指導者が語る合格指南

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難波校責任者 相良 照文 “接近戦”で受験学習の「インフラ」力を鍛える

能開センターで中学受験を指導して20年目。
江坂・都島・枚方校等を経て、2004年より現任
今年度からは中央エリア責任者も兼ねる。

うれしい誤算もあった2007年度入試

まず、2007年度入試の総括をお願いできますか。

近畿圏統一入試2年目の厳しい状況の中、難波校としてできることはすべて精一杯やり尽くしてきたつもりです。それでも真剣勝負の受験ですから、受験生一人ひとりに悲喜こもごもの物語があったことも事実です。
うれしい誤算もありました。たとえば、人気の清風南海中が志望だったある女子が学校見学をきっかけに神戸女学院中に志望を転換、みごと合格しました。男子でも当初視野に入っていなかった西大和中や洛南高附属中と出会って受験を決意し、合格を勝ち取る子たちが出ました。
今年度入試がすべて終了した先日、恒例の合格祝賀会が開かれました。そこで交わした会話やご様子から拝察しますと、ご家庭それぞれ、本人も保護者の方もいまの結果にほぼ満足いただいているようにお見受けしました。ひと安心するとともに、「さあ、次は2008年度入試だ」と感じています。

受験学習の「インフラ」=学習法を“接近戦”で培う

難波校の指導方針を伺います。

誤解のないようお断りしておきますが、能開センターの指導方針はひとつです。難波校独自の指導方針があるわけではありません。各校がそれぞれの地域のお客様ニーズに応じて、どこに重点を置いた指導・運営を行っているかという違いだけです。
その中で、能開プレスクール・難波校と能開センター・難波ジュニア校(小1・2年担当校)からの継続会員を数多くお預かりしている私たち難波校では、高学年での入試対策・受験指導は言うまでもありませんが、小3・4年段階で子どもたちが学習法をしっかり身につけることにまず力を注いでいます。
というのは、本格的受験学習に備えて、この時期のうちに低学年時の学習スタイルから1段階レベルアップさせておく必要があること。そうすれば、すなわち、受験学習のための「インフラ」(基盤)がしっかり築けてさえいれば、小5を中心に次々と登場する中学入試テーマを十分消化でき、その先には難関中学合格が着実に見えてくるからです。
私たちはこの指導を“接近戦”の手法で進めています。接近戦というのは、子どもたち一人ひとりに私たちの方から一歩二歩踏み込んで、至近距離から確実な指導を行うことを指します。

基本はしっかりと「聴く」、正しい授業の受け方

具体的には?

1つは、授業の受け方、ノートの取り方、宿題のやり方など正しい学習法。もう1つは、生活の中に勉強を習慣として組み込むことです。新入会員にはもちろん、継続会員生にも徹底して指導します。一人ひとりその定着度に応じて、慎重かつ粘り強く指導していきます。
「正しい学習法」には、授業中の姿勢、テキストやノートの開き方、右手でノートを書くときの左手の使い方まで含みます。たとえば、ノートを左手で押さえずに書くため、いつも雑な字しか書けない子がいます。見つけたら授業中でもすぐに直させます。こうした人間工学的な「正しさ」が学力向上の基盤です。
授業を「聴く」ことはもっと大切です。大人びているというか、「良い子」を装っている子が増えています。授業を聴いているふりを上手にして、実は「聞き流し」ている。授業中に勉強しないことほど効率の悪い学習法はありません。そんなとき、私たちは直ちに授業をストップします。聞き流させず、集中して授業を聴くことを学ばせます。

「正しい宿題のやり方」で難関中学入試を勝ち抜く力をつける

難波校責任者 相良 照文

「正しい宿題のやり方」というのは、何のために宿題をしているのかという問題です。宿題をする意味は、授業で習ったことの習熟・定着、「できる」問題パターンと「できない」(あるいは「まちがう」)問題パターンの洗い出しです。答え合わせの結果をテキストにチェックし、それを明確化します。そして、なぜできないのか、どこでまちがうのかをはっきりさせ(これが「まちがい直し」)、自分で解決できないところは次回の授業で質問するのです。こうして「できない」や「まちがい」を1つ1つつぶしていく。この「正しい宿題のやり方」ができない限り、いくら習っても"底の抜けたバケツ"のようなものです。
実はこういう学習習慣から生まれる「粘り強い思考力」を持つ子が難関中学では求められています。それがよく表れているのが算数の「場合の数」や「整数論」からの出題で、たとえば灘中では必ず出題されます。これらは底が深く、大学入試でも頻出するテーマです。これを解くためには粘り強く試行錯誤するしかありません。いまどきの子どもたちには好まれない思考の型があえて求められる問題なのです。このような思考力は急に身につくものではありません。中学年から少しずつ鍛えていく必要があるのです。

本格的な受験学習に備えての学習スケジューリング力

もう1点は、「能開ダイアリー」を使って、1週間の生活の中に勉強を習慣づけること。塾のない日をどうすごすかが大事なのです。遊ぶ日やおけいこごとの日があっても構いません。それらを含めて、スケジュール化します。
学力の根幹は「センス」に近いものだと思います。特に算数はそうですね。呼吸するように、毎日触れることが大事です。音感に対して「数感」と私はよく言います。国語や他の科目についても、2日に1度は触れたいものです。具体的には、宿題を1週間の中で少しずつ割りふります。この日は2ページの復習問題、この日は3ページの挑戦問題、この日はまちがい直し、などと。
低学年までの学習スタイルでは、宿題の分量が少ないこともあって、その日のうちに済ませてしまうことが多かったと思います。しかし、だんだん量的にも科目数でも1日ではこなしきれなくなります。それでもお母様方はこれまでの習慣から、ついつい「とにかく早く宿題を済ませない」と言いがちです。子どもたちは子どもたちで、放っておけば授業の前日にばたばたと宿題をするようになります。
それを「能開ダイアリー」というスケジュール帳でコントロールするのです。その使い方も教えます。初めは、私たちが「1週間の宿題計画」を示します。それを写して、自分のスケジュールにしてもらいます。毎日、消し込みを入れた後、保護者の方にチェックをいただけるように作ってあります。ご家庭でのコミュニケーションの機会づくりにも役立ててもらえます。保護者の方には、1週間ごとのコメント記入もお願いしています。
私たちは毎週ダイアリーとノートを点検し、子どもたちへフィードバックを行うとともに、適宜保護者の方と直接連絡をとって意思疎通を図らせていただいています。

保護者の方と私たちとの意思疎通と信頼関係が合格への一条件

なるほど。お話を聞くと、保護者の方の関わり方もポイントですね。

まさにおっしゃる通りです。私たちは保護者の方にも"接近戦"で臨んでいます。中学受験は親子の受験です。そこへ私たちも加えていただきますと、3者による受験です。守備範囲を明確に分け、それぞれの役割をしっかりと果たすことが合格への条件となります。
中でも、保護者の方と私たちとの意思疎通と信頼関係がまず重要と考えます。だからこそ、何事でも、またいつでもよくお話し合いをさせていただいております。定期懇談会の際はもちろんのこと、ダイアリーにお書きいただいたコメントからお電話で、あるいはご送迎時の立ち話からいつの間にか"小懇談会"にということもあります。
互いに言いたいことを言い合う、これが大事です。私たちは時には"ケンカ"になることもいといません。それでこそ、接近戦です。ただし、それは私たちがお子様の受験を、他人事ではなくわが事として本気で考えているからこそ、時には「起こってしまう」ものなのです。どうか、誤解のありませんように。
お母様方からのお話は、もっぱらお子様の成績やふるまいについてです。当然のことでしょう。しかし、私たちからは当のお母様方への注文を申し上げることが多くなります。私たちは毎年受験指導をしているプロであり、その強みは第三者として本人とお母様方を拝見していることです。
つまるところ、学習内容そのものについては、私たちを信頼して一切お任せいただくこと。一方、保護者の方の守備範囲としては、お子様の健康面など生活そのものと家庭での学習の時間管理などをしていただき、変化を中心にお子様の状況を私たちに適宜ご連絡いただくこと。こういう役割分担に徹していただければというのが私たちからのアドバイスであり、お願いですね(笑)。

「賢いお母様養成講座」としての「中学受験フォーラム」

保護者向けの「中学受験フォーラム」を開かれていますね。

はい。2年前から始め、秋に集中して年5回ほど、中央エリア全体では年に十数回開催しています。会員・非会員を問わず、低・中学年の子どもを持つ保護者の方にご参加いただいています。これは、中学受験をなさるご家庭へその知識と知恵を提供する場です。
テーマは中学入試の概況、算数と国語の勉強法、家庭学習のさせ方などです。要は中学受験や各科目などについて正しい知識をもっていただき、お子様の1つの状況に対して近視眼的な判断を性急にして、不満などを直接子どもに向けても何の益もないこと。では、どうすればいいのか、といったことを申し上げているのです。お母様方の出席が多いということから言えば、私たちなりの「賢いお母様養成講座」です。
たとえば算数について少し申し上げますと、先ほど言いました「数感」の磨き方などをお話します。算数の基本はまず典型問題、典型パターンにしっかり習熟することです。でも、感性に通ずる「数感」は簡単に育つものではありません。時間がかかるのです。新しい問題に出会うたびに、典型的解法、素早く解く解法、また別の解法と、多角的なものの見方を鍛えていきます。自分の算数力の「あたり前」、つまり水準を徐々に上げていく。これが「数感」へとつながります。併せて、前に言いました試行錯誤できる粘り強さも必要ですね。
ですから、1回ごとのテスト得点に一喜一憂するより、「数感」が磨けるような学習習慣と家庭環境がきちんとできているかどうかが問題だとお話しているのです。

感情的発言はがまんして、私たちをうまく使うことが上策

もうずいぶん出ているようにも思いますが、ご家庭へのアドバイスがあれば。

(笑)改めて申し上げます。お子様に勉強のことであれこれおっしゃることの8割は感情的なものです。論理的な発言ではまずありません。子どもの学力向上のためと言いながら、お子様のある状況を見て、ご自分の気持ちをぶつけられている場合がほとんどです。自分の子どもだからこそ、そうなるのです。そして、自分の子どもだからこそ、言うべき内容を吟味し、タイミングを図ることが肝心です。
いまの子どもたちは「良い子」をふるまうことに長けています。お母様に叱られたら、素直に謝りもするでしょう。でも、小言は聞き流しているのです。薬にはなりませんし、むしろより上手な適応のしかた、のがれ方を学ばせることになるだけです。
まずはいまの発言をぐっとがまんすること。冷静に考え、対処する習慣をつけることが必要でしょう。そんなことがあれば、私たちにご連絡ください。私たちがお母様方に代わって、本人に対処します。私たち第三者をうまく使っていただくことが上策です。そのためにも私たちと綿密にコミュニケーションをお取りください。

よりダイナミック、よりエキサイティングな能開センターに

今年の抱負をお聞かせください。

私たち難波校スタッフは、今まで申し上げてきましたことに責任をもって取り組んでいます。子どもたちともより真剣にコミュニケーションをとり、保護者の方との良き媒介者となれるよう努力してまいります。
子どもたちは複数の「文化」を住み分けています。典型的には、学校文化、家庭文化、塾文化です。それぞれで別々の顔を見せ、それぞれで大人に対して「良い子」を演じがちです。子どもたちは大人を見抜く力を持っています。だから、私たちは時には人間対人間として対峙したり、年の差のある友人として雑談をしたりもします。そういう中でなかなか話してもらえない別文化での気持ちも探りながら、一人ひとりへの理解を深め、より強固な基盤に立った学力向上を指導していきたいと考えます。
次に、新中央エリア責任者としましては、各校での「平日授業」(受験総合講座)指導と難波校集結の「土・日曜特訓」講座を軸に、能開センター・中央エリアをよりダイナミック、よりエキサイティングに盛り上げていこうと思っています。また「中学受験フォーラム」をはじめ、いろいろなイベントも催したいと思います。そういう中で、子どもたちばかりでなく保護者の方々も含めた交流を広げられればと願います。
なお、小6「土曜特訓」は難関校特訓の細分化と整備をいっそう進め、ますます充実させます。特に算数では、「灘特訓」「東大寺・洛南特訓」「星光・西大和特訓」「南海・四天特訓」の4クラスを難波校で開講し、志望校別対策をいっそうリアルなプログラムとしてお送りしていきます。
最後に、個人的には難波校に着任して4年目。そのとき小3だった会員たちも今年度は受験生です。1つの仕上げとして、彼ら彼女らの成功に、誠心誠意、力を注ぐつもりです。

本日はありがとうございました。

(2007.04)