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低学年プロジェクト責任者 古山 竜司 中学受験で成功するために低学年時にしておくこと

 入社以来、一貫して低学年生の指導を難波校で、その後上本町校で担当。この間、教育心理学をはじめとする教育諸理論、また算数学習論などについて自主研鑽を重ね、「古山イズム」とでも称すべき卓越した指導論を打ちたてて、能開・低学年生指導の第一人者となる。
 教科は算数を指導するが、クラスでは子どもたちから、難問をたちまち解決し勉強を大好きにさせるヒーローとして「フルヤマン」の愛称で呼ばれる。「頭と心に深く刻まれる感動授業を!」のモットーのもと、子どもたちに学習意欲を内発的に動機づける正統派スタイルで、来るべき中学受験で成功できる強靭な基礎力を有する子どもへと導く。

「学ぶ楽しさ」を知り「やればできる体験」を数多く積むこと

まず、「6年後の中学受験に備え、どうして小学1年生から通塾させる必要があるのですか」という、よくあるご質問へのお考えからお聞かせください。

 はい。そうおっしゃるご家庭では、「通"塾"」こそされていませんが、おけいこごとの一つとして近くの学習教室などへお通いの場合がほとんどでしょう。なぜそうされているのでしょうか。理由は二つあって、一つは何もしないと不安だから。もう一つは、少しでも早くから学習を進めた方が受験でも有利だろうということです。にもかかわらず「通"塾"」されないのは、長期間にわたる受験準備はかえって途中で息切れしてしまうのではないかとご心配だからです。つまり「通"塾"」されないのは、いずれにせよ、そうするだけの積極的な理由をお持ちではないからなのですね。
 「能開one-twoスクール」(能開ワンツースクールは能開センターの、将来最難関中学受験をめざす小学1・2年生のための専門指導部門名)にはそんな息切れはありませんし、小学1・2年のときにこそ能開で学んでいただく積極的な理由があります。それをお話しいたします。
 小学生の各学年には重要な意味があるとともに、その一年一年の意味合いはそれぞれ異なります。一様にただがんばれば良いというわけではないのです。中学受験での成功を含めた将来のために、小学1・2年生では何をどうすべきか、これがポイントですね。低学年は、小学校・中学校・高校・大学と続く長い学習生活のスタートとなるファーストステージ(第一段階)です。お子さまの発達段階などに十分に鑑みながら、私たちはこう考えます。小学校低学年生で最も大切なことは「学ぶことの楽しさ」を知り「やればできるという成功体験」をできるだけ数多く積むこと、そして学習を生活の一部に組み込んでしまうことだと。これは学習内容面から言っても低学年時にしかできません。
 この根本体験があれば、中学受験の成功まで息切れするというようなことはありませんし、むしろ生活に溶け込んだ学習を「楽しいもの」「やればできるもの」と考え、難問にも素朴な自信をもって進んでチャレンジしていけるのです。ですから低学年で身につけるべきことは、学習内容以上に学習体験そのもののありようなのです。能開ではこれを徹底して身につけてもらいます。

中学受験まで責任をもって一貫指導する能開だからこそ

なるほど低学年でしっかり身につけるべきことはわかりました。それを能開で学ぶ意義をさらにお聞かせください。

 はい。能開とお近くの学習教室などとの一番大きな違いは、授業形式でしょう。学習教室での授業は、まず個別方式ですね。一方、能開は集合スタイルの授業で学習を進めます。この違いからは実はたいへん大きな差異が生まれます。個別だと、指導者が自分に話しかけていることは明確ですし、指導内容も当然その子に合わせたものとなります。
 ところが集合授業ですと、その「対話」が「一対多」となり、指導者が自分に話しかけているのだと意識し自分から積極的に「聞く」という姿勢をとることが必要となります。また指導内容も、学習のスタート時には必ずしも自分に合っていないかも知れません。もしそうなら、その差を埋めるために学習能力上の努力(たとえば「やる気」)が要求されます。それを顕在化させる際には、いっしょに学んでいる学友の存在も大きな力となるでしょう。当然のことながら、こういったことは個別方式では実現できませんよね。
 実は、こういう学習プロセスこそがお子さまの能力を発達させるたいへん重要な契機となります。援助者に頼らず、自律的に学べる能力ですね。その「聞く」能力は「書く」能力に、さらに「考える」能力へとつながっていきます。こんな学習基礎能力の発達度合いは小学3年生以降に総合的な能力差となって大きくあらわれてきます。
 次に教科面で言いますと、学習教室の算数では指導者の専門性の問題からでしょうか、図形の学習はありませんね。算数では計算や文章題とともに、図形についても「楽しいもの」「やればできるもの」と親しんでおくことが大切です。国語については、「能開one-twoスクール」では断片的な文章ではなく、一冊の本をまるごと学んでいきます。物語全体の組み立て、登場人物たちの心情、さらに著者の言いたかったことまで味わっていきます。こうして低学年生のうちに本に親しませ、本好きの子にしてしまうことがねらいです。このように学んだ子どもたちは3年生になって、本から抜き取られた文章で学習するようになると、こう言います。「先生、この続きが読みたい」と。
 3つ目に、「LOG(ログ)ティーチャー」の存在です。低学年生をお持ちの保護者の方々からよく伺うお悩みに、お子さまが学習内容をどこまで理解できているのか、あるいはできていないのかがよくわからないということがあります。それがもとでイライラされ、お子さまについきつく言ってしまわれる原因にもなりかねませんし、何よりご家庭で学習を進めるに当たってずいぶん非効率ですよね。そこで「能開one-twoスクール」では、授業指導者とは別に、お子さま一人ひとりをフォローしつつ、授業中の様子を記録(LOG)する補助指導者(ログ・ティーチャー)の制度を敷いています。単元ごとの理解の様子も「LOGシート」に記録し、毎回各家庭へご報告しています。
 最後にもう一点、中学受験との関連ですが、能開の真の強みはここにあります。小学1年生で入会されたお子さまをそのまま、責任をもって中学受験・合格まで6年間お預かりする一貫指導を行っています。当然、受験までの実際の指導内容と入試合否データに基づく情報を「能開one-twoスクール」にフィードバックし、低学年生指導に生かしています。先ほどお話ししました低学年時での学習とその後のことも、私たちが実際に目にしてきた事柄なのです。さらに言えば、能開には高校受験、大学受験の各専門指導部門もあり、最終的には大学受験の現場からフィードバックされた情報も共有して、万全の低学年生指導を行っています。

「学習の"言葉"」を自分のものにし、楽しい学習を体験する

よくわかりました。学習内容としてはどういうことが目標となりますか。それから「フルヤマン」と呼ばれる先生の授業についても少しご紹介ください。

 「能開one-twoスクール」での目標は、小学3年生以降どんどん広がり深まる学習内容を十分に理解し吸収していける強靭な基礎力を養うことです。この基礎力が十分であれば勉強がどんどん楽しくなりますし、もしそうでないとすると次々に登場する学習テーマを消化しきれないうちに次の単元を学び始め、悪くすれば苦手科目への道をたどり始める…、というような違いとなって現れるからです。
 その基礎力とは、算数では計算力、国語では読み書き力ですが、これらは言わば「学習の"言葉"」なのです。その言葉がスラスラと使えるようになることが目標です。学習の"言葉"を自在に操れるお子さまは、問題を解く方向性さえ見出せれば、あとは正解までつまずくことなく進んでいくことができます。そして保護者にもほめてもらえます。
 ところが、学習の"言葉"を自由に扱えないと、たとえ解き方がわかっていても正解に至る途中のどこかでつまずくことになります。つまり正解へは至れないのです。そうすれば、せっかくがんばって勉強してもほめてもらえないという結果になりますね。それでやる気を無くしてしまう、そんな悪循環にも陥りかねません。それにそもそも"言葉"を自由に扱えないと、学習自体が苦痛になります。それはあたかも、歩行するのにいちいち「次は右足を出して、それから左足を…」と考えながら歩くようなものなのですから。
 計算は、授業では小学2年終了時までに小4レベルの整数計算を自分の"言葉"にできるようにします。これで、どんな文章題や図形問題でも立式さえできれば、あとは間違いなく解けるようになります。国語も同様ですが、知らない漢字や言葉が少なければ、長い文章でもスラスラ読めて、書いてあることがすんなり頭の中へ入ってくるようになります。問題が解ける前提は何がどう書いてあるかがわかることですから。
 計算や漢字は毎日練習することです。能開での授業は週1度だけですので、たとえば朝の15~20分くらい、家庭学習用の教材をすることを日課に組み込んでください。毎日食事をとるように当たり前にするのです。こういう良い習慣づくりこそ、低学年時にするべきことです。
 もちろん、学習が思うように進まないこともありますが、それを自分で乗り越えていくことが大切なのです。「能開one-twoスクール」のその後の子どもたちを見ますと、1・2年のとき、解けなくて悔しく泣きながらもがんばっていた男の子たち、どんなことがあっても宿題を欠かさずコツコツと努力していた女の子たちが中学受験でも成功していますね。

 私の授業ですか(笑)。勉強をがんばるにはやはり感動が必要なのです。それを毎回の授業の中で味わえるように工夫しています。勉強がおもしろい、楽しいと感じるのはですね、「難しく見えた問題が自分で解けた」ときだと思うのですよ。解き方とは着眼点を見つけることです。ですから、着眼点の見つけ方を教えるようにしています。
 たとえば、算数で単位などの量概念は非常に重要なのですが、これがなかなか子どもたちはつかみきれません。それが持てているかどうかは算数を得意にできるかどうかとも密接に関係しています。「1kgの重さって、どれくらい?」と言っても、ピンときません。そこで「空のランドセルくらいだよ」と教えてあげます。身近に感じられる日常に戻すのです。すると、子どもたちは家に帰ってから空のランドセルを背負って体重計にのるのです(笑)。
 それから、図形問題は楽しい勉強の宝庫ですね。たとえば、三角形の3つの頂点を少しずつ切り取った変形図形の周囲の長さを求める問題なのですが、最初はきちんと辺の長さを1つずつ足し引きして求めていく解き方を教えます。それができた後、こうしても解けるよと、切り取られた部分の辺を空間移動させて一挙に立式できる解き方を紹介します。「おー、すごい!」という声が上がりますよ(笑)。「じゃあ、この長さはわかるかな?」とすかさずその類題を出します。自分の手と頭でその解ける楽しさを味わってもらうのです。算数のおもしろさは別解があることです。それを自分で追求し始めると、もう算数は得意科目です(笑)。

良くできる子を育てるご家庭での3つの秘訣と魔法の言葉

低学年生をお持ちの保護者の方々へアドバイスをお願いできますか。

 まず、3つ申し上げます。
 1つ目は、家庭学習を小分けにしてすることです。能開の宿題はやろうと思えば1日でも終えることができますが、一気にしないで毎日するようにさせてください。先ほども言いましたように、毎日勉強すること、勉強しない日をつくらないこと、日課とすることが眼目なのです。能開に行かない日の過ごし方が大切です。具体的には、たとえば国語で6ページ分の宿題があるとしますね。毎日1ページずつとか、2ページずつ3日に分けると良いでしょう。大事なのは早く終わらせることではありません。
 2つ目は、その時間を測ることです。これは、どういう学習態度やプロセスで勉強するか、という問題です。同じ正解でも、ダラダラして解いたものと集中してすばやく解いたものとでは、その学習の質、意味がまったく異なるのです。算数なら、授業では1問を2~3分で解いていきます。さっさと解いていくという習慣を身につけることが大切です。勉強時間は短くてもかまいません。勉強はやりさえすれば良いということではないのです。この習慣づけがテストにも強い子を育てます。
 3つ目に、答え合わせ(◯つけ)をお子さまにさせることです。能開では小学1年の二学期から、子どもたちに「◯つけ」をさせています。無論、「◯」ばかりではありませんよね、「×」をつけなければならないこともあります。自分で自分の間違った答えに「×」をつけられる、それが大事なのです。そしてそのやり直しができる子が伸びます。素直に自分の間違いを認め、次に直していける子が受験にも強いことは言うまでもありません。
 以上のようなことが、小学3年生以降に「自学自習」できる子を育てます。また保護者の方にもこのようにして、「放任」でも「過保護」でもない「見守る」というお子さまへの接し方を低学年生のうちにつくっていただきます。
 では、保護者の方の役割とは何でしょう。良くできるお子さまのお母さまは、お子さまへの評価が上手ですね。お子さまがやったこと一つひとつに対して、「すごいわ」「上手ね」「お利口さんよ」など、短い言葉で細かくほめられます。ほめ言葉の語彙を豊富にお持ちです。ほんの2~3秒のメッセージですが、それらは子どもの心をどれほど奮い立たせていることでしょう。
 評価がなくて「とにかくやりなさい」と言ってしまうと、子どもたちには「やらされている感」がたまっていきます。そこへ追い討ちのように「早くしなさい」では、大人でもやる気をなくしてしまいますよね(笑)。ねぎらいとしての評価は、子どもたちの動機づけに欠かせない「魔法の言葉」なのです。ほめることが、お子さまを学習好きな子にします。「ちゃんと見守っているよ」というメッセージなのです。
 お叱りになるのは、約束したことへの違反、ルール破りに限ってされることです。これはこれで大事です。それを1回でも見過ごすと、ルールを破っても許してもらえるという甘えを生みます。例外をつくってはいけません。ダメなものはダメ、これを徹底することです。

「完璧を求めない」「人と比べない」などご家庭としての力も大切

よくわかりました。でも、読者を代表して言いますが、つい叱ってしまいがちです。最後に、そんな私へのアドバイスもお願いします。

 はい(笑)。保護者の方、特にお母さま方は、お子さまにどうしても「完璧」をお求めになってしまうのです。そのあらわれの一つが「人と比べる」ということです。ご兄弟姉妹、クラスの誰か、ご近所のお子さまとかと。はじめは、人と比べて「良い」ときについほめてしまいます。そうすると、「悪い」ときに叱ることになってしまうのです。人と比べたら、良いときもあれば悪いときもあるのが当然です。だから人と比べてはいけないのです。
 常に「満点」を求められるのも同じです。その子その子に合ったバランスというものがあります。能力は総合的なものです。お子さまを信じて、ほめて見守る。これが小学3年生以降、また将来伸びる子を育てる秘訣です。お子さまは年々育ち、変わっていきます。評価軸自体も変わっていきます。低学年時には、それに見合った育て方、見守り方が必要なのです。
 ですから、ご家庭にはそういう、お子さまにとって最良の学習環境を実現・維持できる「家庭力」とでも言うべき力をつけていただくことも大切だと私たちは考えています。お手軽にそれを学んでいただける機会が能開の行っております「教育フォーラム」です。毎回、ご家庭での学習法やお子さまへの接し方などをご紹介しています。保護者の方々も頭ではよくご承知のことながら、誰かに言われなければなかなか心に収まりにくいことも多いのではと存じます。ぜひご活用くださればと思います。

ありがとうございました。