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難関プロジェクト・算数主任 井上 雅夫 進化する能開センター、2007年度入試に挑む!

2007年度、能開の受験システムがグレードアップ

はじめに自己紹介をお願いできますか。

能開センターで教え始めて9年目、他塾で12年の経験がありますので、中学受験指導歴は21年ですね。いま王寺校と八尾校で指導していますが、堺東校で教えていたこともあります。担当教科は算数です。
本部では、「難関プロジェクト」に所属していまして、難関校向けの講座や学習システムの企画、難関校対策教材の企画・開発に携わっています。

2007年度から、算数を中心に大幅なシステム改定がなされると聞いていますが…。

ええ。これまで整備途上にあったためプリント対応せざるを得なかった難関レベル算数教材がいよいよテキスト化できる運びとなり、「全問解答・解説編」を含め、全3,782ページに及ぶ『中学受験専門 新ゼミテキスト Lシリーズ』が完成し、導入されます。
この本科教材に加え、特訓教材は5レベル、すなわち灘中、星光・西大和中、清風南海中、和歌山近大附属中、小4・5内容確認のレベル設定で整備できています。これで一通りのアップ・ツー・デート(最新化)ができたと、ひと安心しているところです。
他にも、算数授業時間数の増強、特訓やカリキュラムでの理科指導の拡充、社会教材の最新化などを進めます。

能開生の復習力を充実させる新テストを企画開発

たいへんな充実ぶりですね。

まったくそうですね(笑)。能開センターはずいぶん進歩しました。私が能開センターに入った頃と比べると、見違えましたね。
能開で教壇に立ってまず感じたのは、小6の難関クラスだったのですが、その時期にしては問題を解く子どもたちの「スピードが遅い!」ということでした。なぜだろうと考えました。1つは単元内容の咀嚼が足りない、つまり前に習った内容が自在に使いこなせるレベルにまで達していない。早い話が復習が足りないんですね。そしてもう1つは、システムとしてカリキュラム進度が遅いことだとわかりました。
新人にもかかわらず、いいえ、外からきた新参者だからこそはっきり見えるウィークポイントを、能開センターは早急に改善していかなければならないと、私は事あるごとに先輩方に説きました。もちろん、言うだけではダメです。自分が指導するクラスで、どうすれば「新しい内容とともに、これまで習ったことをきちんと復習し、力をつけられるようになるか」を試行錯誤し始めました。
ゼミ授業では、以前から「確認テスト」が毎週実施されていました。ですが、その出題範囲は前回ゼミの内容だけだったのです。「これだ!」と思いましたね。それ以前の内容を含んだ毎週のテストがもう1つ要る! そのことに気づいたのです。
早速、「復習テスト」を試作しました。既習全範囲からの計算問題と独立小問で構成しました。全15問で時間は15分。これから力をつけていかなければならない小5のクラスで始めたのですが、最初は全然できませんでしたね。やはり、単元をただやり過ごしていたのです。しかし数か月のうちに、メキメキ得点がとれるようになりました。すると実力テストでも、取り組む姿にスピード感が出てきましたね。当然のことですが、子どもたちはやればできるのです。問題はこのような仕掛けを私たち指導者がどれだけ作れているかなのです。

「復習テスト」はその後、どうなりましたか?

毎週新作しながら、それを各先生にも使ってもらおうと、社内ネットを通じて公開していきました。最初は「授業時間が減る」とあまり活用されませんでした。でも少数ながら賛同者がいて、しだいにその成果が評判になっていき、今では「公認」の小テストとして、能開の学習システムに組み込まれています。私が始めた小5用が3レベルに拡張され、小4用も作成されました。現在の算数ゼミでは、「確認テスト」「復習テスト」の2本が毎週実施されているのです。

カリキュラムの全面見直しなど、進化する能開センターの風土

お見事です。もう1つのカリキュラムの問題は?

以前の算数カリキュラムでは、単元学習終了に小6の一学期までかかっていました。これでは遅すぎます。単元の基本学習は小5の一学期に終えてしまい、二学期からは入試型の学習に取りかからなければいけません。算数は実は「パターン学習」の側面が強くあります。似た問題を解いたことがあるかないかは大変な違いなのです。ですから、いくつかの単元が組み合わさった複合タイプの問題、これが入試問題の基本パターンなんですが、そういう問題になるべく早く、かつ多くなじんでいることが大事なのです。
私が問題提起をして、すぐに皆さんの賛同を得ることはできました。ですが、カリキュラム変更というのはなかなか大変なのです。カリキュラムを早めるためには、必要な単元をより少ないゼミ回数に収めなければなりません。でも、削るわけにはいかない重要で必須の単元ばかりなのです。
そこで、発想を変えました。全員で、本科ゼミ以外の特訓や講習を含めた総体的な学習指導システムを見直す中で、初めて解決可能となりました。ゼミカリキュラムだけに集中させず、特訓と講習のカリキュラムにうまく配分し直したのです。2004年度からスタートした現在のカリキュラムは、こうして実現しました。

まさに、進化する能開センター。そして井上先生は能開の「改革派」ですね。

いえいえ、今の能開は上から下まで「改革派」ばかりですよ。私はその中の一人にすぎません。能開センターの優れているところは、良いことが自然に拡がっていく風土があることです。良い意見をどんどん取り入れようとする開放的な風土が「進化する能開センター」を支えているんだと思いますね。
能開に入って、「これはスゴイぞ」と思ったことがもう1つ。新入の子どもたちを、たちまち「能開センターのとりこ」にしてしまう授業力です。これは前の塾にはなかったパワーですね。よく「ダイナミズムのある授業」なんて言いますが、能開センターの授業こそ、それだと思いますよ。

よりリアルな入試合否の可能性を探る新システムの構想

難関プロジェクト・算数主任 井上 雅夫

他に、能開センターの受験指導力向上のために考えている秘策はありますか?

「秘策」ではありませんが、受験指導のための合否判定システムをもっと精緻なものにしたいですね。現在の「中学受験公開模試」の合否判定は、その回ごとの得点に対して判定が出ます。当たり前ですが…。一方で、データの蓄積がありますので、通年の「中学受験公開模試」の結果を一覧にした帳票も出せます。
あれば重宝するなと私が思うのは、何回かのテストを通して見えてくる、その子の成績のぶれも見通した「進学指導用の立体的な合否判定システム」です。その子の教科ごとのぶれと受験校の科目比重を掛け合わせて、リアルな入試合否の可能性を探るものです。
今でも実際の進学指導の場面では、各先生が自身のノウハウとしてそういう指導がなされています。そこで、個別的なノウハウというレベルをこえて、能開センターの組織的な進学指導システムとして確立できればと願うのです。例によって、自分で試行錯誤をくり返しています。

小5算数への取り組み方で、受験生としての伸びが決まる

いまの子どもたちはどうですか? スピードはついていますか?

以前に比べれば、格段の進歩を遂げています。でも、私はまだまだ不満足ですね(笑)。おそらく、子どもたちにはもっともっと内発的な動機づけがいるんだと思っています。王寺校で私が担当した小5クラスの冬期講習では、「今の学力に甘んじるな。1ランクアップをめざせ!」との主旨の話を、国語担当の先生とも示し合わせて毎日しました。
そのせいもあってか、難波校で開講されている「灘特訓」講座に、王寺校から4名が毎週参加してくれています。

難関中の算数で合格点をとるにはどうすればいいのでしょうか?

灘・東大寺中、それに西大和・大阪星光中に合格するためには、5年生のときがポイントでしょう。単元の基本学習を一通り終え、入試の基本問題に取り組み始めた二学期が勝負になります。この時期の過ごし方、問題への取り組み方で、小6つまり受験生としての学力の伸びがたいてい決まってしまいますね。
算数のテキストは、各単元ともやさしい問題から難しい問題まで順に並べてあります。ですから、初めの問題なら誰でもすぐに解けます。たいていの子は「解けた」と、そこで安心してしまいます。でも、これではダメなのです。

どうしてですか?

この時期には、なぜそうなるのかを考えなければならないのです。基本問題にこそ、その単元の“秘密”がはっきりと表現されています。だから基本問題でこそ、解くためには図をどう描けば一番いいかなど、いろいろ試すべきです。そういった自分なりの試行錯誤が「使える力」、つまり実力を培っていくことになるのです。
テスト後などに、正解か不正解かだけを聞きにくる子は、その問題は解くことができても、同単元の少し難しい問題になるとたちまち解けなくなってしまいます。それに対して、答えではなく解き方を質問しにくる子がいます。解けてもどうしてそうなるのかが納得できないと言うのです。自分で考えている証拠ですね。
ですから授業では、解き方はもちろんのこと、別解をなるべく多く説明し、問題をいろんな角度で捉えさせ、考えさせます。単に解けるというのではなく、問題の仕組みを理解することがもっとも大事なことだからです。

ノートでのプロセス、手を使って考える習慣の大事さ

なるほど。

ノートを見れば、その子がどんな「勉強」をしているのか、たちまちわかりますよ。ポイントは解けているかではなく、問題自体をどれだけ理解できているかです。まず問題の構造が整理できているか、そして論理的なステップを踏んだ解法がしっかりと書かれてあるかです。たとえ答えがまちがっていても、きちんと解き方が書けている子は小6で必ず伸びますね。
算数の力を伸ばしていく上で大事なことは、手を使って考える習慣をつけることです。テスト中、手を動かさず頭を抱えて考え込んでいる子がいますね。頭だけで考えていても解けませんし、答えを書けたとしてもたいていはまちがいです。それに時間がかかります。
手を動かし、作図して、考えるべきなのです。ふだんから作図し、問題の仕組みから考えている子は自然にそうなります。また、そのスピードも全然ちがいます。手の早さは頭の回転の速さなのです。
それからスピードには、算数ですから、計算力を含めた数字への強さも大切です。算数がよくできる子は数字への親しみ度合いがちがいますね。円周率を何桁も暗記していて、驚かされる子もいます。毎日の計算練習は基礎力づくりとして欠かせません。

算数と国語は学力の両輪、算数のためにも国語力を

算数を指導されていて、他に思うことはありますか?

意外かもしれませんが、国語力の低下を痛感しています。問題文を読み解けない子が増えているのです。何が問われているのかが理解できない。よく考えれば、算数も理科も社会も、問題は日本語で書かれた「国語」です。
低学年から能開センターに通い、将来難関校をめざすなら、低学年のうちは国語重視でがんばってもらいたいですね。国語に時間がとれるのは小4くらいまでです。5年になれば、どうしても算数に時間を多く割かなければなりません。それまでに十分な国語力をつけておくことが、高学年になったときの算数力にもつながるのです。

算数も国語も、実は同じ「論理」についての勉強と考えられませんか。

そうかもしれませんね。使う「道具」がちがうだけかもしれません。算数は抽象的な数字や図形、国語は具体的な文字や語彙。算数が好きな子は抽象的な思考や論理を好み、国語が好きな子は具体的思考や論理を好むというちがいだけかもしれません。
将来にはどちらも必要な能力ですし、おそらく支え合っている力のはずです。両方の力を伸ばすことが大事です。いま算数を担当している私の授業のためにも、しっかり国語力もつけてほしいですね(笑)。私としては、国語力もつく算数の授業をめざしたいと思います。

誰でもミスをする。問題はしっかり見直せるかどうか

入試が近づいています。最後に何かアドバイスを。

今日は小5で力をつけるための話をしました。でも、6年になって受験が近づけば、私はこう言います。「ミスをするな、ミスを減らせ!」と。ミスというのは、得点できた問題を落とすことです。まったく解けない問題での話ではないのです。解けた問題なのに、計算ミスや早とちりで加点できないことです。
入試で出せるのは自分の「実力」です。それ以上は無理なのです。実力を100%発揮するというのは、ミスをしない状態のこと。でも実際には、人は必ずミスをします。実力を100%発揮はできていないのです。ミスを少しでも減らせれば、その人の実力に近づきます。それで合否が判定されれば本望ではないでしょうか。
だから、入試当日の朝、緊張ぎみの子どもたちにはこう言います。「安心しなさい。誰でも必ずミスをする。自分もミスをしている。だから必ず見直しなさい」と。実はミスを含めてその子の「実力」です。ですから、もし入試でミスを減らせれば、その子は「ふだんの実力」以上の力を出せたことになるのです。
「合格はその子の努力の成果、不合格はわれわれ指導者の責任」。能開センター指導陣の誓いです。このことを胸にしっかりと刻んで、2007年度入試に挑みたいと思います。

期待しています。本日はお忙しい中ありがとうございました。

(2006.11)