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コーヒーカップ
知っておこうこんな法則

 まず、はてしなく100%に近い共通点は何ですか。 そう、カップの‘とって’です。これが記号論的に重要なポイントになります。同じものをイメージできないと言葉が通じたことにならないからです。しかし、カップの形状はどうでしょう。ふだん、どんなものでコーヒーやココアを飲んでいるのかが影響して、マグカップのようなものをかく人が必ずいるものです。このとき、皿をかくかどうかはその人のライフスタイルや感覚が影響しているに過ぎません。また、絵柄をかいた人はロマンチストなのかもしれませんが、占いをやっているわけではありませんので、やはりこれも特別な意味をもちません。

 さて、このなげかけ。本当に伝わったのでしょうか。それとも伝わらなかったのでしょうか。

「『コーヒーカップ』の絵をかいてみてください。」というなげかけに応じることができたという意味に限定すれば完全に伝わっています。しかし、なげかけた側に背景や何か特別な意図があった場合はどうでしょう。たとえば、コーヒーカップの前に「思い出の」がつくだけでたちまち絵をかく手が止まります。伝わり方が変わった証拠です。そして、この一言でまったくかけなくなる場合やかく気をなくす場合、そして当然、かくのがばかばかしくなる場合だってあるに違いありません。それは伝わらなかったからではありません。受けとめた側の多様な事情によるのです。つまり、受け止め方、応じ方が多様化したということです。仮に「思い出の」がついていなくても、文脈によってはついていると判断できる場合だってあるに違いありません。そうなると、効果は同様と考えるのが妥当です。‘ことば’とは、そういう特別な性質をもっているということをまず知っておいてください。

ことばに対する感覚がどんなに多様でも意味は常に制限を受けています。先のデノテーションとコノテーションも、意味の二重性を伝えているだけで意味がいろいろあるということではありません。単なるダブル・コード(2種類の意味をもった単語)だというべきです。そこで次の問題です。

「壁(かべ)」を使って一文を作ってみてください。

【解答例並びに解説】
(1)デノテーションによる例:「壁をよじのぼる」「厚い壁で分けられた部屋」「センスのいい壁紙」「壁をぬりかえる」「壁にかかった古時計」「岸壁に船をつける」「絶壁に足がすくむ」など

(2)コノテーションによる例:「人生には壁がある」「君と僕の間には壁がある」「偏差値60の壁」「一流になるために乗り越えるべき壁」など

 実はこの例文を考えるとき、大雑把にデノテーションとコノテーションを使い分けるだけだと、出てくる発想は必ずしも豊富なものにはなりません。より多くの発想にとって大切なものは、「さらに重ねる」という‘二重性の拡張’にあるのです。

 その考え方による例文を一つだけ示しておきます。

 「その登山家はある絶を征服することで自らのを超え、登山家として新たなに挑んだ。」

 いかがですか。最初の‘絶’はデノテーション、‘自らの’はコノテーション、そして‘新たな’は、デノテーションとコノテーションのダブルミーニング(2通りの意味づけ)になっていることにお気づきいただけたでしょうか。

 高度な読解力も、結局は「意味を知り、意味を使う」練習によって形成されることをご理解いただければ幸いです。

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