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2017入試Web特別報告会

横川 聡樹

女子最難関プロジェクトリーダー 横川 聡樹

洛南高附属をはじめ女子最難関中学校への受験指導において、その存在を知られる指導者である。能開センターへ移籍し、「女子最難関プロジェクト」リーダーに指名される。長身で挙措端正なジェントルマン、同時に厳格かつ熱誠の指導者であり、子ども・保護者双方より厚い信頼を集める。

 「合格への道標」シリーズ第3弾は、四天王寺(医志)、西大和学園、洛南高附属、神戸女学院の各中学校合格へと導く「女子最難関プロジェクト」です。今年度の西大和学園中入試では、女子募集定員40名に対して23名という圧倒的な合格者を送り出しました。発足後3年目となった2017年入試の分析とプロジェクトの活動についてご報告します(なお、本内容は4月17日に実施されました「入試報告会」に基づいています)。

女子最難関プロジェクトリーダーが語る合格への道標

近畿圏最上位女子が集い切磋琢磨し合う場が「女子最難関クラス」

 こんにちは、能開センター女子最難関プロジェクトの横川です。プロジェクトが指導する「女子最難関クラス」も3回目の入試を迎えました。本日は、2017年はどんな入試であったか、そこで能開の女子たちはどう戦ったのか? また、女子最難関中合格に必要な要素、プロジェクトの活動などについてご報告できればと思います。よろしくお願い申し上げます。

 最初に、「女子最難関クラス」とは何かをご紹介いたします。これは6年生の後期、夏明けから実施される能開センターの志望校別特訓講座の1つで、具体的には日曜実戦として10日間、集結特訓として11日間、計21日間の講座で構成される特訓クラスです。
 講座は大阪上本町校(または清風中学校高校校舎)で実施され、日曜実戦には平日授業を大阪や奈良の各所属校で受けている女子たちを中心に、集結特訓ではさらに加えて滋賀や和歌山などからも能開最上位の女子たちがこの場に集結し、互いに切磋琢磨し合います。
 本クラスでの指導対象校は、四天王寺(医志コース)、西大和学園、洛南高附属、神戸女学院の各中学校となります。ただし、あいにく今年度は受講者に神戸女学院志望者はいませんでした。

女子最難関プロジェクト図1
女子最難関プロジェクト図2

  それでは、2017年の女子最難関入試を振り返ります。まず、入試日程の確認です。<図1>をご覧ください。この4校の入試は近畿圏統一入試解禁日(1月14日)より3日間のうちに実施されました。初日土曜日の午前に、四天王寺、神戸女学院(一日目)、それに今年より共学化し併願校となった高槻(A入試)、午後に西大和学園(専願、21世紀型特色入試)。
 2日目の日曜日午前に、清風南海(SS・A入試)、午後に西大和学園(一般入試)、高槻(B入試)。3日目の月曜日に洛南高附属、神戸女学院(二日目)が実施されました。さらに、4日目には清風南海(B入試)がありました。

 能開センターの女子たちの結果は、<図2>の通り、定員35名の四天王寺・医志コースに10名(別に英数Ⅱに38名、英数Ⅰに29名)、女子定員40名の西大和学園に23名(21世紀型特色入試・一般入試併せて)、女子定員が実質的に60名の洛南高附属に7名(専願4名、併願3名)が合格を勝ち取りました。
 西大和学園の23名合格は、女子実績としては突出したものと考えています。
洛南高附属は合格者が少数との印象をお持ちになるやも知れませんが、これは能開の校立地の関係でそもそも受験者が比較的少数であるためで、そういう中での女子7名合格です。特にハードルの高さで知られる併願合格者を3名輩出したこととともに、胸を張れる合格率だと自負しております。

 

女子最難関3校の配点および実際の入試得点結果からの考察

 次に、彼女たちが挑んだ四天王寺、西大和学園、洛南高附属の3校について、2017年入試の得点から考察を加えます。

女子最難関プロジェクト図3

 その前に、各中学校の科目配点と判定の特徴を<図3>で確認しておきましょう。
四天王寺は、算国各120点、理社各80点、計400点満点の4科入試です。算国で全体の60%、理社で40%という配分です。なお、すでにお聞きおよびと思いますが、2018年からは3・4科アラカルト方式への移行が発表されています。

 西大和学園は、算国各150点、理社各100点、計500点満点の3・4科アラカルト方式で、4科の場合を含めて、算国理合計が1.25倍され、3・4科いずれか高得点の方で合否判定されます。4科では算国で60%、理社で40%と、四天王寺と同じ配分です。しかし3科では算国で75%、理で25%と、算国の比重が高まります。

 洛南高附属の配点は、算国が各150点で、そして3科なら理が100点そのまま、4科なら理社各100点が2分の1に換算されます。どちらも計400点満点、算国で75%、理か理社で25%という配分になります。算国の比重が常に高いことがポイントです。なお、4科受験の場合、得点は必ず4科で算出され、アラカルト判定は行われません。

 さて、入試得点結果ですが、ここでご紹介する得点データは、学校公表値のほか、能開センターの分析による推定値が一部含まれていることをあらかじめお断りしておきます。

女子最難関プロジェクト図4
女子最難関プロジェクト図5
女子最難関プロジェクト図6
女子最難関プロジェクト図7

 では、<図4>の洛南高附属をご覧ください。女子のみのグラフを見ますと、算国の合格者平均点と受験者平均点の差がそれぞれ20点あります。また、4科選択の場合、いまご説明したとおり理社の得点は半分になります。配点比重といい実際の得点といい、洛南高附属は算国勝負の入試だったということがよくわかります。

 <図5>の西大和学園です。まず、算数の合格者平均点と受験者平均点の差に注目です。なんと30点あります。それに合格者平均点が150点満点中120点近くあります。合格できるレベルの子たちにとって、多くは「当たり前」に解ける問題だったのです。しかしそれをミスなく解き通すこと、当たり前の問題を当たり前に解くことができるのが彼女たちの真の実力だということです。
 国語につきましても、受験者平均点自体が約115点と非常に高いことに注目です。理社では社会が比較的高得点となり、3科より4科が有利だったと思われがちですが、今年度のように算国が高得点勝負となりますと、20%という配点比重からも社会のアドバンテージは案外反映されにくくなります。過剰依存は危険です。

 <図6>の四天王寺は、今年度はおそらく出題レベルに判断ミスがあり、意図せざる結果となった入試だったと思われます。算数は120点満点で受験者平均点がちょうどその4割に当たる48点でした。
 そのため、難問に次ぐ難問の連続となり、試験中、さぞかし心が折れる受験生も多かったかと思われますが、さすがに医志コースに合格する子たちはそれでも22点を上乗せし、約6割のちょうど70点が平均点でした。理科も受験者平均点38点に対して、12点上乗せして合格者平均点はちょうど50点です。きっちりと理系教科に強い女子が力を発揮する入試となりました。

女子最難関中合格にはどんな学力や心構えが必要となるのか?

 お話を進めてまいります。以上のような大変に厳しい女子最難関中入試を勝ち抜いていくためにはどういったことが必要なのでしょうか? 学力と心構え、その両面から整理しておきたいと思います。
 <図7>に、学力面で3点挙げました。まず、「学力ベースの底上げ」。各校とも問題数や文章量が多いことが特徴の1つで、時間との勝負となります。処理スピードと正確さの両方が要求されます。学力キャパそのものの向上が必要なのです。そのためには、多様な問題に即応できる演習経験の充実も欠かせないでしょう。
 また、それだけではなく、深い思考力の練磨と構築も課題です。西大和学園の21世紀型特色入試では、新しい時代を先導するべく、脱・従来パターンの入試が明確に志向されました。目をそらせない流れです。

 次に「学校別対策」。各校ごと、入試にはっきりとした傾向や特色があります。いわゆる過去問を通じて、出題の形式と傾向などを十分に把握し、頻出テーマを徹底して理解しマスターしていくことが必要です。
 しかしながら、本当に学ばなければならないのは「過去」の問題ではありません。これらの演習を通じて、その学校が入試で何を求めているのか、次は何が出題されるのかを探ることが真の課題なのです。わが女子最難関クラスでは、これこそを教材として提供いたします。

 「合否分岐ゾーンの強化」としましたのは、学力強化は重点的に図るべきだということです。受験準備は限られた時間の中で行わなければなりません。仕上げの6年生はたった1年間です。有限の時間の中で、効率よく効果的な学習が望まれます。
 先ほど、合格者平均点と受験者平均点の差異を確認しました。こここそが合否の分かれ目であり、ここに該当するのが勝負問題なのです。女子最難関クラスではここに特化した強化を行います。さらに、単独ではなく複数の最難関校をめざすクラス故のカリキュラムの幅広さが柔軟かつタフな対応力を育みます。

女子最難関プロジェクト図8

 <図8>に、心構えとして3点挙げます。まず、「勝ちたい気持ち」。口に出さずとも、女子最難関クラスに在籍の子なら、皆さんこれを内に秘めてお持ちです。このあとにご紹介しますが、演習結果の掲示の前に立ち、じっと見つめる視点にそれぞれの闘志や得心を感じます。これらを原動力に努力を継続することが大事です。

 「振り返り」というのは、結果に一喜一憂するのではなく、一回一回反省をきちんと行い、次に活かすということです。それは間違いだけでなく、うまくいったときのことも含めてです。すべての経験を無駄にせず積み上げ、活かしていくということが大切です。

 そして「精神年齢」、これを高めていくことも望まれます。もちろん、直前の短期間にできることではありませんし、こうすれば良いというやり方があるわけでもありません。読書であったり大人との対話であったり、さまざまな経験の蓄積があって初めて養えるものでしょう。ただ、女子最難関校が求めているのは、端的に言えば「大人な女子」です。
 思うに、机に向かうばかりが勉強ではありません。たとえば、今夜の献立に必要な食材をいっしょに買い揃えていくとか、ニュースを見ながら子どもとは異なる大人の観点を教えてあげるとか、ご家庭でこそできることもあります。時間はかかりますが、そういう広く長い視野から、大切なお嬢様を育まれることをお勧めいたします。

「大人への階段」をのぼっていくのが女子最難関入試という試練

女子最難関プロジェクト図9
女子最難関プロジェクト図10

 では、能開センターの女子最難関クラスでの取り組みを、若干ご紹介させていただきます。まず、毎回行っていますのは<図9>の「合格発表掲示」です。日曜実戦で実施した演習テストの結果は、原則翌日には各所属校内で「合格発表」として掲示されます。得点、名前、そして合格ライン入りです。先ほど申しましたように、女子たちは無言でこれを凝視し心を熱くたぎらせるのです。

 そして、これと対になるのが<図10>の個人別「成績表」です。「合格発表」が言わば現在軸で微分した成績なら、こちらには自分の成績が時間軸でぎっしりと集積されています。日曜実戦の結果だけでなくすべての模試も含んで一覧化、グラフ化されており、成績の浮沈、「合否」結果の推移、教科間のバランスあるいはアンバランスが一目瞭然です。
 これに基づき、私たち指導者とともに、反省、反芻し、一過性を脱した観点から原因を探り、また対策を練り、効果的効率的に学力の改善・向上のための努力を継続していくことが志望校合格へと続く確かな道となります。

 勝利に向けての戦いは、実はライバルとの華麗な勝負にあるのではなく、弱い自分自身に逃げずに向き合う地道な修練であり、それは「大人への階段」を一歩一歩のぼっていくことに他ならないのです。わが女子最難関クラスは、女子受験生のいわば「人間道場」でもあります。

 その役割の1つは、最上位女子集団の中で、改めて自分の立ち位置を知り、今の自分を見直すことです。男女いっしょの所属校では見えにくいことがあります。たとえば、算数が苦手だけど女子だからまあ何とかなるのではと、入試に甘えがある子。でもここに来てみれば、女子でも「算数の鬼」がゴロゴロいます。このままでは通用しないことを実感します。
 また、国語が良くできるのが自慢の子。ところが、ここでは誰もがそうで、少しもアドバンテージにならないことを悟ります。もう一度、国語力を磨き直す必要を痛感するわけです。ここではそういった発見が少なからずあります。

 もう1つの役割は、ともに目標に向かう、ライバルであると同時に信頼に足る仲間である女子たちがいることです。女子は特に気持ちの面で環境からの影響を大きく受けがちです。繰り返しますが、女子最難関入試は厳しく熾烈な闘いです。ともに戦う仲間がいるからこそ、支え合う強い絆があるからこそ、時にはつまずき、時にはくじけそうになっても、目標に向かって最後までモチベーションを維持できるのです。

 開講3年目を終了し、これから4年目を迎える女子最難関クラス。先輩から後輩へと、女子最難関校へ挑むための心と技がバトンタッチされていきます。昨年12月の日曜実戦の際、入試直前の3期生たちを激励するために、中学生となった2期生のOGたちが駆けつけてくれました。自分が実際に通う学校の話、自身の体験に基づく入試に向けた直前アドバイスなど、彼女たちだけにしかできない貴重なプレゼントとなりました。

 最後に一言申し上げます。まだまだ「少数精鋭」での指導、また受験ですが、たいへん良質の指導と受験が実現できていると密かに自負しております。今後とも、大人の知恵を持った本当の意味で賢い女子受験生を育てるお手伝いができたらと考えております。いっそうのご支援ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

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