能開特集

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その前に…

「イクサヤマイマイオヤイカサカサカヤオテハタカヤキカワタハワイサオヒハコヒアヨココトコスヒシ」

は、実は無意味な文字列ではありませんでした。これは戦前戦中の歴代総理大臣の名前をカナ表記したときの頭文字を並べたもので、実際に大学受験の折にこれを使ったことのある方もおられるのではないでしょうか。現にその意識が入り込むと意味なしフレーズにも隠れた意味ができ、既に記憶の中にある人物名とのリンクもあいまって暗記スピードが増してしまうところがこの実験の価値あるところです。

では…

初級編
覚えるべきものがあれば自分の知っていることに無理やり結びつけることです。

 そして、インパクトのある状況作りができれば記憶は確実に強化されます。そしてそれだけで、「レミニセンス効果」なるものが期待できるわけですから結果は意外と高度なものになります。

たとえば、織田信長の肖像画を見たら知り合いに似た人物がいないか想像してみることです。「250の法則」なんていうものがあるそうですが、人間は一般に250人の人に自分の安否が伝われば事足りるという法則のようで、これを基準にすると250パターンは大袈裟ながら、子どもといえども相当数思い浮かべることができることになります。すると、合致する人物の名前からすぐさま織田信長の肖像に結びつくので、“その人と会えば信長、信長をみればその人”というぐあいに思い出す習慣がつきます。これが「レミニセンス効果」の基本です。なんだか不謹慎な感じもありますが、要は意識の問題ですから建設的に考えたいものです。気になるようなら有名人とむすびつけるのが妥当かもしれません。こうしたことは、年令を重ねれば重ねるほど思い当たる節が多くなるものですが、ある音楽を聴くと必ずある日の出来事を思い出すとか、ある花を見ると必ず蘇る記憶があるなど枚挙に暇がありません。これらすべてが「レミニセンス効果」によるものだったのです。


中級編
あらゆる言葉に無理やり疑問をもってみることです。

 そして、調べる。確認する。なるほどと思ったらそれをそのまま誰かに話す機会をもつと、確実に記憶は強化されます。とにかく調べていると関連事項に多く接触することになり、自分の知っていることにも行き当たりながら知識の裾野を拡大していくことになるのも大切な点です。

たとえば、「プランクトン」と聞くとすぐに微生物をイメージしてしまうケースが多いようですが、これは当然間違いですね。知っていると思い込んでいると調べないものですが、名称に疑問をもって是非調べてみることです。プランクトンというのは浮遊生物のことですから、遊泳能力の乏しいクラゲなどもプランクトンに含まれます。ではプランクトンに対して遊泳生物のことは何というのか?これが学習チャンスになり記憶強化の源泉になるわけです。因みに遊泳生物は「ネクトン」といいます。さらに派生させると「ベントス」や「ニューストン」なんて言葉も覚えることになってしまうかもしれません。


上級編
覚えるべき事項にしたがってキーワードを作る工夫をしてみることです。

 そして、そのキーワードの下にグループをつくるわけです。これが子どもたちが日常興味のある対象物を覚えるのに使っている手法そのものです。もちろん普段は手法だと思ってやっているわけではありませんので、いざやってみると面倒な作業にしか思えません。したがって最初は、そのキーワードとどのような関係があるのかを深く考えないことです。何気にあるいは乱暴にキーワード作りをしていてもキーワードそのものに限界が来ますから、後は何通リかのキーワードの下に新たな言葉を入れるしかなくなるものです。そしてそうなると、後は改良しながら進化していくだけです。気がつけばとんでもなく整理された知識の体系ができていることに驚くはずです。

たとえば、四字熟語で数字を使ったものだけを集めると、それだけでも‘一’というキーワードに連なる項目が列挙できるわけですし、‘三角形’というキーワードに連なる算数の解法など、かなりのボリュームになってしまいます。


要するに