指導者が語る合格指南

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特別座談会「なぜ能開センターは大阪星光学院中に強いのか」

出席者

相良 照文 相良 照文(大阪エリア責任者)
大阪星光学院中など有名私立中学が多く所在する上町台地の中心・上本町に拠点を移した大阪エリアを、上本町校責任者を兼ねつつ、力強く率いる。

野原 正貴 野原 正貴(京阪エリア責任者)
校責任者として八尾校を大躍進させた実績を引っ提げ、枚方校(責任者を兼務)を拠点に京阪エリアを率いる。「公開模試」算数の学年編集長も務める。

南 健 南 健(泉州エリア責任者)
地元トップ校清風南海中をはじめに圧倒的な実績で、能開の牙城・泉州エリアを、泉佐野責任者を兼務しつつ長年守る。入試直前指導の総責任者でもある。

河原 豊 河原 豊(奈良エリア責任者)
奈良県責任者・池森英雄の右腕として、中学受験・奈良エリア4校を、八木校責任者を兼務しつつ率いる。西大和学園中入試の直前指導では責任者も務める。

合格術の確立が「大阪星光学院中へ行くなら能開センター」の評価を生んだ

能開センターは今年度も大阪星光学院中入試において合格者数No.1を達成しました。しかも昨年の64名合格から84名合格への大躍進です。そこで、「なぜ能開センターは大阪星光学院中に強いのか」と題して今日の座談会を企画したのですが、ほかの中学校を含めて能開は男子会員生をいかに合格へと導いているのか、その実際をざっくばらんにお話してもらえればと思います。

野原 受験生の間に「大阪星光学院中へ行くなら能開センター」の評価が浸透してきたように思いますね。第一志望は大阪星光学院中と言われて入会されるケースが多くなっています。

河原 野原さんの言う通り、転塾生には大阪星光学院中が志望という子どもたちが多いですね。能開を信じて移って来られたのですから責任重大でしたが、もちろんきちんと合格され、本人も保護者の方にも満足してもらいました。

 大阪星光学院中の魅力は増しています。校舎が一新されてきれいになり、大阪星光学院中の制服を着ることにあこがれる子どもたちの心を大いにくすぐっていますね。

野原 実際、東大寺学園中に合格しても、大阪星光学院中を選んで進学を決める子もいます。もちろん、通学の便ということもありますが、特に大阪では圧倒的に人気の男子校ですね。

 そうですよ。もっと上をめざせるのに、どうして大阪星光学院中なのかなと思う子さえいますよ。

河原 一方で、大阪星光学院中入試は難関化しています。いわゆる「午後入試」の影響で、これまでなら受験を躊躇(ちゅうちょ)していた子どもたちが大阪星光学院中にチャレンジし始め、受験者数が増えていますから。それにやはり男子難関校はそれぞれに特色ある入試問題で、大阪星光学院中は大阪星光学院中独特の難しさもありますからね。今年の算数は難問でしたし…。

野原 確かにそうですね。

河原 私が今年指導した中でも、東大寺学園中に合格した子が大阪星光学院中には「×」をもらいましたよ。

 そんな大阪星光学院中ですが、私たち能開センターは大阪星光学院中合格までの指導の道筋をほぼ確立できたと思います。それにより、大阪星光学院中受験者および合格者の裾野も拡がりを見せています。泉佐野校では6年全5クラスの真ん中クラスからも大阪星光学院中を受験し合格する会員生が生まれました。
 正直なところ、今昔の感があります。20年前なら、大阪星光学院中1名合格で本部長から祝福の電話がかかってきましたよ(笑)。いまや、能開センターの中心校で10名前後、多くの校で5名以上合格しているのですから。

入試当日の要となる直前指導の成功はすでにその前に約束されている

大阪星光学院中入試は近畿圏統一入試解禁日午前に実施される、受験生にとって初っぱなとなる入試です。能開センターはこれにどう立ち向かっているのですか?

野原 これは、「入試直前指導」総責任者の南さんかな?

 当日の入試応援には能開センターの総力を挙げて当たっています。何しろ受験生たちはしっかりしているように見えても、実は11、12歳のまだまだ子ども。何があるかわかりません。その日の気持ち一つで、合格できる力を持っていながらなぜか出なくなることもあれば、どうかな?と心配していた子が潜在力を突如発揮し見事合格を勝ち取ることもあるのですから。中学受験とはそういうものなのです。
 ですから、当日の緊張をほぐし平常心をもって最善の状態で入試に臨めるようにするため、大阪星光学院中入試では学校近隣に位置するある専門学校をお借りし、そこへ学校指定の集合時刻前に集まってもらい、「アイドリング」と「直前指導」を行っています。これは大阪星光学院中入試に限ったことではありません。できる限りたくさんの入試会場で実施しています。
 集まってくる受験生の顔を見て、表情の裏にある気持ちを読み取ります。躁、鬱いずれであろうとふだんと違う子には特に注意深く声をかけます。アイドリングというのは科目ごとのミニ授業で、早朝の頭脳を入試に向けてウォーミングアップするためのものです。直前指導とは合格に向けての直前アドバイスで、これだけはという最重要ポイントに絞り込んだコンテンツ(内容)を伝えるのですが、同時に子どもたちの気持ちを高め、強いもので満たしていくプロセスでもあります。そして気合い入れとともに入試会場入り口まで行進し、中へ子どもたち一人ひとりの肩を抱きながら送り入れていきます。
 ところが、盛況というか、能開の大阪星光学院中受験生が増えてしまって、今年はその専門学校の定員をオーバーしてしまいました(笑)。それで、来年からは場所を能開の天王寺校に移して実施予定です。

野原 この「直前指導」は、実は「大阪星光学院中合格者数No.1」を生み出した、私たち能開センターの一貫した受験生指導の最終パート(部分)に当たるものなのです。
 当日にただ励ますだけでは効果はあまり期待できません。それでは何が違うのかと言いますと、子どもたちも私たちもその日初めて集まったのでも、初めて顔を合わせたのでもないということです。
 能開では5年生のときから、近畿に拡がる各所属校から集まっての「集結特訓」というものを実施しています。5、6年生の二年間を通じてのべ9回行われ、そこには「大阪星光学院中クラス」もあります。そこで、ふだんの所属校を越えた子どもたち同士のつながりがしっかり出来ているのです。先生の方もそうです。子どもたちにも私たちにも、オール能開で「先生と生徒」の関係が築かれているのです。
 だからこそ入試当日も、能開センターのブルーの旗の下、いわば戦友のような顔見知りの子どもたちや先生たちと再会して団結を固め、ともに決戦に臨む心境になるという仕組みなのです。

強くたくましい受験生を育てていくオール能開の周到な仕組みと努力

河原 所属校を越えて、強くたくましい受験生を育てていくオール能開の指導ということでは、「ロックオンリスト」という仕組みもありますね。これは各校で目標校別に受験予定者たちをリストアップして、「志望校別模試」や「集結特訓」などでのデータを全スタッフで追跡し、共有化するものです。もちろん、ただ共有化するだけでは意味がありません。ポイントは「フィードバック」と「修正」です。
 フィードバックというのは、模試や特訓などで子どもたちと接したスタッフがその状況を見て一人別に所属校スタッフに報告とアドバイスを行うものです。修正というのは、これを受けて、所属校スタッフが一人別に弱点補強など必要な措置を迅速に施していくことです。これらのフィードバックと修正の内容も報告、全体で共有化していきます。
 同じ目標を共有しての、ローカルの立場での「校」とセンターとしての立場の「集結」との往復運動が、合格という頂をめざす子どもたち一人ひとりに必勝スパイラルを描かせていくのです。

 河原さん、美しくキメましたね(笑)。
 志望校合格のための能開システムはいろいろありますが、土曜実施の「志望校別特訓」がありますよね。とりわけ「大阪星光学院中特訓」の国語の効果を私は強調したいと思います。
 ご存知のように、大阪星光学院中入試の特色の一つに国語の長文記述があります。例年、のべ300字程度の記述力が要求されます。これは国語が得意な子でもいきなりでは無理です。能開の「大阪星光学院中特訓」ではほぼ毎回、これ以上の字数での記述演習を行っています。
 実はこれ、大変なのですよね、添削指導が…。夜中までかかったりして、担当スタッフには相当な負担です。眠い目をこすりながら、合格したときの子どもたちの笑顔を思い浮かべては、がんばっています(笑)。

能開独自の指導軸をつくり出し子どもたちも共有する入試分析とその成果

野原 能開受験生の国語の強さがここにありますね。私は能開算数の強さも言いたいですね。今年の西大和学園中の算数では、「算数大全」での学習が合否ポイントにピッタリ対応していました。大阪星光学院中ばかりか、西大和学園中でも能開は大躍進ですが、その秘密は言うまでもなく「入試分析」でしょう。
 というわけで、能開ファンの方なら、もう「耳タコ」かもしれませんが、ここで入試分析について少し申し上げます。
 能開の入試分析は、能開が入試直後に全スタッフで取り組んでいるもので、その年度の単なる傾向分析ではなく、主要中学の全問を一つひとつ、独自の分析指標で難度づけをしていくものです。その上で、各中学から入手した合否データをもとに、「必須正答問題」「合否分岐問題」および「難問」に全問を仕分けます。
 何をやっているのかと言いますと、合格得点までの論理的な道筋を明らかにしているのです。つまり、まず受験者がほぼ正解するだろう正答率が高い「必須正答問題」はどれとどれなのか? 次いで、受験者平均点を越えて合格者平均点が位置する、文字通り合否を分けた問題、言い換えれば、それが正解できた受験者が合格し、それを落とした受験者が不合格となった問題はどれなのか?ということです。そして「難問」とは、正答率が低く、満点をめざす試験ではない入試では解けなくてもさして問題がないものを言います。
 私たちは毎年これらを各科目別に明らかにし、これに基づいて「算数大全」「国語大全」「理科大全」など各テキスト群、また「公開模試」「志望校別模試」などテスト群、さらに「志望校別特訓」「日曜実戦」「集結特訓」などの教材群を改訂・再編しているのです。これにしたがって、私たちの指導内容も更新されていきます。
 中でも、完璧にレベル別に編集されている「大全」シリーズは、この「合否分岐」レベル問題群への対応力を要請し鍛えるのに最適の指導教材として開発されています。ある志望校合格を目標としてめざす子にとっての、最適化されたムダのない合理的な学習課題とその解法のエキスがここに用意されています。私たちは各難関中入試の合否ポイントをこのように明確につかんだ上で、能開生たちを合格へと指導しているのです。そういう意味で、ずばり「大阪星光学院中合格者数No.1」はこれの賜物でしょう。

河原 私がすばらしいと思うのは、この入試分析作業とこれら教材群によって、私たち指導陣の「入試問題を見る眼」が磨かれていっていることです。頭の中に「入試レベル」がきちんと分類されてあり、それが私たちの「共通語」になっていることです。これによって指導上の「標準」が出来ています。
 たとえば、エリア集結で土日実施の「志望校別特訓」「日曜実戦」と校別の平日ゼミ授業にきちんとした連動性と連携が保たれています。学習指導テーマとレベルという二本の軸で講座は整理され、入試に直結した指導が可能となっています。よくある担当者任せはありません。

野原 付け加えてですが、「日曜実戦」はエリア集結ですので、校より多レベルクラス編成が可能で、この「必須正答問題」と「合否分岐問題」レベルをより意識した指導を展開しています。

 私たち指導陣の指導軸がそろってきますと、おもしろいことに、子どもたちも私たちと同じ言葉を使い出します。「必須正答問題」や「合否分岐問題」という言葉は、能開生なら常識でしょう。校でも特訓でも集結でも、またどの先生も使いますからね。子どもたち同士でもふつうに使っていますね。
 科目ごとのそんな言葉もあります。国語なら、《なるほど~だ。しかし~。》といった、まず相手の意見に譲歩した後で筆者の主張が述べられる「譲歩構文」。授業中、文章を読んでいると、子どもたちから「あ、先生。それ、譲歩構文ですー」と声がかかります。

河原 能開って、能開生って、ほんとスゴイなって思いますね(笑)。

能開のデータ力を最大限に活かし有機的な指導パワーにつなげていく

(所用のため遅れた相良がここで登場)

相良 遅くなりまして、すいません。盛り上がっていますね(笑)。

 相良さん、早速ですが、上本町校の実質一期生たち、大阪星光学院中の成果はいかがだったのですか?

相良 合格は14名でした。

 10名超えですね。能開内トップの合格者数です。さすが、上本町校。

相良 いや、まだまだですよ。あと3名、合格させなきゃダメでした。自分たちの指導力不足をつくづく感じますよ。
 いい話が続いたようですから、私からはあえて私たちの課題をお話させてもらいましょう。
 まず、土日授業と平日授業の連携が未熟です。改善の余地がまだまだあると思いますね。特に成績データの活用バランスが良くありません。データに頼りすぎているかと思えば、逆に活用が不足していたりしています。
 私たち能開には、「アノトペン」と「小問別管理データ」、またこれを蓄積し合否情報とも連結させた「成績推移データ」がありますが、これらも「大阪星光学院中合格者数No.1」を支える私たちの武器だと思いますね。武器は手段、ツールですからこそ、上手に使う必要があります。
 「アノトペン」とは採点用のデジタルペンですね。これで採点しますと、一人ひとりの小問別の得点データをそのまま集計センターに送信することができます。これによって、小問別得点データの全体比較などがテスト当日のうちにも可能となりました。計算処理され返却される「個人成績表」には、全体正答率との差異から復習優先順位が表示されますが、この考え方は入試分析の「必須正答~合否分岐問題」重視にも通じていますね。この「小問別管理データ」を使って、私たち指導陣は一人ひとりの強みや弱点を把握し、ただちに指導へフィードバックさせているわけです。
 「成績推移データ」の方は、私たち指導陣が受験指導に活用するものですが、単に合計や科目別の得点・偏差値だけでなく、どのテーマが目標校の「合否分岐問題」となっているのか、つまりどんな問題の出来不出来が合否につながっているかを読み解きながら、各人の指導に活かしていきます。
 話を戻しましてデータ活用ですが、授業での実感だけに頼ってデータ参照しないと、クラス内での相対比較に依拠し絶対軸に欠けることにつながります。しかし、かと言って、目の前の子どもを見ないでデータにのみ目を向けるのは、何のために人間が指導しているのかということですよね。子どもには潜在力、見えない力があります。得点やデータは決してそれを語ってくれません。それは私たちが生身の子どもたちから読み取るものです。そして、それらの情報を土日の担当者と平日の担当者が情報交換し合い共有していくことが、子どもたちの更なるレベルアップには必須だと思います。
 力のある先生ほど、自分自身の目だけに頼りがちです。しかしながら能開のパワーの源泉は「有機的な指導力」にこそあると思うのですね。それは1+1を3以上に変えるシナジー効果を生むものです。そんな「能開パワー」については、たぶんもう、お話に出たでしょうね。

河原 出ました、出ました(笑)。

「クラス担任制」「ロックオンリスト」で科目を越えたトータルな指導

相良 めげずに続けます。「クラス担任」についても強化が必要です。クラス担任というのは、直接指導している教科担当のいずれかがなり、そのクラスでの指導全体について責任を負う役割ですが、これも能開での指導の特色の一つですね。
 具体的には、教科それぞれから出される宿題のバランスや全体量の調整、また受験に向けては一人別の弱点補強策などに教科を越えて優先順位をつけていくという、非常に重要な、かつ難しい役割ですね。子どもたち一人ひとりの立場に立って、私たち能開の指導を裏返してトータルに捉え直さねばなりませんから。
 そういう観点からは、各校での担任だけが機能していてもまだ十分とは言えないのです。土曜日曜講座では、各担当は責任を持って教科指導に当たっていますが、クラスとしての指導責任はだれが負っているかは残念ながらあいまいですね。「集結特訓」には担任制がありますが、まだまだ校のクラス担任との連携は弱いものでしょう。これらすべてを連動させなければなりません。そうしてこそ、能開での指導が本当にトータルに子どもたち一人ひとりに働きかけていくのだと、同時に私たちの指導もシナジー効果を期待できる有機的なものとなっていくのだと思います。
 次に、さっきも話が出たようですが、「ロックオンリスト」。現在、灘中、東大寺学園中、西大和学園中、大阪星光学院中など男子最難関校を中心に運用していますが、まだまだ甘いものです。合格予測数には見合っていても、予測内容と微妙な差異が生じることがあります。たとえば、合格見込み80%の子より先に40%の子が合格したり、科目得点の予測が入れ替わって合格していたりとか。まあ、結果として悪くはないのですが…。
 子どもたちそれぞれの学力状態の把握をさらに深め、目標校に対しての偏差値のみならず、出題傾向と合否分岐問題を踏まえ、その子の学力特性と適合性とで判断し、対策期間の長短を考慮した適切な学力補強対策の立案と実行、そして検証をより進めなければいけないと思いますね。ここでも、「クラス担任」のところで触れた、科目バランスや科目を越えた優先順位づけが非常に重要です。
 注文ばかりつけていますが、「志望校別模試」は大切な役割を果たしていると思います。これは各入試と内容・形式とも本物と瓜二つの本番シミュレーションテストで、擬似入試体験を通して課題をトータルに見つけ学ぶものですね。現在、男子校では「灘中模試」「東大寺学園中模試」「西大和学園中模試」「大阪星光学院中模試」が行われています。
 たとえば「大阪星光学院中模試」は「大阪星光学院中合格者数No.1」に貢献していますね。「公開模試」での成績とも、実際の入試合格状況ともきちんとリンクしていて、合格順位をピタッと予測できています。しかし各志望校別模試とも、よりなお確度を高めていかなければならないでしょう。

灘・東大寺学園中へのさらなる対応と、西大和学園中午後入試への完璧対応

大阪星光学院中だけでなく、話を少し広げて、男子難関校の今年度入試の状況はいかがだったのでしょうか?

野原 算数の話になりますが、東大寺学園中は問題が難しくなり、合格平均点が下がりました。これは男子最難関層の受験パターンが「灘中→西大和学園中→東大寺学園中」の流れで定着し、灘中受験者対応のレベルに算数が引き上げられたものと見られます。
 大阪星光学院中の算数も今年は難化しましたね。

相良 しかし、想定範囲内です。「算数大全」がきれいにカバーしています。
 問題は、今年の東大寺学園中、そして灘中への対応です。現在のところ、「大全」とは別の形で灘中対策教材が整えられていますが、私は「大全」の上位レベルとして組み込みたいですね。「算数大全」には入試問題の徹底分析に基づき、それをパターンづけて取り込んでいます。しかし、灘中や東大寺学園中の問題は常に先進的な出題内容となっていて、当然パターンの枠に収まり切らないという特徴を持っています。これへの対応ですね。発展的な数論、そしてそれを踏まえた複合的問題などをなんとか「大全」に取り入れたいですね。
 入試分析に加えて、「復元答案」作成に取り組んでいるのもそのためです。復元答案というのは、入試直後に受験した子どもたちに協力してもらい、どういう順番でどう解いたか、正解も間違いも含めて、自分が作成した答案をリアルにそのまま「復元」していく作業です。これによって、難度や正答率の実地検証を行い、難関校の入試問題の徹底的なふり返りと解法ノウハウなど蓄積していっています。
 以上のようなことともあわせて、ずいぶん膨らんだテキスト群の再整理、またこれに連動して「日曜実戦」のクラスレベルとその教材群の再整理もやらなくてはなりません。「進化」には完成などあり得ないのですから。

野原 西大和学園中は、今年の算数は易しくなりました。「算数大全」による指導もあって、能開生の合格が昨年の91名から126名へと35名増加しました。合格者数に占める割合、いわゆるシュアも拡大しましたね。

河原 西大和学園中に関しては、ひとこと言わせてください。「午後入試」となった西大和学園中入試に対して、能開センターは周到な「直前対策授業・直前指導」体制を敷いています。実は、私がその責任者をしているのですが…(笑)。
 この日、統一入試二日目となりますが、午前入試を受けない能開生は朝から王寺校に集合し、自分が選択受験する3・4科に対応した「直前対策授業」を受けます。ちなみに国語では、昨年は新傾向の「段落整序」が出題されましたが、今年も同様の出題があるだろうとの予測の下、これの対策演習を行いました。果たして結果はドンピシャでした。これも能開生躍進の一要因です。
 「直前対策授業」を終えた能開生たちは4科、3科の順でバスに乗り込み、いざ西大和学園中学園へと移動。校舎脇で最後の「直前指導」を受けます。この日の午前入試を終えた能開生たちもここで合流です。入試は4科、3科と時間がずれて開始されますので、私たちの方も二度「直前指導」を行います。4科の「直前指導」を終えて、受験生たちを入試会場へ送り込んだかと思うと、すぐ3科受験生たちの「直前指導」が始まります。私たちはこの日は朝から走りっ放しになります(笑)。でも、こういう形で実を結び、その甲斐がありましたね。
 そう言えば、3・4科選択のうち、3科選択生が増えています。バスに乗り切れないような状況でしたね。能開では、3科選択生に対応した講座編成も完備できています。その場合、「算・国・理・社」に代えて「算・国・理・理(選択理科)」となり、特に理科の強化につなげています。

受験を通して能開生たちが学力とともに育んできたものとは

最後に、能開生らしい受験をお話いただきたいのですが。

野原 能開センターの教育理念に「志を高く持ち、自ら学び、自ら考え、自らの判断で行動できる人物の育成」とありますが、これは子どもたちの「自立」を強く意識した理念です。志望校入学後、さらに将来を含めて「自学自習」できる能力と姿勢こそ大切です。これをぜひ「受験」というものを通して身につけてもらいたいのです。「まず自分で考えてみなさい」「自分で答え合わせをして、自分でやり直しなさい」などとくり返すのはこのためです。

 そうですね。私たち能開センターは子どもたちに、単に受験して合格するだけではなくて、そこに至るまでのプロセス全体を通じて、人として大切なもの、またこれから生きていく上での大事なものを学んでいってもらいたいと強く願っています。私たちが礼儀をわきまえることや約束事を守ること、また夢を持つことやそれに向かって努力することを口うるさいほど子どもたちに言うのもそのためですね。

野原 今年、能開の子どもたちがどんな受験をして何を思ったのかは、保護者の方々の「伴走」体験を含めて、毎年6月発行の「中学受験体験記」にまとめられますが、私が知っているお話を少しさせてもらいます。
 こんな子がいました。大阪星光学院中に不合格、さらに西大和学園中にも不合格になってしまいました。その結果をお母さんといっしょに担当の先生に報告に来たのですが、激しくしゃくり上げ、詰まり詰まりしながら言う言葉は意外なものでした。「僕は大阪星光学院中と西大和学園中に合格して、ずっとこれまで僕のために一生懸命教えてくれた先生にお礼がしたかったのに、できませんでした。先生、本当にごめんなさい」
 これには、その先生も思わずもらい泣きしてしまったそうです。しかもですね、クラスの仲間の、大阪星光学院中と西大和学園中の合格を聞くと「そうですか。良かった、ほんとに良かった」と自分の悔しさをそっちのけに、本当にうれしそうにうなずいては笑顔さえ見せたそうです。
 その後、この子は大阪星光学院中から補欠合格をもらいました。その連絡の際、お母さんはこうおっしゃいました。「べったで入学できて良かったです。これで、おごらずに勉強していってくれると思いますから」と。他者への感謝と思いやりを自分の思いより優先する子にして、このお母様ありですね。感激しました。
 この子は、天王寺校で開講の私立中高一貫生のための「国私立中高一貫生コース・英数準備講座」に行って、私立中学学習のスタートを早速切るそうです。

相良 私が知っているある子も「英数準備講座」に行きますね。この子は「もう一度受験したい!」と言っています。まだ燃え足りないという意味ですね。目標に向かって懸命にチャレンジしていくことのおもしろさに気づいたのです。ほかにも、同様な意味で「能開を卒業したくない」子どもたちがたくさんいます。天王寺校の「英数準備講座」はそんな私立中高一貫校に進学する能開生たちのニーズにぴったり応えていますね。

河原 校のクラスはレベル別なので、同じクラスの男子たちはたいてい同じ中学を受験していきます。その中で、最後には志望校の東大寺学園中に見事合格したのですが、初日の大阪星光学院中は不合格という子がいました。そういう状況で、みんなで東大寺学園中入試に臨んだ日のことです。こんなことがあったそうです。
 東大寺学園中入試は午前に国語・算数、昼食をはさんで理科・社会の時間割なのですが、昼休みに仲間が集まったとき、その子が「算数、むずかしかったよな…」と不安げにつぶやくと、仲間の一人が「じゃあ、理科でがんばろうよ!」と力強く言い、ほかのみんなも「そうだ、そうだよ!」と言ってくれたそうです。この子はそのとき「能開のクラスのきずな」を強く感じ、東大寺学園中合格の励みになったと、後で話してくれました。
(なお、能開の東大寺学園中の「入試応援」は、朝の入試開始前とは別に、この昼食後の休憩時間にグラウンドに集まっての「第二部:理科社会直前指導」が行われています。)

野原 心があったかくなるエピソードですね。今日の座談会は、大阪星光学院中を中心に「男子能開生指導編」となりましたが、四天王寺を中心に「女子能開生指導編」の座談会も予定されているとか。そうですよね?

はい、そうです。ご期待ください。それでは、本日はこのあたりでお開きにしたいと思います。皆さん、長時間ありがとうございました。