能開センター[中学受験]

難関私立中学校 2017年度入試の講評[算数]
2017年度

灘中、東大寺学園中、大阪星光学院中、四天王寺中、清風南海中など、難関私立中全8校の入試問題について、能開センターによる講評をお届けします。

灘中学校 大阪星光学院中学校
四天王寺中学校 東大寺学園中学校
清風南海中学校 西大和学園中学校
甲陽学院中学校 六甲学院中学校

灘中学校


 灘中の入試は2日間にわたり行われ、1日目、2日目ともに100点満点、合計200点満点で競われます。1日目は12問からなる独立小問タイプでスピードと精度を競う問題が並び、2日目は大問5題でじっくりと深い思考力を問う内容となっています。
 2017年度は昨年に比べると、受験者平均点が93.5点から97.5点へ、合格者平均点が115.9点から125.5点へと上昇しました。解きやすい問題が昨年より増えた反面、途中から問題レベルが上昇していくのは受験生にとって非常に厳しく、解ける・解けないがはっきりとした問題構成でした。

 1日目は、全体の3分の1が数に関する分野の問題、3分の1が図形分野からの出題となっており、その他にも大問4の濃さに関する問題や大問8の場合の数の問題など、一見しただけでは方針の立てにくい問題でありながら一工夫することで一気に解決できる、いかにも灘らしいと言える問題がちりばめられています。
 2日目は、5問中3問が図形分野(平面図形・立体図形)からの出題となっており、1日目同様、数や図形を重視する傾向は同じです。1日目にも増して難度の高い問題が多く、受験生が素直に解ける問題は各大問の(1)や(2)など全体の半分程度しかありません。それらをミスなく解いたあとに残りの問題で試行錯誤を続け、正解を導いていかなければ合格点に達しないところは中学入試最高峰といわれるゆえんでしょう。

大阪星光学院中学校


  2017年度の大阪星光学院中入試の算数は、受験生の力量の差が点数差にはっきりと現れる問題でした。昨年までは大問5題でしたが、今年は大問6題の構成に変化しています。
 大問別にみますと、【1】は従来5問であった小問が4問に減り、取り組みやすい小問が並んでいます。【2】は仕事算の典型題で、確実に合わせたい問題です。【3】は区切り面積の問題で、面積比と線分比の取り扱いがカギを握ります。【4】は水量の問題で煩雑な作業を要求しますが、既出問題として定番であり正答する受験生は多いでしょう。【5】は池の周りを回る速さの典型題なのですが、一工夫されており、差がつきやすい問題といえます。【6】は近年頻出の「場合の数」からの出題です。条件を整理することで一気に式処理に持ち込めますが、整理作業が中途半端では非常に厳しい問題です。

 まとめますと、今年はいわゆる難問、また知識の有無が問われるような問題は見当たらず、受験生の学習履歴がそのまま点数に反映される理想的といってよい出題となっています。
 受験者平均点は72.8点で、昨年の79.7点、一昨年の77.4点と比較するとやや低くなりましたが、合格者平均点は87.4点で、合格するためにはやはり高い水準の力が求められているといえます。

四天王寺中学校


  2017年度の四天王寺中入試の算数の問題は、昨年から大問が1問減り7題の設定で、1番は計算2問、2番と3番がそれぞれ平面図形と文章題の独立小問形式、4番以降が大問という構成でした。また、受験者平均点が昨年64点に対し今年は45点と大幅に低下し、女子にとって近年まれに見る非常に厳しい入試となりました。特に前半部分の問題が例年以上に難化したため、問題選択や時間配分といった受験の作戦が合否に大きく影響する入試となりました。

1番の計算は過年度と同じレベルです。ここは是非正答しなければなりません。2番と3番の小問群は知識を要する問題もあり、例年以上に厳しい問題が並んでいます。基本問題として得点源に考えていた受験生はかなりの時間を費やしてしまう内容です。4番は演算記号の標準的な問題です。①②を確実にあわせたいところです。5番は等差数列を利用した問題で四天王寺中としては標準レベルですが、②の最後の処理でつまずきそうな内容です。6番は四天王寺中お得意のグラフを利用する問題です。問題に与えられているグラフに条件をまとめていけば①②は正答できるようになっています。7番は立体図形の典型パターンです。最後の③は難度が高い問題ですが、四天王寺中で既出の問題なので対策できている受験生も多かったものと思われます。

東大寺学園中学校


   2017年度入試の東大寺学園中の算数は、昨年度より問題数が削減されました。大問1は、計算を含む独立小問が4問、その後に大問が3題、という構成になっています。近年は、ただ答えを出すだけでなく、作図をはじめ、思考や作業のプロセスを問う内容も出題されており、今年度も条件整理などの丁寧な作業を要求する出題が多くありました。
 算数の平均点について、昨年度と比較すると、受験者平均点が62.4点から53.4点へ、合格者平均点が80.1点から64.2点へと、両者ともに大幅に下がっており、難度が著しく上がった入試であったといえます。

 出題内容について、大問ごとに見ると、大問1の独立小問群の難度は、比較的取り組みやすい内容でした。しかし大問2以降は、一転して丁寧な条件整理と粘り強い作業が必要とされる問題が並んでいます。
 大問2は演算処理を使った問題で、(1)と(2)は調べることで解決しますが、(3)と(4)は分母の5という数に注目し、作業手順の簡略化を図らなければ、いたずらに時間がかかってしまう問題です。
 大問3では、与えられた図形が平易で、すぐに解決しそうに見えますが、面積比と線分比の扱いに力量の差が出る問題です。
 大問4は(1)こそ楽に解くことができますが、(2)以降の作業量は並大抵ではなく、最後の問題らしく、相当鍛えられた受験生でも苦労すること必至の内容です。

清風南海中学校


   2017年度の清風南海中入試の算数は、ボーダーラインの受験生の点数差がかなりつく出題内容でした。今年度も特別な難問や奇問はなく、学習履歴がそのまま点数に反映されるようになっています。
 受験者平均点は78.8点、昨年度の81.8点と比較すると少し下がりましたが、合格には7割超の点数が必要である高得点勝負の入試です。合格するためには基本的な問題の取りこぼしを防ぎ、さらにどれだけ応用レベルの問題にチャレンジしていくことができるかが勝負といえるでしょう。

 問題の構成は大問5題で、大問1は計算問題が4問あります。ここは絶対に取り切りたいところです。大問2は文章題と図形の独立小問で、典型題が多くきちんと得点したいところですが、(4)の論理の問題はかなりの難問です。ここで時間を使った受験生は後の展開が苦しくなったと思われます。
 大問3は平面図形の問題で、頻出の正六角形です。長さの比がとりやすい設定なので確実に得点したい問題です。大問4は水量の問題ですが、底面の区切られ方が変則型です。形そのものは無関係と気がついて作業を進めていくと決して難しくない問題です。大問5は通常とは速さの異なる時計の問題で、針の角速度をていねいに求めなければなりません。このタイプは難度の高い問題として有名ですが、少なくとも(2)までは正解したいところです。

西大和学園中学校


   2017年度の西大和学園中入試の算数、その最大のトピックは試験時間が70分に延長されたことでしょう。大問4題の構成であることには変わりありません。
 大問1は計算を含めた文章題の小問が8問で、ここでの出来が合否を大きく左右する問題です。大問2は図形の小問が5問で、典型題についてはきちんと得点したいところですが、(4)の立体の問題はかなりの作業力を要する問題です。大問3は比の問題で、歯車という算数ではよくある題材でありながら、(2)からは相当な難度になっており、むしろ(1)で絶対にミスしないことが大事です。

 最後の大問4は比例配分の問題ですが、従来の分野分けよりも「作業」という分野にした方が適切ともいえる問題です。(1)は易しく、(4)までは作業力を問い、(5)は発想力を問うという構成です。後半になると難度は高く、特に(5)の正解者はおそらくごく少数で、合否の分岐点になったとは考えにくい問題です。西大和学園中の算数といえば難問のイメージが強いですが、合格点に到達するためには難問よりも基本パターンの徹底と作業力の強化がカギと言えるでしょう。

 今年度の問題は昨年度と比較すると得点しやすくなったといえますが、合格には非常に高い得点率(通常男子で7割、女子では8割)が要求されており、高い水準の力が必要だといえます。

甲陽学院中学校


  甲陽学院中の入試は2日間にわたり行われ、1・2日目とも100点満点、合計200点満点で競われます。また、2日間とも大問6題、制限時間が55分という設定になっており、解くスピードではなく深い思考力を問う入試であるのが特徴です。
 2017年度は1日目の受験者平均点が58.9点、2日目の受験者平均点が54.3点と2日間のレベル差はほとんどありませんでした。昨年度と比べると2日間の受験者平均点合計が7.8点上昇しており、比較的取り組みやすい問題であったといえます。

 分野構成を見ると、1日目は大問1・計算と平面図形の独立小問、大問2・数の性質、大問3・速さ、大問4・平面図形、大問5・立体図形、大問6・場合の数、2日目は大問1・角度と論理論証の独立小問、大問2・場合の数、大問3・仕事算、大問4・濃度、大問5・場合の数、大問6・立体図形と各分野からバランスよく出題されており、合格にはそれぞれの分野での力を偏りなく強化することが必要といえるでしょう。

 甲陽学院中では、思考させることを好む傾向が強く、論理論証や、場合の数、複数分野の融合問題が頻出です。今年度も1日目の大問6や2日目の大問1(2)、大問5などで受験生がとまどうだろう問題が見られました。反面、近年は典型題の出題も続いており、1日目の大問3や2日目の大問3など、得点源にできる問題が出題されています。

六甲学院中学校


  2017年度の六甲学院中入試、その算数の問題構成は、大問が進む順にレベルが上がっていく形になっており、例年通りといえます。今年度は特に大問1から大問7までほとんどが既出内容からの問題であり、最後の2題にしっかりと時間をかけることのできた受験生は高得点が期待できます。反面、1問あたりの配点が非常に大きいのも特徴で、前半部分でミスを繰り返すと取り返しがつきません。

 大問1は例年通り計算問題が2問、大問2は平面図形の重なりの基本問題でした。大問3は、円の中心と円周上の点を結ぶという基本を守れば簡単です。大問4は最小公倍数の問題ですが、小数での求め方の練習の有無で差が出る内容です。大問5は比例を利用した基本問題。大問6は対称を利用し図を展開していく問題で、日ごろから作図練習をしているかどうかで差が出る問題です。
 大問7は、つるかめ算です。(2)は3条件付きのつるかめ算ですが、六甲学院中受験生であれば問題ないでしょう。大問8は「場合の数」からの出題です。丁寧に数字を追いかける作業力が問われる問題です。大問9はダイヤグラムを利用した速さの問題です。距離が同じ場合の速さとかかる時間の関係を利用していくタイプの問題で、グラフ内の比の関係を追いかけると具体的な速さを一切使うことなく正答を導き出せます。