人・ご家庭・指導者”の三位一体で良い受験

さすが能開センターですね。言い足りないことがあれば…。

別に言い足りなくはないのですが…(笑)、折角ですのでもう一言(笑)。奈良エリアの能開センターは、王寺校だけ現在小2生からですが(来年度から小1生も開講)、それ以外は小1生から学習指導させていただいております。そこで、ご家庭でも低学年のうちにこそ、将来の学力の基礎をお育て願えればと思うのですね。
本当に賢いお子様はご家庭が生み出されます。私たちがいくら努力したってかないません。そういうご家庭ではテストがあったとき、テストの点数よりもまず先にお訊きになることがあります。

何を訊かれるのですか?

「何を習ってきたの?」と尋ねられます。どうしてかと言いますと、テストの点数は相対的なものであって、問題自体の難しさで平均点が上下するように、一喜一憂は無用どころか、やる気をなくさせるなどかえって悪効果となるのがほとんどだからです。
「何を習ってきたの?」と尋ねることで、授業で学んだことを人に話することになります。理解の深まりのプロセスを、私たちは「わかる−できる(解ける)−教えられる」の3段階で考えます。人に話すことによって、理解が深まります。また、保護者の方からすれば、お子様のご理解がどの程度なのかを直接確認できることにもなりますね。

なるほど。

このように、ご家庭で保護者の方との関わりの中で育める学力や勉強というものがいくらでもあります。必ずしも机の前だけでするのが勉強ではないのです。ふだんの会話の中で、興味をもつ、考える、人に説明するといったことをドンドンさせてあげてください。
私たちは全力を尽くしてサポートを行いますが、学力も受験もお子様自身が身につけ挑戦していくものですし、それはご家庭のご協力なしにはおそらく成就できないものなのです。くり返しになりますが、“本人・ご家庭・指導者”が三位一体になってこそ、良い受験もできます。どうかよろしくお願いします。

わかりました。本日はありがとうございました。

(2006.09)