指導者が語る合格指南

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泉佐野校責任者 佐々木 康明 一人の不合格者も出さない泉佐野校にしたい!

中学受験指導の第一線に立ち続けて23年目。
難波校責任者等を歴任し、2005年より現任に。
現在、「灘算数特訓」(難波校実施)も担当。

入試の最後はチームプレーではなく個人プレー

まず、今年度入試の総括からお願いします。

はい。昨年度は泉佐野校から、灘中に3名受験し3名全員が合格しました。しかし、次のレベルの受験では取りこぼしがあったかと考えています。そこで今年度は、目標として「大阪星光・東大寺・西大和中にきっちり通した上で、灘中全員合格」をめざしました。
結果は、二番手校はほぼ目標達成、でも灘中へのチャレンジでは2名合格にとどまりました。正直な気持ち、安堵と反省が相半ばしますね。中学受験の最高峰としてそびえ立つ灘中の巨大な壁を改めて感じました。事実、彼らは東の最高峰とされる開成中には全員合格しているのですから。
最高の仕上がりだったのです。きっと受験者全員があの高いハードルを無事跳び越えてくれるだろうと信じていました。得点を見れば、数点差で涙を呑んだのです。
「全員であのハードルを跳び越えたい!」というパワーは、私が圧倒されるくらい、強くて大きなものでした。それほど、集団としての結束が強く、かつ優秀なクラスでした。でも、入試の最後はチームプレーではなく個人プレーです。学力を高め鍛えていく際のクラスとしての力、それを試験会場で発揮する個人としての力、その微妙なズレのようなものが試験当日になって生じてしまったのかなと思います。
しかしながら、これだけは言っておきます。受験生全員がやりきったという達成感と満足感に満ちて、灘中を受験することができたこと—。私は、それを指導者として本当に誇りに思います。彼らはみんななすべきことを立派に、見事にやり切ったのです。

結果がすべての中学受験に「絶対」はない

「安堵と反省」という思いは、上位クラスだけでなく泉佐野校の受験全体についても言えます。合格実績は確かに年々前進していますが、私としてはまだまだ満足できるものではありません。
泉佐野校が位置する泉州では、和歌山県の中学入試状況が大きな影響力をもっています。和歌山の中学も受験校となるからです。今年度は、泉州の清風南海中、和歌山の智辯中と近大附属中の入試が同一日となる、すなわち初の統一入試となりました。
結果、安全策を取って、1ランク落とした受験が多くなりました。思い切ってボーダーラインに挑戦する「チャレンジ入試」ができづらくなったのです。能開センターがずっと合格実績ナンバーワンの座を守り、合格者数も毎年増え続ける清風南海中でも、ほぼ確実組のみが受験しました。
そういう受験でも、少数ながら不合格者は出ます。中学受験に「絶対」はないのです。でも、われわれの仕事は結果がすべてです。言い訳はプロとして自ら禁じなければなりません。当然、われわれの指導が至らなかった結果なのです。だからこそ、反省が無用になることは決してありません。
1つだけ、泉佐野校のメリットをあげておきますと、平日ゼミクラス(受験総合講座)がほぼそのまま志望校レベル対策クラスとしての機能を果たせています。ですから、特に入試直前指導においては大変効果的な学習を進めることができたでしょう。これが泉佐野校の受験生に力を大いに与えたものと考えます。

校責任者は教育サービスの品質管理の責任者

泉佐野校は400名を越える大きな規模です。どのように運営、指導していますか?

小規模でのメリットと同時に小さいがゆえのデメリットがあるように、大規模にもメリットとデメリットがあります。それを十分意識した上で、細やかな運営と指導を心がけるようにしています。量ではなく質で評価いただけること、それが私たちの目標です。
たとえば、灘中への合格者を毎年出し続けること。これは会員数の多さだけで達成できるものではありません。また、ゼミクラスをそのままレベル別中学「合格保証」クラスにすること。そのためにはクラスレベルに応じた教育サービス、一人ひとりに合った指導が必要です。「校責任者」とはそれらサービスの品質を管理し保証する責任者だと私は考えます。
「理想」を語るのは簡単です。ご入会の際、お母さま方から「一人ひとり、見てもらえますか?」といつもご注文をいただきます。物理的に考えれば、「総時間÷人数」という割り算ですので、一人あたりの時間が少なくなるのは当然のことです。それをいかにカバーするか、いいえカバーではなく、能開としての「塾サービス」品質をいかに管理・向上させるかが私の課題であり責任です。そのためにまず次の3点を実行しています。

ご家庭とのコミュニケーション、細かな情報収集とフォロー

泉佐野校責任者 佐々木 康明

1つ目は、定期的な学年別「保護者懇談会」(全体会)を、ご家庭と能開を結ぶ貴重な機会として十分に活用すること。個別懇談会もありますし、不定期のご相談やご連絡も数多く受けます。しかしその前に、能開センターの指導方針、いま実施中の指導システムや内容をどれだけご理解いただけているかで、その後がまったく違ってきます。ご家庭で生じるご不安やご不満のほとんどは、私たちの説明不足、コミュニケーション不全から起こるものなのです。
たとえば、レベル別のクラス指導について優先順位はなく、灘中に通すのも清風南海に通すのも同じ「仕事」として、どのクラスに対しても全力を注いで指導していること。あるいは、定期的なテスト結果に基づくクラス変更のルールなど、私たちの考え方や姿勢も含めて、しっかり説明するように心がけています。おかげさまで、大きな誤解やトラブルなしに泉佐野校は運営できています。これは各ご家庭のご理解ご支援の賜物とたいへん感謝しております。
2つ目は、授業の始終礼を毎日欠かさず実施すること。至極当然のことにように思えますが、10クラス以上あり、終礼ではクラス別報告だけで1〜2時間に及びます。それでも必ず実施しています。
ねらいは「早期発見・早期治療」です。能開ではハイレベルの授業を行っています。しんどくなる子が出て当然なのです。そういう子を見逃さず、すぐフォローの手を打つこと。これが能開センターの品質保証です。
始終礼で気になる子の名前を挙げてもらい、全スタッフで情報共有します。そうすれば授業担当でなくとも、その子の様子をみんなが気にかけるようになります。一人の目ではわからないことも、多くの目がみつめることで情報収集しやすくなります。
こうして私自身、全員の名前を覚え、成績を把握するよう努めています。また、小6生では全員の志望校を把握し、受験指導を統括します。受験は合格か不合格かの「2進法」です。合格数ではなく合格率、それも一人ひとりにとっての合格率を限りなく100%に近づけることが私たちの目標となります。

個人技に頼らないシステムとしての品質保証

3つ目は何でしょう?

自習・質問教室」の完全実施です。これも能開センターがサービスにうたうものですから実施して当然なのですが、泉佐野校の場合、特に6年生は質問・自習教室への参加率が高いため、教室がいっぱいになりそのままでは入りきれなくなるのです。入試直前の年末年始には、実際そのような状態になり、全員が活用できるよう時間帯で振り分けています。おかげで教室を休まず開けなければならなくなりました(笑)。こういう配慮が必要になるのは「自習・質問教室」に限りません。小規模なら当たり前のことが、大規模では当たり前ではなくなるのです。
以上3点挙げましたが、いずれも「システム化」の問題です。小規模なら「あうん」の呼吸で、あるいは暗黙の了解でできることが大規模になればできません。塾サービスはともすれば、個人の技量に頼りがちです。でも、それではダメだと思うのですね。その人がいなくなれば、品質がたちまち低下するということになるじゃないですか。能開センターとして、泉佐野校として、お預かりしたお客様一人ひとりへのサービス品質を保証することが規模を問わず、義務であり責任だと思います。泉佐野校は、そういうシステムとしてのサービス品質保証モデルを他校に先駆けて生み出すことが使命だと思っています。
その際、気をつけなければならないのは、目的と手段のはき違えです。「やっている」こと自体で満足しないことです。説明会、始終礼、自習・質問教室、いずれも実施することが目的ではなく、何をどう伝え、方向を間違えず、実のあるものとして実施できているかどうかこそが問題なのです。このことを忘れず、運営していきたいと思います。

スタイル、パターンにのっとり、リズムある学習指導を進める

子どもたちの指導で留意していることは?

受験勉強は数年にも及ぶ長丁場となります。この観点から、2点申し上げましょう。
1点目は、各人に合った生活パターン、勉強パターンをつくり、それにのっとった勉強を進めていくことが大事だということです。そのために、私たちはふだんの授業では一定のスタイルをつくり、むやみに変えないようにしています。各科目週1回のペースで学習を積み上げていくゼミでは、最初に「確認テスト」、次いでその日のテーマ解説、演習、…と決まったパターンで進めていきます。効率の良い学習にはリズムが大切だと考えているからです。
同時に、あきさせない工夫も必要です。集中反復学習の機会となる年3回の講習会では、「まず入試問題にチャレンジしてみよう!」などとゼミでのスタイルをわざと破ります。子どもたちは、変化があったとき、興味を新たにします。ゼミとのギャップを利用しているのですが、これもふだんのスタイルがあっての刺激なのです。
2点目は、1年間をいくつかの期間に区切り、時期時期の目標を明確にして指導を進めることです。子どもたちにも同じことを要求します。スタイルは同じであっても、中身や重点は変えていかなければなりません。テスト結果などのフィードバック情報を検証し、目標未達の場合は、次期の指導目標を見直します。教育という仕事でも「Plan(目標)−Do(実行)−Check(検証)−Action(修正)」をきちんとしていくことが大切なのです。

指導者は自身の実践があってこそ、子どもたちを指導できる

私自身はこれらに加えて、いくつかのことを心がけています。その1つが板書について。黒板は子どもたちの思考整理の場です。「さっき言っただろう」ではダメなのです。大事なことは残しておかなければなりません。それから、黒板を写すのに一生懸命で、私の説明を聞けない子がいましたので、「消さないから、あとで写しなさい」と言いました。すぐに消してしまったら、いけないのです。
このようなことから、1回の授業では黒板1枚しか使わないようにしたのです。そのためには、何をどう書くかを事前に考えておくことが必要です。また、できる限り簡潔に書くこと、そしてていねいに書くことを心がけています。
それから、授業の毎回、子どもたちのノートを点検します。そしてコメントを書き込むようにしています。どうしても時間が取れないときも、サインだけは入れます。これは私の授業で1つの「儀式」になっています(笑)。子どもたちは「宿題の達成」をアピールしたいのです。努力に応じた評価を必ず返すこと、これが儀式です。入試直前には、クラスの一人ひとりに別々のメッセージを書き込みました。
板書でもノートチェックでも「始めたことは途中で止めない」、これが大事なことです。毎回実行すること、指導者が「有言実行」すること。継続こそが信頼を生むのです。そして、指導者は自分自身の実践があってこそ、初めて子どもたちを注意、指導できるのです。このことを私たちは肝に銘じておかなければなりません。

学力をつけるとともに、社会人としても育てたい

もう1つ大事なことがあります。子どもたちに学力をつけるとともに、社会人としても育てること。受験も人生の1コマです。そして成績が伸びる子は社会人としても通用する子なのです。たとえば、「先生、宿題忘れました」というようなことが、社会で通用するでしょうか? 私は子どもたちにそう反問しています。能開センターは社会で通用する人、つまりはリーダーを育てたいと考えます。
折りにふれ、身をもって良識を教えることもその1つです。私は自分の「仕事場」である教室を清潔で美しく保ちたいと思います。だから、授業前には必ず黒板を雑巾できれいにふき掃除します。そうしないと気持ちが悪いのです。次に、ゴミを拾い、「机のゆがみは心のゆがみ」と唱えながら、机をそろえるよう呼びかけます(笑)。
今では、自主的に子どもたちがそれらをしてくれます。強制や指示をしたわけではありません。自発的にリーダーが生まれ、黒板を掃除する者、机をそろえる者、さらにはノートを集める者がいます。別にほめはしません。子どもたちにとっても、教室は「大切な場所」のはずです。「仕事」を始める前に、「仕事場」の掃除や美化、「道具」の整理整頓を行うのは当然のことだからです。
成績が伸び悩む子は、学習量の問題ではなく、意欲にムラがある、つまり学習リズムが整わないケースが多いですね。勉強もスポーツと同じで、いきなりはできません。スポーツなら、道具やフィールドを整え、準備運動してから始めます。終わるときも同様に、後片付けが欠かせませんよね。勉強も環境づくりから始めるべきなのです。
同時に、「躾」という字につながる「美しさ」も伝えたい美徳の1つです。教室美化はもちろん、ていねいな板書、ていねいな授業もそのためのものです。
私の考えと実践は、他のスタッフにも確実に伝播しています。たとえば、授業前に掃除しなければならなくなるわけです(笑)。結果的に、教育サービスの新たな品質水準を作り出しています。一度始めたこと、一度高めた水準はもう下げられません。泉佐野校はこうして品質を高めていきます。

合格のための「70点合格主義」と「正しい三角形」

ご家庭へのアドバイスがありましたら…。

2つ、申し上げましょう。1つは「完璧主義」を捨てることです。子どもたちにも言うのですが、100点ではなく70点でいいのです。根拠としては、入試でも10問ならそのうち7問できれば合格なのですから。そう思えれば肩の力を抜くことができます。お子さまに「100点」を求めることは逆効果を生むだけです。
宿題をしているとき、ある1問が解けず、そこで止まってしまう子がいます。その問題を飛ばして、先へ進めないのです。これも「完璧主義」の弊害です。いまできる問題もあれば、できない問題もあります。肩の力を抜いて学習を進めることが成績向上のカギを握っています。
「入試に勝て!」と「入試に負けるな!」、どちらが持てる力を発揮できるでしょうか? 「勝つ野球」より「負けない野球」の方がリラックスして戦えると思います。「70点をめざせ!」と励ましてあげてください。
もう1つは、本人・保護者・能開(先生)で形作る「三角形」についてです。この3者の関係が「正しい」ものでなければ、長い受験勉強を続けることも、学力を向上させ合格することも叶わないでしょう。正しい形とは、本人を頂点とし、底辺に保護者と先生がいる、二等辺三角形です。これに対して良くない形は、本人と保護者でつくる底辺が上になり、頂点となった先生が下にいる、逆向きの二等辺三角形です。
保護者、特にお母さま方とお子さまの距離が近すぎてはいけません。そうではなく、私たちと一体になっていただき、能開と家庭で連動、一貫した姿勢で本人を見守り、指導することが良いスタンスなのです。そのためには、まず私たちが信頼してもらえなければなりません。逆向きの二等辺三角形とならないよう、私たちは日々精進していきたいと思いますが、保護者の皆さまのご理解なくしてはそれも叶いません。ご理解ご協力をよろしくお願いします。

一人の不合格者も出さない泉佐野校にしたい

最後に、今年度の目標をお願いします。

2008年度の灘中入試は、受験者全員合格を目標とします。そして、「第1志望に全員合格」。あまりに無謀な志望は除きますが、妥当なランクを下げずに第1志望校に全員合格です。「不可能だ」という声がいまから聞こえてきます(笑)。もちろん、これは泉佐野校の挑戦です。でも、たとえそれが不可能でも、「不合格の極小化」をめざします。合格数を含めた観点からは、近畿圏本部から2年連続表彰されています。私たちはむしろ「合格率」にこだわりたいと思います。すなわち、泉佐野校の目標は「不合格率の極小化=合格率の極大化」です。この場を借りて、宣言させてもらいます。
何年も能開センター・泉佐野校に通っていただき、苦楽をともにした小さな受験生からの合格連絡。今年も電話が鳴りやまず、合格発表を見たその足で報告に来てくれたりと、1年間の疲れを吹っ飛ばすうれしい忙しさに浸れました。その一方で、涙の報告に打ちのめされ、私たちの指導の不甲斐なさを痛感させられもしました。だからこそ、一人ひとりの合格を大切にしたい、一人の不合格者も出さない校にしたいと心より願うのです。至らぬ点が多々あります。皆さま方のご指導ご鞭撻を改めてお願い申し上げます。

本日はご多忙中、ありがとうございました。

(2007.03)