指導者が語る合格指南

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西大寺校責任者 坂下 立起 受験は未来の自分自身へのチャレンジ!

中学受験指導歴17年。
大阪・奈良の各校で責任者を歴任し、
西大寺校責任者としては就任3年目。

昨年度の健闘、そして今年度入試の「台風の目」

次の入試が近づいてきました。まず、西大寺校および奈良県の入試状況について教えてください。

西大寺校の責任者となって3年目となります。近畿圏統一入試となったこと、そして京阪奈の要に位置する住宅地・奈良市という立地からも、難関中学受験においては依然高いレベルでの競争が続いています。そのような中で、西大寺校の会員生諸君は非常によく頑張ってくれていると思っています。
昨年度、最難関中学受験クラスの諸君は、全員が東大寺、大阪星光、西大和のいずれかの中学に合格しています。併せて洛星中やラサール中にも合格しました。女子はいませんでしたが、いればターゲット校は洛南高附属中になったでしょう。それから難関中学受験クラスからも、東大寺、大阪星光、西大和中に挑戦し、見事合格を勝ち取ってくれた諸君達が多数出ました。女子の場合は四天王寺中ですね。あと、帝塚山、奈良学園などの中学が有名中学受験クラスを含めたターゲット校であり合格校です。
今年度入試で「台風の目」となるのは、新設の奈良学園登美ヶ丘中ですね。阪奈一体となった中学入試で、交通利便なこの中学へは大阪の受験生が数多くトライすることになるでしょう。ですから相当数の受験生が集まり、合格難度が跳ね上がることが予想され、安易な受験は通用しないと考えています。
それから、奈良学園登美ヶ丘中の新設を機に、北奈良地区の私学が活性化しているように思いますね。たとえば、女子コースで定評のある帝塚山中は、男子コースの充実を図るためスーパー理系選抜クラスを新設されました。よい相互刺激が起こっているのだと感じます。この地区には2010年春に近畿大学附属小の移設も予定されており、やがて中学も開設されることでしょう。今後も話題満載の北奈良地区です(笑)。

「面倒見が良い」指導を自学自習にも活かす

西大寺校での指導についてお聞かせください。

昨年からこのビルの5階に、能開プレスクールを開設しました。奈良学園登美ヶ丘小の新設、それに2010年度の近畿大学附属小の移設予定を踏まえてのものですが、それだけではありません。幼児期から受験生となる小学6年までの、一貫した中学受験指導をめざしております。少々おこがましいですが、私たちは私立小学校と同等以上の教科指導レベルを実現していきたいと考えています。
そう言えば、夏期講習会では小学1・2年生の受講が目立ちましたね。私立中学や小学校の新設ラッシュが、各家庭には中学受験を含めたお子様の進学戦略を早期に考える契機になったのかもしれません。今の公立小学校の指導だけでは不安だという気持ちもあるのでしょう。
さて、私たち能開センターの基本的な考え方に「自学自習できる子」を育てたいということがあります。以前なら、授業後の「家庭学習」は文字通り各家庭でということでした。しかしいったん家に帰れば緊張の糸が切れてしまい、なかなか再び集中できないという声を多く聞くようになりました。そこで西大寺校では授業後も、ご家庭の了解のもと、残って自学自習したい子どもたちに教室を開放しています。授業の緊張を持続できてか、みんな集中して各自の勉強に取り組んでいますね。
私たち指導陣も、授業担当者がそのまま教室に残り、質問にも応えます。実は私たちにとっても、一人ひとりに対して個別の指導ができる時間にもなっています。講習会でもこの調子なので、夏休みの間はきっと家族の方より長く子どもたちと過ごしていたでしょうね(笑)。
私たちが大事にしたいのは、決して物理的な近さではありません。一人ひとり違う子どもたちの、ありのままの学力をどれだけ正しく理解できているか、ありのままの気持ちにどれだけ近くいるか。これらこそが指導者にとって根本的に重要なことだと認識しています。私たちが言う「面倒見が良い」とはこういう意味でなのです。

合格という出口を見据えて、見通しをもった指導

そのほか日々実践していることは同じ能開センターですので他校と変わりませんが、多少コメントさせていただきます。まず、西大寺校では授業前後の安全管理には特に気を遣っています。そこを横断しなければならない駅前道路の交通量が多いので、必ず駅前まで行って数人で誘導しています。毎日そうしていますので、地元の人たちにもすっかりおなじみの光景です。
「能開ダイアリー」は学習・生活リズム作りに欠かせません。特に1年間のゼミが始まる2・3月には、習い事や睡眠時間まで含めて1週間・毎日のスケジュールづくりをさせます。そして4・5月には、改善した生活パターンを一人ひとりに確立させています。
ノートづくりも学力向上に重要なスキルです。ノートは授業用と家庭学習用の2冊を科目ごと用意してもらいます。家庭学習用ノートは毎週回収して点検し、コメントをつけて返却します。
各テストは各人の学力の現状を把握する大切なツールですが、それだけにとどめていません。各人にとっての最良の教材とできるのです。特に6年生には「中学受験公開模試」と「実力テスト」の実施後、その日のうちにやり直しと解説授業の時間を設けて、効果的な指導を心がけています。
西大寺校の指導陣は、中学受験指導のベテラン揃いです。豊富な経験に基づくノウハウはもちろん、志望校合格という出口を見据えて、きちんと見通しと対策をもった指導ができていることが自慢できることだと思います。

指導者ではないご家庭でしかできない役割を

西大寺校責任者 坂下 立起

志望校合格、また学力を伸ばすに大事なことは?

ご家庭の理解と協力、これが大きいと私は思いますね。この地区は教育熱が大変高いところです。ですが、中学受験をするというプロセス全体が実際どのようなものであるか、案外知られていません。ですから今秋も「中学受験フォーラム」と称して、小学校低学年のお子様がいらっしゃる中学受験をお考えの皆様には、いろいろとお話をさせていただく予定です。
ふだんはどんなに客観的なものの見方をされる方でも、自分の子だけには冷静な目を持てないのが親というものです。小学生の時期の子どもは驚くほど変化し、成長しています。学力においてもそうです。本人を上手にやる気にさせ、きちんと踏むべきステップを踏ますことさえできれば、確実に学力は向上し、めざすべき志望校突破も夢ではありません。ところが、ここでしばしば阻害要因となってしまうのが間違った「親心」なのです。
まず、お父様お母様の間で方針の不一致があってはいけません。ふだんからコミュニケーションをよく取り、家庭内の意思統一を図ることが大事です。それに能開センターとの連携です。私たちが指導者として、その時期その時期にお子様に取り組ませていることの意味をよくご理解いただくこと。
たとえば、テストで悪い点を持ち帰ってきたとき、頭ごなしに「なんでこんなのできないの!」と言ってしまう。これは絶対にダメです。それは、できなかった問題がその子にとってどんな意味をもっているかを知悉している私たち指導者の役割です。ご家庭の役割はそうではありません。「難しかったのね」と声をかけ、まずお子様の言い分を聞いてあげていただきたいのです。そして、ご家庭でしかもらえない言葉をかけてあげていただきたいのです。
小学校時代の子どもの学力は一直線には伸びません。伸びる時期も定まっていません。お子様を信じて我慢してあげることが大事です。ご家庭で叱るべきことは、テストの点ではなく、家庭内の約束事に関してです。そして、ほめると叱る、この二つのバランスを上手に取ることです。

「子ども社会」に任せないこと、子ども扱いしないこと

家庭でできる学力向上につながることは?

私が直接指導している教科に国語がありますが、語彙力の低下が著しいと痛感しています。貧弱な語彙力のままでは、入試国語での文章読解に歯が立たないことはもちろん、読書が好きになれないのも当然なことです。ですから私たちは語彙力の充実には、特に力を注いでいます。
「子ども社会」での日常会話の語彙が貧しいのが根本問題だと思いますね。たとえば「サイコー」「サイテー」「ムカツク」「ビミョー」など、どれもカタカナ語なのです。漢字で書けない。しかも語義が大雑把で、表現したい気持ちを厳密には伝えられない。感情語の貧しさは感情の貧しさにもつながります。「悲しい」と「もの悲しい」の違いを訊いても誰も答えられません。これでは文章読解はできません。
子どもたちだけではふだん使わない言葉や知識を知るきっかけは、大人との会話です。それが読書への興味にもつながります。親子で会話をすることが学力向上にも非常に大切だと思います。子どもを子ども扱いせず、ニュースになっている政治問題でもどんどん話すことです。「どうせ分からない」ではなく、分からないからこそ話すことが教育です。「子ども社会」だけに任せていては成長はありません。
お子様がまだ低学年なら、経験を積むことを重視してください。一流のモノに触れる、リアルな体験をすることはかえがたい財産になります。ただし、ここでも重要なことは子ども扱いしないこと。たとえばアウトドア体験は「おもしろかった」だけでは意味がありません。大人同様に役割をもって「仕事」をすることが本当のアウトドア体験になるでしょう。
関連して言えば、子どもたちは地理感覚にも驚くほどうとくなっていますよ。「ディズニーランドに行った」が、何県にあるか知らない。「日本海に泳ぎに行った」が、どういう経路でそこまで行ったのか知らない。子は親の鏡です。そして子どもたちは私たち指導者の鏡でもあります。このことを胸に刻んで指導に当たりたいと思います。

受験プロセス全体の総決算としての入試本番

受験に向けてアドバイスをお願いします。

受験は子どもにとって数年間にわたるトータルな体験です。特に中学受験は、何年間か家庭を巻き込んでのトータルなプロセスです。そして合否という結果は出ますが、それで終わりではありません。むしろ始まりです。保護者の方は、お子様の人生にとって「何のための受験なのか」をきちんと位置づけて、冷静に時々の判断と行動をしていかなければなりません。
「結果よければすべて良し」とはよく言ったものです。とにかく志望校に受かればよい、ということを言いたいのではありません。たまに、偏差値の高い第一志望の1校しか受けさせないというお考えを聞きます。これは、その子の受験プロセスはすべてこの合格のためだけにあったと言うに等しいことでしょう。もし不合格になれば、その子の数年間にわたる努力は何だったのでしょうか。
受験するというプロセス全体の中で何を学ぶことができたのか、その総決算として入試本番はあります。単なる1回の試験ではないのです。そのことを確認できる受験でなければなりません。受験は運試しや賭け事ではありません。結果にたとえ満足できずとも、「納得できた」と言えなければならないのです。それができて、初めて「次」につながるのです。
私たちは必ず、3つのタイプの受験校選びを指導しています。まず、本人が行きたく、かつ合格できるだろう「本命」校。次に、行きたいが合格には届かないかもしれない「チャレンジ」校。最後に、これまでの受験勉強の成果を確認できる「確保」校です。それぞれ、第一、第二、第三志望校となります。こういう併願パターンでの受験が、これまでの努力をトータルに評価してくれるものとなります。

受験は未来の自分自身へのチャレンジ

無論、偏差値だけで志望校を選んではいけません。そこで6年間過ごす私学の場合、校風は決定的に重要です。中学・高校時代をどんな教育環境の中で過ごすのか、それこそが受験の本当の目的であったはずです。そこでお子様が学力面だけでなく、人間的にものびのびと大きく成長されることが本来の動機だったはずです。
小学校、中学校、高校、大学、実社会と、次々広がっていく「社会」の中で育っていく子ども。その中では、自分の思い通りにならないこともたくさんあります。社会では、誰も勝ち続けることはできないのです。負けることを知ることも必要です。心に傷を負い、痛みを知ることも人生なのです。
中学受験というプロセスでは、さまざまな「壁」にぶつかります。その壁を苦労して努力して、自分自身の力で乗り越えていくこと。それこそが受験勉強とともに、学ばなければならないことではないでしょうか。大きな仕事の達成には時間がかかること、自分の力のなさを知って改めて勉強すること、一つひとつの壁を乗り越えたときの喜び、分かることの楽しさ、ライバルであるとともに励まし合える仲間の存在、等々。これら全体が能開センターの考える受験です。
これからの人生では、社会で自立・飛躍していくため、「未来の自分自身」へチャレンジしていかなければならない場面が何回もあります。その原点となるような中学受験の指導を私たちはめざします。来年初めには、いま私たちが指導している子どもたちが受験の総決算に挑みます。私たちは全力でサポートしていきたいと思います。

本日はありがとうございました。

(2007.10)