指導者が語る合格指南

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合格するためだけでなく価値ある受験体験であるかどうか 理科主任 安川善人 社会主任 天雲 寛 国語主任 露口 和男 算数主任 梁川 裕奉

 7月下旬から始まる子どもたちの“熱い夏”――「夏期講習」「夏の集結特訓」に先立って、能開センターの科目主任にこの夏の学習攻略ポイントを学年別に語ってもらいました。また、能開の各科目の特長も聞きました。「夏を制する者は受験を制す」ともいいます。この夏を充実した時間にきっとしてください。

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 算数 - 算数主任 梁川 裕奉  

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 国語 - 国語主任 露口 和男  

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 社会 - 社会主任 天雲 寛

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 理科 - 理科主任 安川 善人

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 算数

算数主任 梁川 裕奉

能開の算数の特長――知恵を尽くし、心を尽くす指導  

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小3・4算数  

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小5算数  

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小6算数  

能開の算数の特長――知恵を尽くし、心を尽くす指導

(入試分析と実証データ)

 能開センターの算数の特長について申し上げたいと思いますが、6年生中心のお話となることをあらかじめお断りしておきます。さて、その特長として2点挙げたいと思います。それは実証主義と合理主義です。

 初めに実証主義ですが、教材はすべて実際のデータに基づくものであるということです。私たちはありがちな思い込みや個々の主観で受験算数を論じません。その元にしているのは、主には主要中学校の入試問題分析、実際の入試での合否データ、そして「中学受験公開模試」の小問別データです。
 その他には「志望校別模試」や入試過去問題演習の成績結果なども参考にしています。これらの分析やデータを連年蓄積し、それらを用いた解析を行った結果に基づいて、能開センターの様々な指導システムを毎年最適化しているのです。

梁川 裕奉

 入試問題の分析については、毎年入試があった1月直後から分析を始め、2月にはその結果を「能開センター・入試分析会」として情報公開しています。自画自賛をお許しいただければ、これは従来の単なる傾向分析などを超えた、画期的かつ独自の中学入試分析です。他では真似ができないことをしています。
 私たちの教材、それに指導内容はすべてこの入試分析が起点です。ですから、この結果に従って、すべての教材と指導内容は毎年更新されています。能開の入試分析は、分析対象校とした主要校の入試問題の全問を私たちが編み出した25マスの難度マトリックスに振り分けることから始まります。
 その座標軸は「方針探査」と「遂行」です。方針探査とは、条件整理を踏まえた解法の発見の難度軸(レベル1~5)です。遂行とは解答に至るまでの作業プロセスの難度軸(レベル1~5)で、指標としては処理時間の長さを指します。私たちはこれら2つの難度軸のかけ合わせを入試問題の解法難度として捉えます。

 結果として各小問は、3つのゾーンに分けられます。すなわち、「必須正答ゾーン」「合否分岐ゾーン」そして「難問ゾーン」です。必須正答ゾーンは受験者全体の平均点を獲得するために正答することが必須の問題群、合否分岐ゾーンは合格者の平均点に到達するために正答が求められ合否の分岐ラインとなる問題群、そして難問ゾーンは合否には直接関わらない問題群です。これらを分析対象校すべてについて、各学校ごとに仕分けます。

 以上のような入試分析をもとに、私たちは学習テーマごと、難度別の内容を組み込んだ教材を作成しています。これによって、入試レベル、またクラスや個人ごとの到達段階に応じて、最適で必要喫緊の問題群を選択して学習することが可能なシステムになっています。

 そして、もう1つ申し上げなければならないことがあります。それは、入試問題のテーマ別弱点克服のための分析です。これには入試問題の分析だけでは足りません。受験生はどこでどう間違えたのか、つまり解答プロセスのつまずきどころまでを把握し、対策教材化する必要があります。

 これを実現するために私たちは、「中学受験公開模試」で蓄積してきた小問別データを、能開生の実際の入試合否結果と照らし合わせ、合否結果に反映されたと推定されるテーマ別小問別の正答率状況を抽出しています。
 これによって、各中学校入試の合格にはどこをどう乗り越えることが必要なのかが明らかになりました。なお、ここから得られた成果については、毎年「日曜実戦」の「後期・志望校別クラス」の教材に反映するようにしています。

(合理的アプローチ)

 中学入試における受験算数の“山容”は、正直に申し上げて雄大にして峻険です。これをいかに征服するか。まだ小学生である受験生にとってははなはだ至難である、と言っても過言ではないでしょう。
 私たちはこれに対して、子どもたちにはできる限り合理的で効率的な、最短のアプローチをしてもらいたいと考えます。私たちの入試分析について申し上げましたが、そこですでにお話の過半は済んでいます。能開センターでは、詳細な入試分析に基づいた多レベル教材を用いて、無駄・無理・ムラのない指導を進めています。

 算数テキストは、レベル別クラスに応じて、テーマごと取り扱う問題群が違います。これは必須正答および合否分岐ゾーンが入試レベルごとに違うからです。ある志望校に合格するためには、その受験者のほぼ全員が正答する必須正答レベルの問題群の征服が第一です。
 しかしそれだけではまだ合格はできません。受験者全体を見れば正解者と誤答者が入り交じり、その問題の正解者が合格で誤答者が不合格という結果になった、つまり合否を分けたと推定できる合否分岐レベルの問題群も制覇しなければなりません。そしてこれができれば、志望校に合格できます。

 能開センターでは、入試レベルに応じて、これらの問題群に焦点を絞った重点学習を進めていくわけです。それ以上の難度の問題は無理に解けるようにならなくても良いということです。難問ゾーンの問題は、合否ラインでの微妙な結果には関係がありません。
 入試は相対的な競い合いです。入試難度は学校ごと、年度ごと、受験者母体ごとに毎年変化します。その中学校には、どんな受験者層が集まるのかが最大のファクターです。そして激しい競い合いは、受験者平均点から合格者平均点にかけての、まさに合否分岐ゾーンで起こります。そこに焦点を当てた教材であり指導だということです。

 中学入試を知らない人は、入試問題を全問解かなくてはいけないとか、難問にこそ正解しなければいけないと考えます。それらはすべて間違いです。それどころか、そんなことをしようとすると、たいへんな無駄で非効率なことです。実際の入試でも問題は選んで解答しなければいけないのです。
 受験生それぞれにとっての、いますべき学習を合理的に進めなければいけません。難問レベルを優先的に学習する必要はまったくありませんし、一方で自分がすでに解ける必須正答レベルの問題ばかりしていても、また合格はないです。合否分岐レベルの問題の制覇こそが最優先すべき課題でしょう。能開センターは、各入試レベルに応じて最適化した指導を進めています。

梁川 裕奉

 関連して、もう1点だけ申し上げます。「中学受験公開模試」などの成績帳票にある小問別正答率についてです。これによって、自分がどの小問テーマが弱いのかが一目瞭然です。だから、これに基づく復習や弱点克服を、私たちはいつもアドバイスしています。
 正答率が高い問題でのミスは、必須正答ゾーンの問題を落としているといってもいいでしょう。すぐにカバーする必要があります。あとは、自分の成績グループに合わせて、正答率が比較的高いにもかかわらず自分は正解できていない問題をチェックします。ここが自分にとっての、いわば合否分岐ゾーンでしょう。
 このようにテスト結果に対しては、合計点への一喜一憂でも、また単に正解・不正解への評価でもなく、小問ごとの自分にとっての意味づけに沿った“リアクション”が必要なのです。そういう目的合理性を持った学習スタイルを私たちは追求し指導します。

 ただ、実証性や合理性だけで算数指導が完結するわけでは無論ありません。多くは申し上げませんが、どのレベルの子に対しても、授業を離れた家庭学習の状況まで含めてトータルに、一人ひとりをしっかりとかつ細やかに「見守り」、最後まで「心を尽くし」、やれることはやり尽くすというのが、能開センターの指導であり、算数科の指導です。

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2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小3・4算数

3年生は「算数を良い習慣で楽しみ、算数力を活性化させよう!」

(中学受験の特殊性)

 中学受験には2つの特殊性があります。1つは高校受験や大学受験と違い、精神的な自立もまだ不十分な成長途上の小学生が受験生となる入試であること、もう1つは入試問題が学校での学習だけでは実際的に対応できない内容・難度であることです。

 そこで、能開センターの算数学習においては、合格逆算のカリキュラムを組んだ上で、子どもたちの成長段階を踏まえた指導を進めます。3年生では、4年以降の本格的なテーマに向けた導入学習を行い、それを通じて算数の学習スタイル(姿勢・流れ・習慣)をきちんと身につけること、また算数力を伸ばす良い習慣づけを行うことが主眼となります。

 学習スタイルということでは、授業の受け方に始まり家庭学習の進め方まで、いくつかのポイントがあります。保護者の方のサポートのしかたという問題もあるでしょう。3年生段階で、一人で全部できるというお子さまはなかなかいません。お子さまを自立に導く形でのフォローも必要となります。

(3年生のポイント)

 算数学習では、どの学年もそれぞれ重要な役割を受け持ちますが、思考が柔軟な3年生ではこれを活かした「算数力を伸ばす良い習慣づけ」が最大の眼目となります。この“ファースト・ギア”をうまく入れることができれば、算数力を確実に1ランクアップさせることができるでしょう。

 そのギア・チェンジのポイントは3つあります。1つは「数を自分の実感としてつかむこと」です。「数」とは見えない、触れられない、はなはだ抽象的な概念です。これを説明する“ことば”もまた抽象的です。「何をどう操作しているのか」を理解できているかどうかは、算数力にとって決定的に重要です。
 一例をいいますと、植木算などにつながる規則性を問う問題で「木と木の間はいくつ?」と聞かれたとき、「間の個数」なのか「間の長さ」なのかがわからなくなる子がいます。日頃から“もの”と“ことば”との関係を大切にしていく生活習慣が高学年算数での抽象力、さらには国語力を支えます。

 2つ目は「自力で解いてみること」です。やったことがない問題にも「できない」とたじろがずに、その時その場で考え抜くことです。入試でもそうなのですが、算数の難問とは“見た目”を変えたものが多く、似た問題は解いたことがあるはずですし、ヒントは必ずあります。それらを見つける、気づく力をつけることでもあります。3年生でグンと差がつく算数力です。

 3つ目は「手で試行錯誤すること」です。図形問題を解くかぎは、手を動かしながらのイマジネーションです。また、迷路などのパズルがそうですが、手を動かしながらあれこれ試行錯誤する中で、思わぬヒントが見つかります。やってみる、とにかく鉛筆を動かしてみる。そういうクセづけが算数力にとってとても大事なのです。

(夏期講習)

 さて、その3年生の中間チェックとなる「夏期講習」では、1学期ゼミの重要テーマの復習に重点を置きます。取り上げるテーマは、計算では「四則計算と文章題」「単位計算」「小数」「分数」、図形では「円と球」「三角形と角度」「立体図形」です。また、2学期の予習テーマに「速さ」を取り上げます。学習サイクルをきちんと回し、各テーマをマスターするとともに、夏休みを活用しての反復計算など、良い習慣づけをしていきましょう。
 そして、夏が明けての2学期には、「場合の数」「日暦算」、また予習した「速さ」など、算数を解く楽しさがよくわかる、とても面白いテーマがたくさん登場しますよ。いっしょに学習していきましょう。

梁川 裕奉

 最後になってしまいましたが、算数力を活性化させるコツは、楽しさ、面白さ、好きだという気持ちです。算数の学習がつらいものになると、思考は硬くなり、成長が鈍り始めます。特に、3年生段階では保護者の方も算数の問題をごいっしょに楽しんでください。それがお子さまの算数力を伸ばす最大のコツです。

4年生は「どんどん挑戦し、失敗を恐れないこと!」

(4年算数カリキュラム)

 4年生から、算数カリキュラムはいよいよ上り坂に入ります。夏まではゆるい上りですので、この夏をしっかりと過ごすことが肝心です。今なら挽回も十分できます。二学期からは坂はやや急になり、そのまま5年算数の高みに連なっていきます。

 4年生でのポイントは、3年生に引き続き、「学習スタイル(姿勢・流れ・習慣)の確立」「基本解法の習得」「計算練習」、つまり算数力の土台固めです。3年生との違いは、学習の主体性の確立です。個人差はあってよいのですが、夏以降を1つのメドと考えてください。基本的には自分ひとりで学習できるようにならなければいけません。
 ただし、そのときも“放任”ではありませんのでご注意ください。細かい管理や口出しは必要ありませんが、全体掌握は必要です。体調などに異変はないか、いつからいつまで何時間学習しているのか、いまどんな学習をしているのかなどは把握してください。

 内容的には、まず「小数」計算です。小数や分数は整数とは違い、抽象的な数です。この征服は重要です。四則混合計算が自由にできるようになるまで反復練習していきましょう。なお、4年生以降は算数教材に、“毎日できる”「計算ドリル」が加わります。ゼミでは毎回、テキストに対しては「確認テスト」を行いますが、計算ドリルに対しては「計算テスト」でチェックします。

 4年算数の代表的なテーマは、つるかめ算など面積図を使った文章題ですね。1学期中盤から、「つるかめ算と面積図」「平均算と面積図」「植木算」「数列と規則性」といった受験必須テーマが続々と登場します。夏をはさんで、2学期以降は「差集算」「過不足算」「消去算」「立体図形」「水の体積」と面白い算術テーマが目白押しです。

(4年生での落とし穴)

 4年算数は、子どもたちにとって魅力的です。取り組みがいがあるといいますか、面積図や線分図を使いながら“手品”のように見事に問題を解ける面白さ、問題が解けた醍醐味を味わえるからです。これは非常に大事なことです。加えて、正解すればほめてもらえます。子どもたちにとってほめられることは最高の喜びであり動機づけです。
 ここまではいいのですが、同時に算数力にとって危うい岐路にさしかかります。「正解したい」「ほめられたい」という誘惑です。「正解したい」とは裏を返せば、「間違えたくない」「失敗したくない」、さらには「叱られたくない」です。

 「○」ばかり並んだ、きれいなノートは、必ずしも良いノートとは言えません。良いノートかどうかを決めるのは、算数の力がつくノートであるかどうかだけです。実際、ノートはきれいでも確認テストでは得点できない、というのもあり得るケースです。
 チェックポイントは、授業で演習中、目の前の問題の解き方だけを覚えたり、自ら解かないで先生の「解説待ち」の姿勢でいたり、また宿題で自分の算数力をトレーニングするのではなく、ただ宿題を済ませようとノートを作るというようなことになっていないかどうかです。

 そこで、4年生では「成功よりも失敗を」というか、「どんどん挑戦し、失敗を恐れないこと」が算数力を高める“セカンド・ギア”となります。自分の頭でその間違いを「なぜ?」と考える積み重ねこそが算数力を鍛えます。ノートは、その間違いの跡を含めた思考プロセスが記されたものが良いノートです。ふり返って反省でき、誤りを正せるからです。

(夏期講習)

 さて、この「夏期講習」は、1学期の重要テーマの復習と2学期の文章題テーマの予習となります。ここで扱う復習テーマは、入試では単独テーマではなくて融合問題として出題されますので、単一テーマの問題として確認できるラストチャンスとなります。これを含めて、この夏は重要です。これまでの遅れを取り戻せる、また底上げを図れる大きなチャンスだからです。

 まず、改めて基本的な学習スタイルをしっかりと固めることです。帰宅したら、すぐに「確認テスト」の間違い直し(=解き直し)をする。宿題は、解法のプロセス(立式、筆算、図など)をきちんとノートに書く、答え合わせを自分でする、間違い直しをきちんとしてテキストチェックする、でしたね。

 それから、4年生では計算力のアップを1つの目標にしてください。「計算ドリル」テキストによる計算練習は「夏期講習」中も毎日続け、「計算テスト」は算数授業がある毎日行います。
 計算練習では、速さと正確さ、あるいはスピードとていねいさを、自分の性格に応じてメリハリをもって意識してください。時間をかけ過ぎて正解できてもダメです。間違いだらけの計算も無意味です。

 問題に取り組む姿勢としては、わからない問題でも自力で解こうと努力していますか? 手を動かし試行錯誤していますか? あきらめずに1題につき最低5~10分は考えるようにしましょう。これが算数力の底上げにつながります。夏はこんなふうに自分を“ギア・チェンジ”する大きなチャンスです。

 最後に、土曜の「算数特訓」についてひとこと。くり返しますが、4年生は大事な学年です。1回1回のゼミ内容が重要です。特訓は前回ゼミテーマを定着・促進させる講座です。もし未参加なら受講を強くお勧めします。なお「難関算数特訓」では、ゼミ内容をさらに深め、良質で高度な問題に挑む力をつけていく講座です。

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2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小5算数

5年生は「あこがれの志望校への目標・目的意識を見失わないこと!」

(5年生の展望)

 5年生では、平日「総合講座」および土曜「特訓講座」を通じて、中学受験で必要な算数の全テーマを一通り学び終えます。受験への算数力の土台を決定づけるのは5年生であり、その山場はズバリ夏です。入試の中心科目が算数なら、受験レベルを決めるのもこの夏です。5年生にはその覚悟をもって、この「夏期講習」に真剣勝負で臨んでもらいたいと思います。

 5年算数は、大きくは3段階でそのトップレベルまで駆け上っていきます。夏までの第1段階は、4年終わりの導入を踏まえた「分数」計算から始まります。これで中学入試に必要な計算手法は出そろいました。分数・小数を含んだ四則混合計算を早急に完成させていきます。
 分数は、ただの計算ではありません。「割合」という抽象概念でありその操作なのです。引き続き、割合の文章題「相当算」「損益算」「濃度」で理解を深め、それを「比」として一般化していきます。あわせて様々な「図形」や「速さ」についても学びます。

 第2段階は「夏期講習」です。6年生に次ぐ日数・時間数で、学習内容ばかりでなく学習体力を含めてハードに鍛えていきます。1学期の重要テーマから、特に「割合」から「比」への流れをくり返しますが、単なる復習ではなく1ランクレベルがアップした問題に取り組みます。それに、2学期テーマの予習も加わります。

梁川 裕奉

 第3段階は秋以降で、夏の「比」の理解を前提にした様々な解法テーマへと進み、さらにレベルが上がります。まず、「速さ」のテーマを次々とこなしながら「速さと比」として融合させていきます。「図形」も比と融合し、抽象化されていきます。数論では「数の性質」「場合の数」で受験算数の応用テーマを学びます。

(意味のある学習を)

 5年生の算数では、単に解く面白さだけではなく、いろいろな解き方ができるという奥深さも味わえます。多くの子どもたちはこれに感動もします。たとえば食塩水の濃度の問題は、まず水溶液全体に対する食塩の割合から解けます。次に面積図から解けます。さらに面積図から逆比を利用すると、瞬時に答えが出せます。また、天秤法で解くこともできます。

 様々な解法が使えるということは、応用が利く算数力があるということです。ここが肝心なところで、解答を得るという結果だけではなく、解き方や解く道筋を考えるプロセスにこそ算数学習の意味があり算数力を磨くことであるということです。そのために、同種の問題に対しても様々な解法で何度もアプローチしていきます。

 ここで、ひとこと保護者の方に申し上げますが、お子さまから「教えて」と言われたらご存知の解き方などでお教えにならずに、必ず「能開の先生に聞きなさい」とお答えください。私たちは算数力を磨くため、段階に応じてあえて手間のかかる解法を教えていたりもするからです。

 さて、ところが学習に停滞しがちな5年生にありがちなのは、解法を磨くのではなく解答だけを追い求める傾向です。「解けさえすればよい」と、その解き方も“我流”(自己流)です。これでは解ける問題や範囲が決まってしまい、応用が利く算数力を磨くことにはなりません。とにかく課題を片付けてしまいたいという一心なのでしょうが、目的と手段の本末転倒です。

 そこで、この夏に志望校を決めることを強くお勧めします。「受験生」としては未熟な5年生は、往々にして学習の意味を見失いがちです。だから、この夏にあこがれの志望校を決めることには大きな意味があるのです。目標が定まればモチベーションも変わってきます。目的と手段の正しい関係を築き、真に効果のある有意義な算数学習を進めることが大切です。
 ちょうど夏には、能開センター主催の学校見学会もあります。各中学校のホームページで調べたり、直接問い合わせたりして学校見学することも可能です。実際に志望校に行ってみる、見てみる、これほど大きな“夏の体験”はありません。

(夏期講習)

 5年生の夏は、受験算数をものにできるかどうかの大きな分かれ目です。難しいテーマが続き、苦しいところですが、ここが踏ん張りどころです。かぎを握るのは「割合」であり「比」です。比で解法をスリム化することができます。この比をマスターできているかどうかで、今後の算数力の伸びにも個人差が大きく出ます。

 特にポイントは「割合」概念です。男子は感覚的にすんなりと捉えるのに対し、女子は頭で理解しようとしてつまずきがちです。割合の概念があいまいなままだと、比の理解も中途半端なものになってしまいます。比は図形などと融合し、中学入試はもちろん、高校・大学入試でも頻出の最重要テーマです。比を中心に連なる山々、これが“夏の山”です。
 では、この夏の山にどう立ち向かえばよいのでしょう? 平凡なようですが、1つ1つのテーマをやり切っていく――このことに尽きます。逃げないで、妥協せず、ねばり強く取り組むこと。「だいたいわかった」といった中途半端を自分自身に絶対に許さないことです。ここが「わかる」と「できる」の違いです。

 レベルの高い問題は、解答に至るまでに数ステップの変換操作が必要となります。「だいたいわかった」ですと、その途中のどこかで「次はどうするのだったっけ?」となるのです。こんな子にはヒントを1つ出すと次のステップへ進めます。でも、入試ではヒントは出ません。どこへ向かっているのか、何をしているのか、目標・目的意識で得点の有無が決まります。
 また、図形の問題では、解いていく糸口がつかめない、知っている解法パターンが見つからない、という形で表れます。図形の難問では、習った解法パターンがわざと隠されているのです。たとえば、たった1本の補助線で「ああ、あれか」と知っている解法パターンが見つかります。その図形問題、その解法の“本質”を真に自分のものとすることが必要なのです。

(学習スタイルの改善)

 本当の「受験生」になるため、またさらなるパワーアップのため、この夏を含めたこれからの改善点についていくつかお話しします。端的に言って、たいていの子どもたちにはまず学習スタイル(姿勢・流れ・習慣)に改善の余地があります。

○素早く取りかかれているか?

 なかなか集中できない。終了予定時刻ごろになって、ようやくエンジンがかかり、「もうおしまいよ」と声をかけると、「あと、もうちょっとだけ」との返答。――こんなお話をよくお聞きします。テストでも「あと3分」と言った途端に、子どもたちの集中力がぐんと増すような気がします(笑)。

梁川 裕奉

 私自身も思考力や集中力などに関する本を読んだりいろいろ考えたりしたのですが、コンピュータにヒントがありました。パソコンとスマホ(iPadも)の起動のしかたの違いです。パソコンは起動に時間がかかる上に、作業がいちいち初めからのやり直しとなります。でも、スマホやiPadはスリープ状態からたちまち起動し、スリープ前のところからすぐに作業を再開できますね。
 学習も同じです。「前に考えていたところからすぐに始めること」ができたら、素早く集中状態に入れます。どうすればよいか? 簡単です。「うまく区切りをつけて」、そこで「ひとまず中断する」だけでよいのです。できないことをだらだらと続けると、いまの集中もさまたげてしまいます。さっさと、次の問題や別の科目に気持ちを切り替えます。

 ものの本によれば、そこから離れても、場合によっては寝ている間も、潜在意識のレベルでは思考は継続していて、問題の解決に向けて思考が自動的に進むことがあるそうです。いわゆる「考えを寝かせる」ということですね。
 コツは、中断前に「どこまでわかったのか、どこがどうわからないのか」を、ノートに手短に整理することです。このような「すぐに質問できるような状態」にしておいて、潜在意識でも「気になる状態」を作っておくとよいでしょう。これで、次はそこからすぐに集中して取り組むことができます。

○学習する姿勢は正しいか?

 ここでいう「姿勢」とは文字通りの姿勢です。いま集中力のお話をしました。姿勢が悪いと、集中力や体力も長続きしません。これは精神論ではなくて、人間工学、脳科学、スポーツ医学などの知見から申し上げることです。
 中でも、鉛筆を持つ姿勢がとても気になります。鉛筆を握る指づかいそのものも気になりますが、鉛筆を立てている方向や角度が奇妙な上に、自分のその手が隠す、ノートに自分が書いている文字や図を真横からのぞき込むような姿勢をとる子がいます。これでは疲れて、学習は長続きしませんよね。

 また、スポーツ医学によれば、頭や身体の傾きは空間認知能の働きを阻害し、運動神経の反応を鈍らせます。やはり頭や身体はまっすぐ垂直状態に保つのが、人体構造上も最適なのです。集中の持続は体力が支えます。体力の持続は運動や姿勢の合理性や効率性が支えます。逆にいえば、悪い姿勢は体力を消耗し、集中を短くします。

○ひとの話を聞けているか?

 まず、指示が聞けているか、です。問題演習中、「鉛筆を置いて顔を上げ、先生の話を聞きなさい」と言いましても、下を向いたまま、なお鉛筆をせわしく動かしている子がいます。これはわかりやすい言い方をしますと、心が“自己中心的”になっているのです。少し解け始めたのでしょう。自分の目の前のこと、自分のことが何よりも大事になっています。

 こういう子は“我流”に走ります。ただ解答が“合っている・合っていない”にのみ関心が向かい、解き方も自分が使える範囲内での解法を使い回すだけです。これに対して、算数力を伸ばす子は指示にすっと従います。なぜなら、自分に足りないこと、自分に必要なアドバイス、より良い解き方を受け容れようと素直な心で準備できているからです。

 何のためにこの問題を学び、解いているのか? 目の前のこと、自分の気持ちだけに意識を向け過ぎず、ひとの意見を受け容れられるよう心を常に開いておくこと。問題を解くのも、先生の話を聞くのも、自分のより大きな目的のためであり、自分の足りないところを直す最も良い方法を見つけるためなのだ、という素直な心の持ち方が算数力を伸ばします。

○ノートで自分との対話をしているか?

 ノートの作り方についてです。解答までのプロセス、つまり立式や筆算や図・表などを書き残せているかどうかです。何度注意しても答えだけしか書かない子がいます。こういう子はクイズのように“正解しているかどうか”だけにしか関心がないのです。残念ながら、これでは算数力を磨く学習にはなっていません。

 ノートに解答プロセスを書くことは、実は自分の思考を客観化していくことです。これにより、ひとに説明できるほどに理解を深めることができます。また、“自分との対話”も可能になります。ノートはまず条件整理となっているはずです。たとえ行き詰まっても、そこには“いまは”見つけられていないヒントが必ずあります。

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2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小6算数

6年生は「自分の強みと弱みをつかみ、得点力を強化して合格へ!」

(6年生の位置づけ)

 6年生は受験学年です。これまで土台として培ってきた算数力を入試で最大限に発揮できる状態に仕上げていきます。そのかぎを握るのは「得点力」です。得点力と「学力」とは違います。もちろん学力があっての得点力ですが、たとえ学力があってもそれを得点として発揮できなければ合格は叶いません。

 中学受験に必要なテーマの学習は、5年生までに一通り終了しました。6年生では、能開センター算数科が誇るテキスト『算数大全』を使用し、入試で最大限得点できる実戦力を身につけることを目標に、総合的かつ段階的に受験学習を展開していきます。
 まず、「数論」「割合」「速さ」「図形」の4大テーマを細分化し、5年生までの学習テーマと結びつけながら、受験生として必要な解法レベルにまで引き上げていきます。4年学習の「つるかめ算」などの特殊算をはじめ、5年生で学んだ重要テーマ群を、入試本番で“使える”状態にまで引き上げていきます。

梁川 裕奉

 学力および得点力の到達状況については、毎月の「中学受験公開模試」、夏以降の各「志望校別模試」などによる検証を行い、また能開の受験生たちが一堂に会する春・夏・秋・入試直前の「集結特訓」においては、単なる検証を越えて、本番シミュレーションを通した受験生としての自覚を深めつつ適切な修正を加え、最終的に学力・精神両面で万全の受験生として入試へと送り出します。

 受験学習の柱となる、平日の「総合講座」、土曜の「特訓講座」、「日曜実戦」は、総合的に力が身につくように三位一体、有機的に組み立てられています。いずれでも、1回1回の授業で習ったことをきちんと習熟していくということが原則です。これなくして算数力の向上はあり得ません。

 そのためには、まだ自力だけではあいまいな「わかる状態」から、独力で解ける「できる状態」へと転換していく毎日の復習の徹底が不可欠です。「総合講座」「特訓講座」「日曜実戦」では毎回、前週内容の「復習テスト」を行います。“合格”の目安としては、8割の得点を目標にしてください。

(夏期講習)

 7月下旬の「志望校別模試」(今回は灘・大阪星光学院・四天王寺の3中学校の第1回模試)を経て、いよいよ“受験の天王山”である夏が始まります。「ピンチはチャンス」といいます。確かに、「これはピンチだ」という意識のときには“火事場の馬鹿力”のように、ふだんはとても出せないパワーや集中力を発揮できることがあります。
 当然、ピンチをチャンスに変えられるかどうかはみなさん次第です。実際にこの“天王山”を、ピンチをチャンスに変えて乗り切り、見事志望校へ進んでいった先輩たちがたくさんいます。ぜひともそのあとに続いてください。

 どの受験生にとっても、この夏は自分の弱点を克服し、同時に自分の強みを伸ばすことができる大きなチャンスです。これだけ長期の集中学習が可能な時期はこれが最後です。夏を迎えるにあたっては、自分の算数力の現状を点検し、自分の強み弱みを把握してください。「夏期講習」テキストの目次をチェックする、という方法を使いましょう。
 具体的には、自分が「この夏がんばるぞ!」というテーマに「◎」をつけておきます。これだけでも、「今日はがんばるテーマだ!」と長い夏の学習にメリハリがつきます。

 それからもう1つ。今回の志望校別模試を受けた人も受けなかった人も、志望校への意志を自分自身に再確認してください。現状の合否判定はあくまで現状の得点力に基づくものであり、受験時点でのものではありません。夏を含めたこれからの弱点補強などで得点力はグングン伸びていきます。何より強い意志と信念をもって夏課題に取り組むことが重要です。

 さて、その夏期講習では算数だけで50時間以上の授業時間をとって豊富な演習量を確保し、問題対応力のレベルをトータルでは1~2ランクアップすることをめざします。内容は重要テーマを網羅し、しかも基本レベルからハイレベルまでを扱いますので、自分の弱点補強はもちろん、得意テーマについてはハイレベルに焦点を合わせる姿勢で臨めば、さらなるパワーアップが図れます。そのためにもしっかりとした準備をしてください。

 弱点として多いのは、やはり「速さ」と「図形」ですね。中には、他のテーマとは性格がやや違う「場合の数」だけ弱いというようなケースもありますが。この夏に主にめざすのは、図やグラフなどを使った問題に対してのアプローチ方法です。「構え」と呼んでいます。野球でいう「バッティングフォーム」ですね。これを身につけること。そして秋からは身につけたフォームで“生きた球”を打ち込んでいきます。

 6年生がつまずくところは、前にも述べました「解法の糸口が見つからない」「途中で筋道がたどれない」です。条件整理が不十分なのです。こういう場合は、レベルを1段下げたモデル問題で基本の「バッティングフォーム」を再確認します。ハイレベルな問題とは複合問題であり融合問題です。そこを指導する先生の解説をしっかりと聞く耳、素直な心をもって臨んでください。

(受験に向けて)

 9月からは各テーマの融合問題を入試実戦問題レベルで対応できるようにしていきます。併願校を含めて、各クラスの志望校レベルに応じた入試過去問題を、授業の中で豊富に演習します。また、各人が既出問題集(赤本)を用いて各受験校の出題傾向を把握し慣れていくためへの個人別サポートやアドバイスもします。
 ちなみに、この時点では本番入試で合格できる子でも、入試過去問題演習では配点の半分程度しか得点できないことも多々あります。それほど、学力と得点力の差は大きいのです。得点力を伸ばすのはこれからであり、その成長は入試期間中でも続くのが能開生ではごくふつうのことです。

 次に、「日曜実戦」は「後期・志望校別クラス」へと進化します。その毎回の教材は、能開独自の学校別最新入試問題に対する分析、および合否データと「中学受験公開模試」の小問別正答率との相互解析に基づき、内容を毎年アップ・トゥー・デートしている最強の入試対策教材です。
 休まずに受講してください。毎回、山、山、山、と思うでしょうが、くじけずに1回1回を大切に、また必死に挑んでください。そうすれば、その1回1回が自分の血となり肉となり、本番で活かせる力と必ずなるはずです。
 そこでは、中学校ごとの入試問題の傾向や特徴はもちろん、問題に取り組む順番や時間配分のしかたなど試験中の細かい振る舞いに至るまで、得点アップの方法を伝授していきます。
 また、週一度集い、同じ志望校をめざす仲間である能開生たちと競い合う中で、良きライバル同士として切磋琢磨できるとともに、時には自分のミスを心から悔しく思うこともあるでしょう。しかしそれが次には同じミスをしない意識をしっかりと育てるのです。

 そして、9・10月に秋の「集結特訓」での検証と修正をはさみながら、10~11月ごろ算数の受験学習としては最高峰に登りつめます。もうあとは自分が持てるものを入試に向けて完成させていくだけです。秋はちょうど、学校行事でも多忙になる時期であり、体調とともに精神バランスを健全に保つことが最重要となります。
 といいますのも、毎年、最終段階に入ったこのころ、スランプに陥る受験生が増えてくるからです。この時期でも6年生の得点力は不安定です。たとえば、「中学受験公開模試」の結果の乱高下がきっかけで、保護者の方のお気持ちがぐらつき、たちまち親子げんかに発展…というケースもあります。

 この時期、保護者の方のお気持ち、立ち位置も試されているのです。お子さまを信じられることです。くり返しますが、学力と得点力は違います。得点力はまだまだ伸びていきます。入試が始まっても、まだなお伸びていきます。最後の最後まで、お子さまを信じられることです。
 そして能開の指導スタッフになんなりとお気軽にご相談ください。直接の指導スタッフが実際の状況を把握しています。必要に応じてすぐに対応し、改善へのお手伝いをさせていただきます。

梁川 裕奉

 「中学受験公開模試」や過去問題演習などの結果において、真に重要なのは合計点ではなく小問ごとの得点状況です。必須正答(高正答率)ゾーンにある問題を落としてはいないか、合否分岐(比較的低正答率)ゾーンにある問題を攻め取れているか、すなわち弱点克服や得意テーマのパワーアップが成功しているかどうかの点検なのです。
 ですから、冬の「志望校別模試」におきましても、単に合否判定ではなく、自分のターゲット校に対してどこまで自分の得点力が届いているのかを点検し、本番に向けさらに修正するのがその目的です。模試の合格も不合格も、本番入試での合格や不合格を保証するものではまったくありません。最後の最後まであきらめない受験生だけが勝利するのです。

 いよいよ受験生として、最高の山場である夏を迎えます。大きな成果が出る「夏期講習」「夏の集結特訓」にしたいと考えています。算数科スタッフは、算数力こそが入試での決定力となると自覚し、その責任をひしと感じています。夏から、秋、冬と、私たちの全精力を注ぎ込んで、ここから入試まで、いや合格まで子どもたちを導いて参ります。どうぞご期待ください。

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2016夏・学年別 学習攻略ポイント 国語

国語主任 露口 和男

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小3・4・5国語  

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小6国語  

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小3・4・5国語

能開の国語の特長――言語技術として学び、他者理解力を身につける

   はじめに、能開センターの国語の特長について少し申し上げます。国語は学ぶべきものであり、学べる「言語技術」である――というのが私たちの基本的な考え方です。国語力は自然に任せて身につくものではない反面、意欲さえあれば知識やスキルとしてだれでもが学び得るということです。
 私たちは一般論や抽象論として国語を論じているのではありません。これは私たちが責を負う、中学入試問題を突破し得る国語力をどう養成するかという議論の中から生まれてきた実践的な考えであり具体的な手法です。
 国語の入試問題は構造的にどうできているかを、能開独自の視点から入試分析を進めていく中で見出したのが、後でも述べます「語彙の知識」・「文章読解」(読解スキル)・「解答技法」(解答スキル)の3つの切り口です。これらは国語を言語技術、つまりスキルとして習得していく手法なのです。

  能開センターの国語カリキュラムとテキストは3年生から6年生まで、「語彙学習」と「読解学習」の2本立てになっています。「語彙学習」はさらに「漢字学習」と「語句学習」に分かれ、3年で『漢字ドリルⅠ』『ことばの学習Ⅰ』、4年で『漢字ドリルⅡ』『ことばの学習Ⅱ』、5年で『漢字大全Ⅰ』『ことばの学習Ⅲ』、6年で『漢字大全Ⅱ』『ことばの学習Ⅳ』という編成をとっています。
 「読解学習」の方は、「文章読解」(読解スキル)と「解答技法」(解答スキル)の全細目を体系化した6年生テキストを全5巻の『入試大全』とし、3年生から5年生までは各学年に合わせてブレイクダウンを施しながらも設計思想は厳に守った内容構成としています。

露口 和男

 3年生から5年生までは、文章ジャンルとして、物語文・説明文、文学的文章・論理的文章などとくくり、文章の主題や主張にも一部言及しつつ学びますが、6年生ではそれを文学的文章の展開や主題、論理的文章の立論や主張としてテンプレート(ヒナ型、定型)化し、初読の文章にも十分対応できる思考のベースを構築します。

  思うに、国語の問題に用いられる素材文は他者が書いた文章であり、その問題に解答するには他者によって書かれた文章を再構築するというプロセス、つまり読むという行為が必要となります。目の前の文章が分かりにくいのは、他者の分け方と自分の分け方が違うことによるものか、自分の再構築=読む「言語技術」が未熟であることによるものか、のいずれかです。
 私たちは、能開の国語学習を通じて、子どもたち一人ひとりが外国語学習の際にも絶対的な核となる母語に対する普遍的な「言語技術の力」を高めるとともに、自分とは異なる「他者を理解する力」を身につけていってほしいと考えます。

3年生は「日常的な学習習慣づくりの中で国語力を育もう!」

 能開センターでの夏を、初めて過ごされる3年生も多いことでしょう。3年生にとってこの夏は、学習習慣を生活の中にきちんと組み込む大事な機会となります。「夏期講習」中だけでなく、少ない時間でいいので毎日つくえの前にすわり、集中することを習慣づけることがとても大切です。

 国語という科目はどう学習すればよいかわからない――とよく聞きます。それは、他科目よりも基礎的で根底的な「言語と思考そのものに関する学習」であるという科目特性によるものです。国語力は言語と思考に反する生活習慣に近いものだからです(早い話が特効薬はありません)。ただし、あるがままの生活では国語力は向上しません。意識的戦略的な言語学習生活が必要なのです。それが、「少しずつでも毎日」という意味でもあります。

 しかしお断りしておくべきは、読書が万能ではないということです。読書の効能はどんなものをどう読むかで異なります。そして、強調すべきは「良い生活習慣は意識して作り出すもの」なのと同様、「国語力は(語彙力も読解力もです)学んでこそ身につくもの」だということです。決して生まれつきのもの、自然と身につくものではありません。

 さて、「夏期講習」では毎回、漢字と語句、文章の読み取り、その両方を学習します。漢字と語句は1学期ゼミで学んだことの整理と復習ともなります。講習中を含めて、夏の間に『漢字ドリルⅠ』『ことばの学習Ⅰ』で学んだことが定着できているか、チェックしていってください。漢字では「とめ・はね・はらい」を確認しながら、ゆっくりと着実に進めていきます。
 文章の読み取りでは、物語文と説明文のいろいろな文章に接し、読み取り方のポイントを復習しますが、文章はマーキングしながらていねいに読むことがまず大事です。物語文では「登場人物の気持ち」、説明文では「こそあどことば」や「つなぎことば」が読み取りのかぎになります。これらのマーキングはできていますか。
 夏の間にゼミテキストにも戻り、読み取りテーマの復習とともに、マーキングのやり方や習慣づけをふくめて、もう一度学習していく計画を立てましょう。

4年生は「受験学習の本格化に向け、学習の変わり目となる夏!」

 4年生の学習について、要は3年生の継続と発展だろうというふうに思われがちですが、それは違います。学習の質的な面で重要な展開がいくつもある、その意味では最重要な学年ともいえます。
 まず、学習スピードのテンポアップがあります。たとえば学習習慣では、ただつくえの前にすわっていればよいということではなく、その過ごし方の中身がやはり大事になってきます。時間の長さは変わらずとも、集中度を高め、テンポ良く学習内容を進めていかなければならないということです。

 4年生の「夏期講習」では3年生と同様、語彙と読解を並行して学びます。4年ゼミの語彙テキストが『漢字ドリルⅡ』『ことばの学習Ⅱ』に発展していますので、講習もこれらの学習を前提とした整理と復習となります。
 能開の国語プログラムでは、4年ゼミ終了段階で小学校で学ぶ漢字1006字全部を一通り学習してしまいます。5年ゼミからは語彙でも受験に向けての学習が本格化するからです。だから4年生の夏の課題のひとつは、この夏の間に『漢字ドリルⅠ』と『漢字ドリルⅡ』で習熟できていない漢字をきちんと復習しておくということになります。

 それから「確認テスト」の受け方についても、この4年生の夏の機会にしっかりと腕を磨いておきましょう。5年生になれば内容的にもう一段レベルアップしますし、「出たとこ勝負」ではいつまで経っても「得点力」は身につきません。腕を上げるにはいまが最適のタイミングなのです。
 チェックすべきは次の項目です。これまで自分はどこをどう間違えたのかを調べてのテスト対策学習、テスト時間内の見直しのしかた、結果の受け止め方、次のテストに向けての反省と行動など。これらを講習中の確認テストでトレーニングしていきましょう。

露口 和男

 また、「夏期講習」での読解学習では、春期講習に引き続き、ひとつの作品を通読して総合的な読解力を磨いていきます。登場人物は同じですので、各編での事情を読み解きながら、作品全編を味わって読み進めていきましょう。
 そこでの問題は次の3レベルで構成しています。文中の語句をそのまま抜き出せばよい問題、語順を入れ替える記述など自分で一部を再構成しなければならない問題、文と文をつなげるやや長めの記述問題や指定に合うものすべて選ぶ選択問題などです。

 文章読解では、物語文と説明文で得意不得意が分かれるということもありますね。長い夏休みの期間はそういう不得意や弱点を克服できる、またとないチャンスでもあります。物語文が弱いときは、ゼミテキストの「登場人物の心情」「心情とその理由」などを復習し、気持ちの言葉を理解する練習量を増やしてください。
 説明文が苦手な場合は、ゼミテキストの「指示語・言いかえ」「接続語」などを復習し、指示語の働きと読み取り、接続語の種類と使い方がちゃんと理解できているかチェックしましょう。

 みなさん、2年後の第一志望校突破を本気でめざすなら、この4年夏での弱点克服が絶対に必要です。学習内容が本格化する5年生になると、克服の苦労もより大きくなってしまいますから。先手必勝ですよ。

5年生は「自分をワンランクアップさせるため、今こそがんばろう!」

 国語力は経験や学習によって大いに刺激されますが、その定着には学習概念の受け容れに見合う内面的な成長が欠かせません。逆に、内面的な成長があれば、これまで理解できなかった領域での国語学習も進展していきます。つまり、年齢・成長とともに国語キャパシティーと国語力は追いつ追われつ、変化し成長していくのです。
 そういう意味で、国語力の成長途上にあった3・4年生段階から、5年生になってようやく本格的な受験学習が可能なステージに上ります。入試にそのまま出題されるレベルでの漢字、語句、文章を用いての学習が初めて可能となったのです。

 「夏期講習」では、やはり語彙と読解の学習を並行して進めます。ゼミでは、漢字が『漢字大全Ⅰ』、語句が『ことばの学習Ⅲ』のテキストにそれぞれステージアップしています。これらは小学校で習う漢字すべてを学習していることを前提とした受験対策教材です。
 特に『漢字大全Ⅰ』は、主要な私立中学校の過去入試で実際に出題された約6200題を集計・分析した結果に基づき、高頻度で出題された漢字と熟語について入試を想定して編集、再配列したものです。近年入試でも、『漢字大全Ⅰ』の学習漢字からの出題ヒット率は70%近くに上ります。1学期ゼミで学んだことがらは、必ずこの夏に完成させましょう。
 『ことばの学習Ⅲ』で扱う内容に関してもチェック&フォローしてほしいのですが、特に「夏期講習」で採り上げる「反対語」「同義語」「同音異義語」「同訓異字」については入試での出題頻度が高いだけでなく、その理解が読解問題にも影響しますので念入りにチェックし、マスターしてください。

露口 和男

 4年生のところでも触れました「テスト」についてもひとこと述べておきます。4年生が「チェンジ」(変える)だとしたら、5年生は「チャレンジ」であり「真剣勝負」です。6年生でがんばるのはあたり前です。みんながそうします。だから、自分をワンランク、アップさせたいなら、この5年生のときに人一倍がんばることです。
 テストは自分で自分を鍛える機会、いまの自分がもう一人のなりたい自分に向かって挑戦していく場です。「確認テスト」も「実力テスト」も「公開模試」も、入試だと思ってください。現状の自分に満足せず、なりたい自分をめざしてください。真剣勝負です。入試に対するように、これまでのテストと自分を徹底的に分析した上で、対策学習を進めましょう。

 さて、「夏期講習」での読解学習についてです。この夏は記述問題にスポットを当てます。記述は入試でも合否の最後のかぎを握る非常に重要な解答スキルです。同時に、だれでもが使えるようになれるスキルなのです。できないと決めつけないことが一番大事なことでしょう。ゼミでも記述解答のしかたをすでに学びました。ゼミテキストで復習しておきましょう。
 「夏期講習」では文学的文章、論理的文章として学びますが、物語文が弱い人はゼミテキストの「心情・因果」「対比」などを復習し、心情語と事情をつかむ練習量を増やしてください。説明文が苦手な場合は、「言いかえ」「因果」などで同格と因果の関係を、「文章の構成と段落」などで中心文と段落構成の理解に対する手順に誤りがないかチェックし、必要ならすぐに担当の先生に相談し、この夏中に手当てしておきましょう。

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2016夏・学習攻略ポイント 小6国語

1. 語彙が不安なら、ヒット率70%の『漢字大全Ⅰ』の制覇!

 6年生については、この夏のことに触れながらも、入試に向けて自分は今後どうすればよいかがわかるよう全体展望をお話しします。初めにも述べましたように、国語の入試問題を構造的に解析してみますと、国語力には3つの切り口があることがわかります。
 まず漢字や語句など語彙に関する習熟知識、次に文章・文脈中の心情表現や論理展開の読解理解、及びそれらに基づく主題や主張の読解把握、最後に選択肢の吟味や指定字数での記述など解答作成に関する処理技法です。漢字書き取りなどの単独問題を除き、どれか1つだけでは対処できない総合性が国語の特性といえるでしょう。それぞれの切り口のレベルアップが望まれるわけです。

 国語は比較的、差がつきにくい科目です。ベースがふだん使う日本語だからです。しかし、だからこそ日常的な日本語(口語)を超えて、文章の中での日本語(文語)を通じて国語力を磨く必要があり、またそれが入試でも科目として試されるのです。ここで気をつけなければいけないのはアドバンテージを取ること以上に下振れしないこと、すなわち最低でも平均点は確保することです。

 順に見ていきます。最初に、漢字や語句など「語彙の知識」を増やしましょう。ことばを辞書的な意味で理解しているだけでなく、文脈の中で理解できたり使えたりすることができるどうかが重要です。
 漢字なら、発音は同じでも文字が違う、「同音異義語」と「同訓異字」の理解がポイントとなります。漢字は表意文字です。字義(字の意味)を理解すること、特に形声文字の“音・意味・形”に留意して理解を進めると、活路が見いだせることでしょう。そのためには、ヒット率70%を誇る『漢字大全Ⅰ』の制覇です。

 語彙の習熟には、「ことばの学習」シリーズの復習が効果的です。その際、「反対語」「同義語」で語句をリンクさせることがポイントです。漢語・洋語・和語を問わず、“反対・同義”の関係で知識の相互乗り入れがスムーズにできるようトレーニングしてください。慣用句・ことわざは、物語文の心情把握に関係するものを優先すれば、その効果がすぐさま読解にも表れることでしょう。

 なお、漢字や語句関連の知識を定着させるには、チェックテストをすることが不可欠です。目ではなく手で記憶していくことが大事なのです。頭の中の記憶をどんどんノートなどの紙面へ出力すること、手による反復が習熟へのかぎです。この夏にこそ、鍛えましょう。

2. 選択・記述問題は解答スキルの面からも磨くことができる!

 次に、順序は前後しますが、アプローチしやすく効果も表れやすい「解答技法」について採り上げます。あなたの国語は、せっかく文章の読解はできているのに、ここが未熟で「得点」できていないのかもしれません。特につまずきが多いのは、次の2つです。

 1つは選択問題です。4択問題が多いですが、そのうち2つははずしやすく、残り2つが絞り切れずに迷うというのがパターンですね。不正解を「おしい」で済ましてはいけません。正解か不正解か、つまり得点か無得点か、明暗が厳しくも明確に分かれる、情け無用の解答形式がこの選択問題なのです。
 選択肢を選び分ける力を磨きましょう。正解は傍線部の「言いかえ表現」である場合が多いのですが、言いかえというのは同じような語句とは限りません。本文のある箇所の「同義語」であったり、意地悪にも「反対語」の“反対”であったりもするのです。また、傍線部近くにある語句が選択肢の文に含まれているからといって、その選択肢が正解の条件を満たしているわけではありません。
 選択肢を選び分ける学習経験を増やし、その技能を高めていくことが必要です。『国語大全Ⅲ』には「選択問題」のテーマがあります。夏から入試までにこのスキルを磨いていくことは十分に可能です。じっくりと取り組みましょう。

露口 和男

 そして、もう1つは記述問題です。苦手意識をもつ人がいますが、まず、記述は作文ではありません。また、選択問題とは違い、こちらは部分点がもらえやすい着実な得点源なのです。感覚や好き嫌いではなく、国語スキルとして記述問題に取り組むことが大事です。
 実際、記述スキルを向上させるには、そのまま抜き出すことから始めて、それを字数に合うよう一部加工する、求めに応じて語順を入れ替える、さらに因果となるよう2要素をつなげる、などといったステップ学習をしていくことで、だれもがこの力を磨くことができます。
 記述問題のポイントは部分点の稼ぎ方にあります。高配点の記述問題は複合的な要素を要求していて、そこで減点となるのは必要な要素がどれか欠けているからなのです。必要十分な要素を選び出して集め、それらを制限字数で適切に再構成していくことが高得点へのかぎなのです。記述問題攻略のポイントについても『国語大全Ⅲ』にテーマを設けています。

 ただし、これら解答スキルを単独の技術と捉えることは間違いです。たとえば、文章を読まずに選択肢だけで正解を判断することはできませんし、記述問題の解答に必要な要素は文章を読まずに取り出せません。
 前に国語力の「3つの切り口」「総合性」とお断りしたとおり、あくまで「漢字語彙」や「読解理解」と連携した「解答技法」です。そのバランスを取った上で、スキルとしての面からも磨く必要があるということです。実際、この側面からの改善だけでも、得点力は必ず向上します。この夏、しっかりと取り組むべき課題でしょう。

3. テンプレートと読解スキルの学習で、万全の読解力を磨こう!

 3つ目に「文章読解」についてです。難関校国語の難しさは文章自体の難しさに象徴されます。読み方自体はこれまで学んできた方法・スキルで問題ありません。しかし、用いられている語句の難度が高いと、時に全体に関わる重要なことがらが不明なまま読み進めることにもなります。また、著者の思想レベルの難しさは文脈と表現の中に集約されていて、これは辞書を引けばわかるというものではありません。

 そこで「夏期講習」と二学期ゼミで学ぶ『国語大全Ⅳ』『国語大全Ⅴ』では、受験生として知っておくべき思想・テーマのテンプレート(ヒナ型、定型)が身につけやすいように工夫されています。先入観で文章を読解するのは禁じ手ですが、ここで学んだ定型を座標軸とし、出題された文章で展開される著者の考え方を比較対照することができれば、著者の思想レベルでの理解に対しても大いなる助けとなることは必定です。

 とはいえ、読解の基本は「情報を下から積み上げて論理的に処理すること」です。物語文であれば、事情・できごと・心情・描写の情報、論説文であれば、同格の情報、主張と根拠の情報を客観的に把握することが不可欠です。夏には、テンプレートの学習とともに、これまで学んできたこれらの「読解スキル」を再点検していきます。

 さて、受験の天王山・夏を迎える前門としてそびえるのが「志望校別模試」です。7月には、灘、大阪星光学院、四天王寺、3中学校の模試が実施されます。特に、男子では大阪星光学院の物語文での長文記述問題、女子では四天王寺のハイパフォーマンスが要求される抜き出し問題、それぞれへの対応を中心に、年度中間点での自分の到達度と入試へ向けての課題を計測する絶好の機会となるでしょう。

露口 和男

 夏明けから入試直前期にかけては、来年入試を想定した「入試実戦演習」等で難解な文章に出合うことが多くなります。物語文であれば、他者の事情を文章全体からピックアップする必要があったり、心裏腹(うらはら)といいますが、相反する気持ちが芽生えていたり、回想場面の挿入により時間の流れをつかみにくくなったりする文章があります。
 論説文であれば、具体例に対立が組み込まれることにより問題提起と結論が離れてしまい、そのことで段落の構成を見誤ってしまう文章も珍しくありません。また、文章内容の難度が高くなることにより、明言されていない情報を想像力で補うことがはなはだ困難な文章に出合うこともあるでしょう。
 入試での実戦が予想されるこれらの文体・文章タイプに対しても、「基本の形を崩さずに読み進める」ことができる国語の基礎体力を鍛えるため、気を抜かず、この“最後の”長い夏を使ってトレーニングをしっかりと積み重ねていきましょう。

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2016夏・学年別 学習攻略ポイント 社会

社会主任 天雲 寛

5年生は「第一関門の地理分野と入試頻出テーマのマスターを!」

 5年生は、この夏の「夏期講習」では「映像ゼミ」として4日間学びます。このうちの3日間は、1学期ゼミで学んだ「第一関門」ともいうべき地理分野の最重要テーマの総復習です。「日本の農業」「日本の工業」「日本の貿易」の各テーマとして整理していきます。

 5年の夏のうちに、地理分野をきちんと固められるかどうかは非常に重要です。なぜなら、秋からは「第二関門」である歴史分野に本格的に突入していくことになるからです。後に残してはいけません。もし地理でつまずいているテーマがあれば、この夏のうちに必ず克服しておきましょう。能開の「映像ゼミ」だからこそ、絶対にできるはずです(くわしくはあとでお話しします)。

天雲寛

 あと1日は「世界遺産と環境問題」がテーマです。どちらも近ごろの入試では必ず出題されるテーマです。世界遺産には歴史的な背景をもつ文化遺産とともに自然遺産がありますし、環境問題も地理の問題と関連づけてよく出題されます。そこでここで整理しておくわけです。

 特に世界遺産の話題は、日本で新しい世界遺産が登録されるたび、テレビなどでも取り上げられてきました。2013年に「富士山」、2014年に「富岡製糸場」、2015年に「明治日本の産業革命遺産」と立て続けに登録され、今年もまもなく、「国立西洋美術館」が日本の世界遺産に加わります。あわせてちょうど20になりますよ。ふだんから関心をもつようにしてください。

6年生は「『社会科一問一答問題集』で、まずA・Bレベルまでのマスターを!」

 6年生には夏前に、来年度入試対応の「社会科一問一答問題集」をわたします。これは自学自習できる、教科書内容を含んだ知識事項の総ざらえ問題集であり参考書です。これを入試までくり返しくり返し使い込んでいきます。入試での難易度に応じて、全問にA・B・C・Dの4レベルをつけてあります。この夏は、まずA・Bレベルまでチェックし、マスターするようにしてください(ただし、クラスによって異なりますので、先生の指示に従ってください)。

 この「社会科一問一答問題集」は、能開社会科チームが長い年月をかけて育ててきたものです。最初はたった50問でスタートしました。今では約2500問と入試出題事項をほぼ網羅できています。内容的にも、毎年の入試問題、教科書の改訂などに応じてアップツーデートしています。たとえば、「士農工商」が教科書から消えたのを受けて、ズバリ問う問題としてははずし、解説知識としては残しました。「社会科一問一答問題集」は「答え→問題」へと逆に読めば、定義集です。あいまいな知識をくっきりと明確化させていくのに最適のツールです。上手に活用してください。

 さて、夏期講習では8日間の授業を予定しています。でも、それが夏の社会の学習だと思ってはいけません。入試に向けて「社会科一問一答問題集」を中心に家庭学習を進め、それに夏期講習での授業を加えるというスタンスで臨んでください。ただし、「社会科一問一答問題集」の学習に時間を長くとり過ぎてもダメです。4科のバランスを取りながら、計画的に少しずつ進めるのが最適の学習法です。そのことを含めて、夏の学習は担任の先生の指示に従ってください。

 夏期講習自体についていえば、夏までに地理、歴史、公民のすべてのテーマを終えますので、これまでの1つ1つのテーマを、ここでもう一度横断的に学び直し、いわばタテ糸にヨコ糸を通していく形で、応用問題にも対応できる広がりのある知識を編んでいきます。だから、ここで取り扱う問題は入試のような総合問題となり、「社会科一問一答問題集」で鍛えた知識を実戦的に試してみるということになります。

難関社会入試に向けては“Express”教材を用意

 受験に向けていいますと、9月からは入試実戦演習に入ります。3・4科選択入試が広くいきわたって以降、社会の入試問題自体は比較的取り組みやすくなりました。出題の仕方はともあれ、どこの学校も教科書重視で出題されるようになったからです。

 そういう中にあって、一段高い難度の入試を課す学校があります。男子校の東大寺学園と大阪星光学院です。確かに教科書内容に基づく出題なのですが、資料等の読み解きや解答までの処理に総合的な知識や判断が要求され、単なる知識対応では太刀打ちできないのです。

天雲寛

 能開センターでは学校別の入試出題傾向に対応するため、「志望校別模試」を実施しています。この7月24日には、灘中模試、四天王寺中模試、大阪星光学院中模試の各第1回が、冬にかけてはこれらの第2回模試、また西大和学園中模試、東大寺学園中模試が実施されます。

 わが社会科をはじめ各科目チームは、直近までの入試を精密分析し、精力を傾けて各校の予想問題を毎年作成しています。しかし、この志望校別模試はあくまで到達した実力の測定のためのものです。実力の練磨自体には別の工夫や努力が必要となってきます。

 そこで、社会科としてそのために編み出しましたのが「東大寺Express」であり「星光Express」なのです。演習形式ですが、自学自習にも有効な教材として作成しましたので、解説を徹底充実させています。頭に入りやすいよう予備校講義風といいますか、語り口調でまとめてあります。

能開の社会の特長――特に、独自の「映像ゼミ」について

 最後に、能開の社会の特長についてです。これは社会に限ったことではないのですが、効率よく合理的に学習していくというのが能開センターの基本学習方針です。そういうこともあり、能開では社会は2年間のカリキュラムで入試に対応しています。

 しかし、5年生からの社会学習をより着実なものとするため、4年生後半から先行して社会を選択講座として受講できるようにしました。先に「第一関門」と表現しましたが、社会でのつまずきは初めに学ぶ地理分野で起こりがちです。そこで4年生での学習内容は地理分野の導入と社会学習法に限ったものにしています。

 さて、この4年社会、そして5年社会は「映像ゼミ」として学習します。4年社会が今年で3年目、5年社会は今年からです。最初、「映像で身につくのか」といったご懸念の声もいただきました。でも、今はその学習効果を実際にお確かめいただき、その実績に基づいてご安心の上、広く受け容れていただいております。

 実際、5年社会での「映像ゼミ」実施前後で各種テストのデータを比較検討しましたところ、個々の問題で上回ったり下回ったりということはありますが、トータルでいえば以前を上回る受講効果となっています。また、4年社会に関しましても、その受講効果は5年の社会テストでの数値となって明確に表れています。

 なぜそうなのかといいますと、能開センターの「映像ゼミ」は単に映像を見せて終わりというものではないからです。2つの大きな特長があります。1つは「授業」として実施するということです。
 「映像ゼミ」担当の先生がつき、出席をとり、宿題を集め、確認テストを実施します。そして映像が流れる中、映像の先生といっしょに子どもたちに呼びかけ、発声や動作を促します。また、机間巡視し、子どもたちの受講姿勢を正したり、理解を助けたりします。授業後はクラス担任への報告を行います。こうした1つ1つがしっかりした受講効果を保障しているのです。

天雲寛

 それともう1つ。反復受講が何度でもできるということです。授業日以降、家庭でインターネットの能開センター・会員サイトを通じて、1年中、教室で受講した「映像ゼミ」が視聴できます(本科ゼミはその年度中、講習はその講習中はいつでも可)。初めに言いました、つまずいているテーマの克服も、だからこそスムーズに可能なのです。

 こんなお声を頂戴しました。テスト前はいつもお子さまの復習にお付き合いされ、いっしょに「映像ゼミ」をご覧になるそうです。「先生の元気な授業で、子どもより先に私の方が日本アルプスの3つの名前を覚えてしまいました」とあるお母さまからでした(笑)。

 いっしょに最後までがんばりましょう! 悔いのない夏を過ごしてください! では教室で!

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2016夏・学年別 学習攻略ポイント 理科

理科主任 安川 善人

4年生は「夏休みだからこそできる親子での自然体験学習を!」

 4年生の「夏期講習」には理科がありません。でも1学期に教室で学んだ知識をそれだけで終わらせずに、この夏の期間を上手に使って、実際の自然の中などで学んだことを観たり触れたりする体験学習を強くお勧めします。林間や海浜だけでなく、博物館や水族館、科学館やプラネタリウムもお勧めですよ。夏休みだからこそできる自然体験は、お子さまだけでなくご家族にとっての宝物にきっとなります。

 1学期ゼミでは四季の自然のうち、春夏の動植物を学びました。子どもたちにとってカブトムシなどの虫は比較的身近なのですが、植物に関してはうといですね。特徴を知らずに植物を見ると、確かに区別がつきませんし…。ご家族でお出かけの機会などに、動植物についてここに注目すればいいよというポイント――見た目だけでなく分類上のポイントも――をいっしょに確認してあげると理解がグンと深まることでしょう。
 あと、星座の学習もしました。花火だけでなく、夏の夜空をいっしょに見上げてください。でも、天の川は残念ながら光害で都市部からはほとんど見えませんので、悪しからず。

 今後の予定を申し上げます。9月からは秋冬の自然を学ぶとともに、電気と電流、磁石のはたらきなどの物理分野に入っていきます。1学期ゼミでは、すでにものの溶け方や温まり方など化学分野を少しずつ学習し始めています。4年生ではこうして四季の自然とともに、理科の全重要テーマについての導入を進めていきます。

 理科が強い子になるには、興味、好奇心が一番です。そのためにはご家族の方がいっしょに自然現象に対して驚いてあげることです。「えーっ!」「すごい!」「なぜ?」、こんなことばへの共感を大切にしてください。

5年生は「この夏、本格的な理科の学習方法を身につけよう!」

 5年生の夏は非常に重要です。「夏期講習」でのテーマ、「ばねとてこ」「溶解度」「太陽と月」は復習ですが、いずれも厳選したテーマです。単一的だった4年理科とは違い、思考問題であると同時に計算問題でもあるという複合的な構成をとり、これが入試につながる5年理科の形です。また、理科の学習スタイル、理科への取り組み方が決まるのがこの夏ですので、ユメユメおろそかにしてはなりません。

安川 善人

 面倒くさがりやの男子に多いのですが、理科と算数とは別物だと決めつけています。するとどうなるかといいますと、計算がおざなりになります。きちんと計算式を書かないからケアレスミスが起きやすい。それ以上に、どこでどう間違えたのか、計算ミスか思考ミスかも、後でトレースできないのが最大の難点です。このものぐさを直さないと、理科の得点は伸びていきません。

 理科という科目は、英語でサイエンス、つまり科学です。中学校以降は数学、小学校では算数を使いこなして答えを導き出す科目なのです。そういう意味で理科の問題というのは、入り口での思考が理科、中間の処理方法が算数で、出口で再び理科に戻ります。
 算数の解法にも通じますが、理科では自分の考えを、図に、表に、そして数字や文字に書き表すことが重要です。計算についても同様です。自分の思考を省略しないで、目に見えるように展開していくこと。これこそが理科の王道です。

 男子と断ってお話ししましたので、今度は女子についてもひとこと言っておきます。「思考と計算」の学習となった5年理科は、もっぱら「暗記」を得意としてきた女子にとっては“鬼門”となります。こういう女子に多いのは、宿題の問題を「考える」のではなく、「仕上げる」というタイプです。そんな子のノートはたいていカラフルです。
 学習の重心がずれているのです。思考に重点を置いてほしいと思います。是正するには、仕上がり=結果を気にせず、自分でわかるところまで解いていき、わからないところで立ち止まって質問することです。これは、「言われたからする学習」から「自分から求めていく学習」へと切り替えることを意味します。

 「夏期講習」のテーマは、たとえば「ばねとてこ」が力学の「力のつり合い」の学習であるように、それぞれ将来の物理、化学、天体につながっていく重要テーマばかりです。ここでの“成功体験”は、受験にはもちろん、さらには中学高校での理科にも好影響をもたらすことでしょう。  だから、この夏、私たち指導者と子どもたちの共通の目標は、男女とも子どもたちが理科学習の進め方について確かに前進できたという達成感を持つことです。そのためにがんばりたいと思います。

6年生は「解くスピードより問題への正しい対応力を磨こう!」

 受験まであと半年。ゼミではテーマ学習はすでに終わり、入試に向けてのローリング(巻き直し)学習に入っています。「夏期講習」では、入試頻出テーマの重要ポイントについて総整理と総演習を進めます。「夏は受験の天王山」ともいいます。学習量を増やして、秋以降の本格的な入試実戦演習に耐えうる実力を磨きます。

安川 善人

 ただ勘違いしてはならないことは、この段階で大事なことは問題を“解くスピードではない”ということです。制限時間を守りながらも、優先順位は一問一問へのアプローチの正しさ、精度、正確さです。そして一問一問との出合いを大切にし、一つひとつの正解を積み重ねていくことなのです。「一期一会」をもじっていえば「一問一会」です。スピードアップはあとで十分に間に合います。

 いま磨かなければならないのは、――何を求める問題か、それを求めるには何が必要か、そのための条件を整理していく力です。計算があるなら数量関係も取り出します。具体的に言いますと、説明文から、数表から、また図やグラフから、必要な条件を引き出していける力です。
 新しい、初めての、未知の、さまざまな問題に出合うたび、当然、とまどい、苦しみ、もがきます。これが、いま必要な学びなのです。来るべき入試での、初見の問題への対応力がこうして培われ、養われていきます。

 次に、この「初見対応力」とセットで磨いていってほしいのが「アウトプット力」です。すなわち正解する力です。途中でミスをしない力ともいえます。特に、確認テストなど基本となるテストを大切にすることが大事です。ここでも「一問一会」です。せっかく解き方がわかっても計算ミスなどをして途中でつまずけば、得点とはなりません。持てる実力を最後まで発揮できる力がアウトプット力です。

 3つ目に、男子を中心に、知識整理について言っておきます。理科では知識も大事です。知識は思考の源だからです。学習計画には、知識を覚える時間をきちんと組み入れておきます。その際、短時間で集中して覚えるのがコツです。ただし、無機質に覚えればよいと考えるのは間違いですし、おもしろくもありません。
 理科は前にも言いましたように科学です。科学とは科学的方法で世界をとらえる学問です。そこには法則、規則、ルールがあり、因果でつながれています。「対照実験」と呼ばれる、条件の違いによる結果の対比は、その典型的な検証方法です。科学的知識も同様で、法則と因果の網目でつながれています。たとえば動植物の分類もそのような網目のうちにあるのです。共通のことと違うことを上手にチェックし、整理していきましょう。

入試逆転への秘策としての理科。そして能開の理科の特長

 この7月から「志望校別模試」が始まります。結果が心配なのはわかるのですが、本当に大事なのはそれを受けて本番までに何をどうするかですね。そこで良いお話があります。理科をがんばることです。といいますのも、理科は自分の弱点テーマが明確になりやすい科目だからです。これは6年生に限った話ではありません。むしろ5年生にこそ聞いてほしい話です。

 理科はまず分野として物理、化学、生物、地学と分かれ、さらに細かいテーマへと細分化されています。テスト結果データの正答率を見れば、はっきりしていますね。自分はほかのみんなと比べてどのテーマが弱いか、つまりどのテーマが得点の足を引っぱっているのかがピンポイントでわかります。

 弱点テーマの問題では、集中力が極端に低下し、思考が空回りを起こしているはずです。どうすればよいか? 1つは思考の源である知識――特に基本――を増やすこと。知識のつながりをノートに整理します。もう1つは実験――これも基本――を理解すること。ノートにまとめ、そのテーマでの規則性や法則性を見つけます。この2つがきちんとできれば、そのテーマの基本問題は必ず解けるようになります。

 理科では、このように弱点をピンポイントで克服していくことが可能です。するとどうなるか? 平均以下の凹みがなくなり、反対に自分の強みが活きてきます。理科の得点がカバーされるだけでなく、3科や4科での合計点がまったく変わってきます。短期間で合否の形勢を急転回できる科目が理科なのです。がんばりがいのある科目が理科なのです。

安川 善人

 最後に、能開の理科の特長について少し。能開では、理科を「小学生の科学」として学びます。だから4年生では四季の動植物などの自然を一年の流れに沿って、また生活の中にもあふれる身近な自然現象を科学することから始めます。
 この興味づけをともなったトータルな導入を受け、5年生で本格的に理科を組織立てて学びます。そして6年生では学習内容をスパイラル(らせん状)に何重にも練り上げていき、入試に対応できると同時に、総合的な理科力、科学力が育つように構成してあります。

 それと、テキスト・テストなど教材が毎年の入試分析、また正答率分析に基づいて、全テーマがレベル別の合理的な編成となっているのは他科目と同様ですが、6年理科では今年度より知識の整理と定着のために『要点の確認』という冊子を用意しました。
 6年生はこの夏、この新ツールも十分活用しつつ、納得のいくまで先生にどんどん質問して、理科学習をやり尽くしてください。志望校合格をめざして、ともにがんばりましょう!

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