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岸和田校責任者 岸本 裕貴 清風南海中に岸和田校28名合格の指導力の秘密

アメリカ留学より帰国後、縁あって能開センター(ワオ・コーポレーション)に入社。「算数大全」の編集に携わりながら、大阪・奈良の各教室で算数の教科指導に当たる。3年前、岸和田校責任者に任じられ、以後伝統ある岸和田校流の指導法の継承と練磨に努める。アメリカ仕込みのコンピュータ・プログラミングで培った才能と根気を教科研究でも活かし、入社1年目より算数科副主任としてテキスト編集チーム算数リーダーの要職を兼務する。はにかみがちに話す中に、時折寸鉄のごとく鋭い言葉が光る。

清風南海中に岸和田校1校で28名合格の指導力

岸和田校と言いますと、能開の中でも「子どもたちの学力をとことん伸ばす校」として名高いのですが、まずは実績をお教えください。

 はい。もう1年前になりますが、2012年入試では、東大寺学園5名、西大和学園12名、大阪星光学院7名、清風南海28名、智辯和歌山9名などが主要中学での合格者数です。残念ながらこの時は灘はゼロでしたが、来る2013年入試では合格者を出します。

清風南海中に岸和田校たった1校で28名とはスゴイですね…。

 そうとも言えますが、岸和田校では20名越えが"当たり前"とも言えます。まず、お子様を岸和田校へお預けの保護者の方々がきっとそうお思いだと思います。次に、そういう先輩たちの背中を見ながら、毎日コツコツと学力を伸ばしていった子どもたちもそうでしょう。そして私たち指導陣も"当たり前"のことだと思っています。
 ただし、急いで付け加えますが、"当たり前"の意味が保護者の方や子どもたちのものとは別物です。私たちにとって、それは「自分たちの仕事に要求される水準として当然のことだ」という認識を持っているという意味です。シビアな校なのです(笑)。そういう真剣勝負を、自分たち自身への挑戦として楽しんでもいるのですが。
 初めは、私なんか岸和田校の先生方に相手にされませんでしたよ。一指導者として認めてもらえていなかったわけです(笑)。岸和田校の指導者間の相互評価は、子どもたちの成績アップ、さらに第一志望校合格など指導実績こそがすべてです。それがあって初めて、一指導者として認めてもらえるわけです。そんなプロ意識を持った集団が岸和田校の指導陣です。

入試風景の中で"人を育てる仕事"のすばらしさに目覚める

改めてお聞きしますが、岸本さんはどういう経緯で入社されたのですか?

 実は私自身も中学受験体験者です。中高6年一貫の私立校に通ってその後大学に進学し、法律を勉強していたのですが、どうも違うな、と感じました。本当はコンピュータの勉強がしたかったのです。時代は、いまのパソコンの原型となったWindows95が登場し、ようやくインターネットが新しい物好きたちに注目され始めた頃でした。
 思い切って単身渡米し、東海岸にある或る州立大学でプログラミングを学びました。アメリカでは、ずっと機械相手の生活をしていたわけです。
 帰国後、さてこれからどうしたものかと思っていた頃、能開にいた私立校時代の同窓生にコンピュータができるならと誘ってもらったのが「能開センター」、そして「算数大全」との出会いでした。
 パソコンを使っての「算数大全」の図版作りが最初の仕事です。マシン相手の仕事スタイルが身についてしまっていて、ろくろく挨拶もしない無愛想な奴だったと思います(笑)。それを1年ほどしていましたが、そのうち能開の年間イベントでも最大のもの、すなわち入試がめぐって来ました。自分でも何を思ったものか、私もある有名中学に連れて行ってもらい入試応援のマネごとをしました。
 そこで見た光景が忘れられません。いろんな学習塾の様々な応援旗や幟(のぼり)が風にはためく中、寒さにもかかわらず興奮と緊張からか頬をピンク色に上気させた子どもたちの表情がとても印象的でした。そしてこれからまさに一発勝負である入試に臨む子どもたち一人ひとりに、力強く懸命にあるいはやさしくそっと肩を抱きながら、最後の励ましの声をかけ、子どもたちを試験会場へと送り出していく能開の先生たち。それはとてつもなく熱い光景でした。こんな世界があるのだ――と深く思いました。
 ずっとパソコン相手の仕事をしてきましたが、人と接する、人を育てるということはもしかしたらパソコンよりおもしろいのかも知れない――と思い、無性に自分も授業をやってみたくなりました。それまで人前で話すことさえ苦手だったのですが…(笑)。

岸和田校を率いる「リーダー」ではなく「サポーター」として

その後のことをお教えください。

 正式入社後は、図版作りから関わり始めた「算数大全」を、中身まで含めて編集していくことが私の仕事になりました。一方で、厳しい授業研修を受け、教室での授業デビューを果たしました。先ほどは岸和田校のこととしてお話しましたが、どの校でも同じことです。まず初めの目標は、同僚の先生たちに一人前の先生として認めてもらえること。無論、それが目的ではありません。すなわち「子どもたちの学力を伸ばすこと」が私の最大の課題となりました。
 私には何ができるか、と考えました。幸い「算数大全」の編集に携わっていることを活かし、算数という教科に強くなろうと決意しました。根をつめてやり抜くことについては、数百行、数千行から成るプログラムを書き上げることが珍しいことではないコンピュータのプログラミング作業で慣れています。たった1行のミスで、苦労して作ったプログラムが動かないこともあるのですよ(笑)。
 各中学の過去の入試問題、いわゆる「過去問」ですが、これらを徹底的に解きまくりました。それに、「算数大全」など能開のテキスト解説を入念に読み込んでいきました。こうして入試問題の実際と特徴、また能開の算数解法の習熟と研究を重ねていきました。たとえ授業力では未熟でも、教科力では誰にも負けないようにしようとがんばりました。
 ところで、「算数大全」の方は2004年から順次導入されていきましたが、この編集チームのリーダーとして算数科副主任となり、2007年にようやく「算数大全」全15冊すべてをリリースすることができました。
 3年前になりますが、算数科副主任のまま岸和田校へ配属となりました。まさか自分が校責任者になるとは思わなかったのですが、まもなく岸和田校責任者に任命されてしまいました(笑)。優れた指導陣がずらりと居並ぶこの岸和田校を取り仕切る「リーダー」なんて、自分にはまだまだ務まらないと思っていたのです。
 そこで、発想の転換をしました。「リーダー」ではなく「サポーター」になればいい。指導陣が思う存分に授業や指導に力を尽くせるよう、また子どもたち一人ひとりが秘めている能力をとことん引き出していくことをサポートしていくことにしようと思いました。「マネージャー」(管理者、責任者)には、確かにそういう意味もありますよね。そうして何とかやっています(笑)。

ノートチェックとスケジュール管理で「ゴールデン・ロード」へ導く

ずばり、岸和田校の指導力の高さの秘密を伝授ください。

 秘密ですか…、困りましたね(笑)。はなはだ平凡な回答で申し訳ないのですが、当たり前のことをしっかりやる、これに尽きると思います。
 私たちの仕事は、子どもたちの学力を伸ばし、第一志望校へ合格させてあげることです。当然のことながら、勉強するのは私たちではなく子どもたちであり、受験するのも子どもたちです。私たちがどんなにいい授業をしても、子どもたち自身が学んでいなければ、勉強していかなければ、全く意味はありません。
 つまり、私たちの本当の仕事は、子どもたちに「教えること」ではなく「学ばせること」、自分の学力が伸びていくような勉強をさせてあげることなのです。そのためには、時には強制力を働かせることも必要ですが、永続的には通用しません。やはり自分自身でがんばっていけるよう動機づけていくことが絶対に必要です。これが指導であり、指導力なのだと思います。
 その手がかりは子どもたち自身のノートです。私たちの仕事はこの「ノートチェック」に始まります。宿題をしたかどうかではなく、かなり細かいチェックをします。テキストを脇に置き、子どもたちの思考の跡をなぞりながらチェックしていきます。どこまで理解できたのか、どこでつまずいているのか、などですね。これが「定点観測」になります。
 あと、時間軸のマネジメントが「スケジュール管理」です。つまり、適切な予定立てとその実行なのですが、これが不十分なら成績は確実に下がりますね。時間はどんどん過ぎていきますから、一つ停滞が起きますと次々に滞り、言わば「渋滞」で前へ進めなくなります。そうすると、勉強が進まないから、テストで良い点が取れない、だから勉強がおもしろくない、ますますやらないという悪循環になります。これを「ダーク・ロード」と呼んでいます。
 これに陥らないようスケジュール管理を行います。つまり、理解が進んで今より出来るようになる勉強をしているから、テストで得点が伸びる、だからおもしろくて楽しい、ますますやる気が起きるという好循環に持っていきます。これを「ゴールデン・ロード」と呼んでいます。
 そこで重要になるのが、子どもたちがいまどんな状況にあるのか、ですね。その把握(定点観測)をこのノートチェックで行っているわけです。もし「停滞」が見つかれば、ただちに対処し悪循環の芽を摘み、好循環へと導いていきます。

「入試」という厳しいルールの「ゲーム」に勝ち抜くために

 岸和田校では、なるべく早い段階から一人別の入試目標を立てるようにしています。それが何よりの指導上の指標となりますから。岸和田校でのいろいろな決定も、もしそうすれば子どもたちの成績が伸びるかどうかを基準に判断しています。夏期講習のとき、授業前の自習時間を使って暗記テストを毎日実施しようとの提案がある先生からあったのですが、これもそういう観点から実施を決めました。
 岸和田校の子どもたちはやんちゃな子が多いと思います(笑)。でも、授業が始まるとピシッとしますね。先生の話を聞く、ノートに写す、を切り替えるクセをつけさせるなど、けじめや集中力が高まるような「しつけ」を校全体で心がけています。
 小学3・4年で入会いただきますが、小4のときの成績を能開全体で比較しますと、実はあまり良くありません。ですが、この1年をかけてしっかりと学力を鍛えていきます。特に集中して学べる講習が重要ですね。主要教科の算数や国語はやはり小4・5の基礎力で小6での伸びがある程度決まってきます。だから、私たちは小4が非常に重要な学年だと考え、その指導に重点を置いています。
 その結果、現状のような6年生たちがいるわけですが、その学力水準は3クラス中3番目のクラスで能開偏差値50程度です。着実に伸ばせていると自負しています。
 私自身は、算数の指導で基本のマスターを重視していて、しっかりと復習するよう宿題を課しています。類題を何回も解かせ、自分の苦手テーマを克服させるようにしています。
そしてそれをチェックして、例外を許さないよう厳しく指導し、先ほどの「ゴールデン・ロード」に向かわせています。
 ただし、授業自体は明るくおもしろい時間になるよう、授業に行くことが楽しくなるように心がけていますよ(笑)。私は算数の教科力で子どもたちを引きつけたいですね。いまのところはまずまずでしょうか(笑)。
 「算数は"解く早さ"や"頭の賢さ"ではなく、試験の"得点"を争うゲームだ」、こんな言い方を時にはします。「結果」に出さなければ、スピードも本当の頭の良さも評価されないというルールの「ゲーム」だ、という意味です。スポーツと同じですね。ルールがあるのです。これは「早さ」などを競い合うことが好きな男子に、特に言っています。
 さて、お子さまが中学受験をめざされている保護者の皆さま方へ一言アドバイス申し上げます。お子さまが困っているときに、すぐに手を差しのべたり楽な道を示したりすることは、実はあまり上策ではありません。それは保護者の方にとってはごく自然なことなのですが、一方でご自身でお子さまが成長できるせっかくの機会を遠ざけられることにもなるからです。
 自分のことは自分で責任を負う。この努力と経験が大切です。そこには思わぬ困難もありますが、それこそが子どもたちの心を強く鍛え、最終的には揺るがぬ自信を培っていく成長の機会なのです。第一志望校合格という厳しい「ゲーム」では、学力とともにたくましい精神力が求められています。
 最後になりますが、岸和田校の授業や指導について難しくて厳しいのじゃないか、といった評判などをお聞きの方もいらっしゃることかと思います。でも、実際の岸和田校はご存知でしょうか。いま通ってくれている会員生の子どもたちの明るく楽しそうな様子はご存知でしょうか。百聞は一見に如かずと申します。ぜひご自身とお子さまの目でお確かめください。ご連絡をお待ち申し上げております。

ありがとうございました。