能開の先生が選ぶ
~小学生の時に読んでほしいこの一冊

能開の先生が選ぶ~小学生の時に読んでほしいこの一冊

更新日:2023/04/14

私たち、中学受験指導スタッフがおススメする、ぜひ読んでほしい本第6弾を紹介します。

国語に興味を持つきっかけになった本、少年少女の成長物語で読んでほしい本、おすすめのSF小説・推理小説など、我々能開センター近畿中学受験本部国語科スタッフが是非読んでほしい作品をとりあげました。

保護者の方と一緒に選定して読んでください。

明石 智行
西大寺校
『線は、僕を描く』
砥上 裕將(著) 講談社文庫
大学生の主人公が水墨画の先生に弟子入りし、水墨画を学ぶことによって成長していく物語です。2022年映画化され、話題を呼んだ作品の原作本です。2022年度西大和学園中学校模試にも使用しました。
『いかがなものか』
群 ようこ(著) 集英社文庫
世の中の出来事に対し、作者が鋭い突っ込みを入れるエッセイ集。共感するだけでなく、日本の社会問題について考えさせられる内容も多々あります。一つ一つが短いので、国語が苦手な人も楽しく読むことができます。
『解きたくなる数学』
佐藤 雅彦(著) 大島 遼(著) 廣瀬 隼也(著) 岩波書店
数学が苦手な私も楽しく取り組める一冊。発想を変えないと解けない問題が多く、解説を読んで「なるほど!」と思わず言ってしまいます。小学生でも解ける問題がたくさんあるので是非親子で挑戦してみてください。
『立ち上がれ、何度でも』
行成 薫(著) 文春文庫
小学生の同級生がプロレスを通じて仲良くなっていく成長物語。大人になってプロレスラーとなった二人が再会して…。プロレスのことをよく知らない人でも楽しめる作品です。試合の臨場感がものすごいです。
石原 大輔
草津校
『変身』
カフカ(著)
ある朝起きると、主人公が巨大な虫に変身しているという冒頭の設定に衝撃を受けました。これを読んで、初めて自分自身の存在意義について真剣に考えた思い出があります。その後、何回か読んでいますが、読むたびに考察が深まり、新たな発見もあり、自由な解釈もできる、懐の深い名作だと思います。
『詩の世界』
高田 敏子(著) ポプラ社
代表的な詩を紹介し、詩の読み方や知識も学べるという意味で詩の入門書と言っても良いですが、何より「美しさとは何なのか」、「ものごとの本質を見るとはどういうことなのか」など詩の本質的な理解を深めてくれる本だと思います。
上野 誠一
上本町校・草津校
『はじめての動物地理学』
増田 隆一(著) 岩波書店
なぜライオンとゾウとサイは、インドとアフリカにいるのか。その答えを明らかにする動物地理学の入門書です。二億五千万年前のパンゲア大陸の出現から始まる進化の歴史、そして今後の課題である生物多様性の維持についても知ることができます。
『10代のうちに考えておきたい「なぜ?」「どうして?」』
近藤 雄生(著) 岩波書店
世の中の膨大な情報の中から必要な情報を選定する能力の重要性が言われ続けました。しかし今やその情報の選定すら人工知能が行う時代となりました。「○○に合う挨拶を考えて」「○○のデータを処理する数式を組んで」と言葉で指示を出すだけでよい時代が来ています。こんな時代の人間に必要とされるのは、たくさんの「なぜ」を考えられる人だと思います。
大澤 美智子
堺東校
『国マニア』
吉田 一郎(著) 単行本/交通新聞社 文庫本/ちくま文庫
この本では「マニア」の題名通り、小国や行きにくい国、かつて存在していた国や地域の紹介をしています。私は戦前、一つの会社に支配されていた大東諸島の話が興味深かったです。
『赤ヘル1975』
重松 清(著) 文庫本/講談社
1975年広島カープの弱小時代のお話です。物語の最後、少年が春期キャンプを訪れた際、ドラフト1位入団の選手を呼ぶ場面が感動的です。「マナブ!」と。なぜ名前で呼ぶか?ぜひ読んでみてください。
『開国ニッポン』
清水 義範(著) 文庫本/集英社
もし日本が鎖国という決断をしなかったら日本はどうなっていた?というもう一つの日本史です。史実と虚構を織り交ぜた歴史ものです。とても面白いですよ。
ちなみに鎖国という言葉は徳川家光の時代にはありません。
岡本 法子
生駒校
『ウクライナにいたら戦争が始まった』
松岡 圭祐(著) KADOKAWA
お父さんの単身赴任先がウクライナ。お父さんに会いに行くために、姉妹(高校生と中学生)がウクライナに三か月留学をすることになり、お母さんと出かける。そのウクライナでロシアとの戦争が突然始まった。私たち日本人は、どこか遠い国の戦争と思っている人が多いが、自分の身に降りかかった戦争。緊迫した場面の連続で、戦争の恐怖がひしひしと伝わってくる。
『ライオンのおやつ』
小川 糸(著) ポプラ社
若くして自分の人生の残り時間を医師から告げられた主人公。瀬戸内海の島にある「ライオンの家」というホスピスで、最期を迎えることを決める。そこでは、自分の食べたいおやつをリクエストできるが、そこでの生活から「生きること」と「死ぬこと」を考えさせられる。命に対する思いが変わるかもしれない。
鈴木 敦士
千里中央校
『きみの鐘が鳴る』
尾崎 英子(著) ポプラ社
中学受験に挑む、4人の小学6年生。その4人が順番に主人公となり、物語が展開していく。子供目線で描かれているため読みやすく、かつ、それぞれの子供が置かれた状況が様々で、感情移入できる主人公がきっと見つかる。すべての受験生とその保護者に読んでほしい一冊。
『生物に学ぶ敗者の進化論』
稲垣 栄洋(著) PHP研究所
中学受験説明文において、今最も注目すべき著者。他にも多数の著書があるが、本作は、生命の進化が、敗者によってどのようになされてきたのかということを、実にわかりやすく述べている。国語の説明文としてだけでなく、理科への知的好奇心をくすぐる一冊としても押さえておきたい。
『よみとく10分シリーズ』
学研プラス
「10分で読める〇〇」でおなじみのシリーズ。「名作」「物語」「伝記」「科学」「身近なぎもん」等、多数のジャンルが1~6年生のレベル別で用意されている。読書が苦手であれば、実際の学年よりも下の学年のものから入っていくことも有効。逆に、得意であれば上の学年のものまで読破してほしい。
瀧田 奈穂子
四条烏丸校
『若草物語』
ルイーザ・メイ・オルコット(著) 講談社他
言わずとしれた名作。個性豊かなマーチ家の四人姉妹それぞれの心の葛藤や絆を描いた成長物語。四姉妹のうちの誰かに自己投影しながら読んでみて欲しい。南北戦争真っ只中という時代背景も意識して読んで欲しい。
溜 礼加
天王寺校
『ななみの海』
朝比奈 あすか(著) 双葉社
児童養護施設で生活する高校生の少女のお話です。頼れる家族がいない中、自分の生きる道を見出した主人公に、これからも頑張れ!という思いで読み終わった一冊です。2023年の甲陽学院中で出題されました。
辻村 博之
草津校
『星を継ぐもの』
J.P.ホーガン(著)
この作品を含めた三部作で、地球人類の進化についての謎を解き明かしていく。フィクションでありながら緻密な論理的思考を伴った推理を経て展開されるストーリーは、まるで推理小説や科学書を読んでいるかのように感じられる。
中村 光伸
堺東校
『親子の名作 よみきかせ絵本 わらいばなし』
大泉書店
「まんじゅうこわい」「わらしべ長者」「じゅげむ」など、日本の落語や昔話として有名なお話も含めてどれも楽しい“笑い話”が30話。「オチ」がわかるようになる絵本です。
福本 聡
和歌山校
『夏の騎士』
百田 尚樹(著) 新潮文庫
小6・友情・夏休み・演劇・初恋・模擬試験・冒険・勇気・誘拐事件…。
パッとしない主人公、宏志(ひろし)は人生を切り開く「勇気」をどのように手に入れるのか?!宏志が勉強と向き合う場面に、きっと共感します。
『銀河ヒッチハイクガイド』
ダグラス・アダムス (著) 安原 和見(訳) 河出文庫
破壊された地球。
生き残ったアーサーのドタバタ宇宙放浪記が始まる。
「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」とは?
上記の言葉を「絶対に」検索しないように!
藤井 亜貴子
天王寺校
『純喫茶パオーン』
椰月 美智子(著) ハルキ文庫
創業約50年の「純喫茶パオーン」。店主の孫である「ぼく」の視点で描かれる日常。そして起こるちょっとした事件。出てくる喫茶店メニューも魅力的で、食欲も刺激される一冊。
山田 太郎
住道校
『新解さんの謎』
赤瀬川 原平(著) 文春文庫
国語辞典のなかでも、異彩を放つ「新明解国語辞典」の面白さについて。普通の国語辞典に書かれている意味とは異なる、独自の「意味」をお楽しみください。
『鼻』
芥川 竜之介(著) 角川文庫
知る人ぞ知る芥川竜之介の作品です。講習会で重松清の「ライギョ」を読んだりする子供たちにどうしても読んでほしい短編です。夏休みの読書感想文などには、短くて最適です。「トロッコ」や「杜子春」と違った世界に浸れます。
『おーい、でてこーい』
星 新一(著) 講談社青い鳥文庫
底なしの穴にあらゆるものを捨てる人間たち。都会がきれいになったと思ったら・・・。
思わぬどんでん返しが待ってます。
山本 初
堺東校
『角筈にて』 〈『鉄道員』収録〉
浅田 次郎(著) 集英社
父親と子どもの愛情のカタチを、それぞれの目線で描いた名作。大人の事情に振り回される子どもの悲しい姿は涙無しに読むことができません。実際にある中学校の入試問題にも使われていた作品で、私自身初めて解きながら涙した作品です。

アーカイブ

2022年春版

記事の日付:2022/04/20

私たち、中学受験指導スタッフがおススメする、ぜひ読んでほしい本第5弾を紹介します。

今年の入試問題を分析していくなかで、我々能開センター近畿中学受験本部国語科スタッフが是非読んでほしい作品をとりあげました。

保護者の方と一緒に選定して読んでください。

明石 智行
『小さな町の風景』
杉 みき子(著) 偕成社文庫
短編集で、その中の「あの坂をのぼれば」が好き。少年が海を見ようと、何度も山を越えて進んでいき、途中諦めそうになりながらも前へと進んでいく話。学校の教科書で読んで、今でも心に残る話です。
『魔女ののろいアメ』
草野 あきこ(著) PHP研究所
姉のことがきらいな妹の前に現れた魔女は差し出したのは「のろいアメ」。悪口を10個言いながらまぜると・・・。いつもは喧嘩ばかりの姉妹もやっぱり相手のことがすき。心温まるお話です。
『アルマゲドン』
M.C. ボーリン(著) 竹書房文庫
映画好きな私が一番すきな映画「アルマゲドン」の小説版。ハラハラする展開の中にも素晴らしい親子愛が描かれています。映画とはまた違う雰囲気が味わえます。
『鬼滅の刃 ノベライズ』
松田 朱夏(著) 吾峠 呼世晴(原作) 集英社みらい文庫
大人気アニメ「鬼滅の刃」の小説版。現在6巻まで刊行されています。漫画・アニメを見てストーリーを知っている人も、小説だと違った雰囲気が味わえ、想像力も働きますよ。
『園芸少年』
魚住 直子(著) 講談社
ひょんなことから3人の高校生男子が園芸部に入部することになり、植物を通して成長してくストーリー。
石原 大輔
『物語ること、生きること』
上橋 菜穂子(著) 講談社
「なんのために勉強するんだろう」そんなことを思いながら勉強したことはありませんか?そんな人は是非読むことをオススメします。 簡単に答えの出ない「学ぶということ」や「生きるということ」の一つの解釈が示され、ポジティブになれること請け合いです。
上野 誠一
『未来の扉をひらく 偉人のことば』『君に勇気を未来に光を 賢者のことば』
和田 孫博(著) 新星出版社
あらゆる情報が飛び交い、様々な考え方が示される中で「自分はどう考えるか」を求められる時代です。洋の東西を問わず古人が残した言葉に気づきを与えられる経験を小学生のうちに経験しておくことは重要です。
岡本 法子
『逆ソクラテス』
伊坂 幸太郎(著) 集英社
小学生が主人公の5作品。共通点は、現在の立場が苦しい、不満、不安など不幸せな境遇にいるということ。その境遇の中で、友だちの助けをかり、また、自分の勇気をしぼり出し、逆境を変えていく(結果的に変わった)という話です。周りの大人が自分の先入観を反省させられます。読書を通して子ども達には、もし現在の境遇が不幸せに思えても、それを変えることができるんだということを感じてもらいたい作品です。
『あと少し、もう少し』
瀬尾 まいこ(著) 新潮社
駅伝の県大会に出場するために、寄せ集められたいろいろ問題がありそうな中学生。実際に駅伝に向け、練習していくうちにお互いがお互いを思い、精一杯頑張るようになっていく。最初は、ちぐはぐだったメンバーも、最後は桝井(陸上部キャプテンで、今回のメンバーを集め、途中で病気がわかる)に感謝する。上原先生(顧問)や周りの人々の思いも重なり、感動的(ありふれた言葉ですが)な終わりです。子ども達の成長と絆の深まりに、泣く! 私は、大いに泣きました。
桑代 加奈子
『びりっかすの神さま』
岡田 淳(著) 偕成社
小学生はもちろん、先生と呼ばれる人は是非一度読むべき本です。「びりっかすの神様」はクラスでビリになった人しか見えない不思議な存在。かけっこやテストの成績、給食の食べる早さなど、ビリになる理由は生徒によってそれぞれです。ビリになったことのある生徒たちがびりっかすの神様を通じて仲間になっていく姿が感動的です。頑張ることと本気になることは違うんだと教えてくれるので小学生にはもちろんのこと、大人になって忘れてしまったワクワク感を思い出させてくれる作品。親子で楽しめる作品です。
島 翔子
『凜として弓を引く』
碧野 圭(著) 講談社
自信を持てなかった女子高生の矢口楓が、弓道を通し、年齢の離れた先輩たちとの交流からも学ぶことがあり、自分の意見をしっかりと持ち、仲間と息を合わせて弓道と向き合う楽しさに気づく物語です。
鈴木 敦士
『金の角持つ子どもたち』
藤岡 陽子(著) 集英社
6年生になって、「中学受験がしたい」と言い出した男の子が主人公。「受験生の男の子目線」「その母親目線」「塾の先生目線」と切り替わっていきます。中学受験をする親子にぜひ読んでほしい一冊です。
『犬がいた季節』
伊吹 有喜(著) 双葉社
主人公は15~18歳の少年少女。そこに犬がからみます。主人公の年代は高めですが、学生。小学生にとっては、大人が主役のものより読みやすいです。「登場人物の年齢が高めのもの」としてオススメの一冊です。
『一晩置いたカレーはなぜおいしいのか』
稲垣 栄洋(著) 新潮文庫
今一番出題されやすい作者と言っても過言ではありません。そしてこの本はテーマが具体的で身近。「野菜を食べないとどうなるか」「ピーマンはなぜ苦いのか」等。4年生以上にオススメです。
『みんなに好かれなくていい』
和田 秀樹(著) 小学館
「友だち」「SNS」「自己確立」「価値観」等がテーマです。「小学館 Youth Books」は、ターゲット層がいわゆる若者層です。 完全な大人向けのものではないので、それゆえに中学受験においては押さえておきたい文章レベルでオススメします。
武田 知樹
『青い鳥』短編「ハンカチ」
重松 清(著) 新潮社
場面緘黙症という症状があり学校で他人と話せない中学生の知子と、吃音症を持つ先生の物語です。先生に心を許した知子が自分の言葉を取り戻す中で、言葉で「伝える」ことの重要性を考えさせられる作品です。
溜 礼加
『The MANZAI 1~5巻』
あさの あつこ(著) ポプラ文庫ピュアフル
あさのあつこさんと言えば、野球少年を描いた「バッテリー」が有名ですが、野球になじみがない人でも、中学生の漫才コンビを描いたこの作品はとっつきやすく、心情描写もわかりやすいのでお薦めです。
『心臓に毛が生えている理由』
米原 万里(著) 角川文庫
ロシア・ウクライナ情勢のニュースが日々伝えられる中、改めてこの本を読んで、国や地域によって物事の考え方が根本から異なることを痛感しました。題名の謎も読めばわかりますよ。
中村 光伸
『リターン!』
山口 理(著) 文研出版
無気力な主人公が、ふとしたことからブーメラン競技にのめり込んでいく。夢中になれるものに出会った素晴らしさが溢れる成長物語。ブーメランと人生とを重ねた大人の言葉が深い。巻末にはブーメランの型紙も掲載。
『もりのゆうびんポスト』
原 京子(著) ポプラ社
まゆはおじいちゃんの家の近くの森で、ふしぎなポストをみつけて興味津々。ためしにポストに手紙をいれてみると返事が…!心のこもったお手紙のやりとりを見直すことができるあたたかいお話、低学年のお子様が対象。
西井 建太
『放課後はミステリーとともに』
東川 篤哉(著) 実業之日本社
主人公の周囲で起きる事件の数々をあざやかに(?)解決していく短編集。探偵としての意識はかなり高いものの、どこか抜けていて、ユニークな感覚を持つ主人公に、振り回されたりクスッと笑わせられたりします。
『逆風を切って走れ』
赤星 憲広(著) 主婦と生活社
かつて阪神タイガースで活躍した赤星憲広さん。野球選手としてはとても体が小さく、何度も「それでは通用しない」と言われてきたそうです。度重なる苦労や挫折を乗り越えてきた経験がつづられた一冊です。
福本 聡
『卵の緒』
瀬尾 まい子(著) 新潮文庫
みなさんは「へその緒」を見たことがありますか?「へその緒」の話になるとごまかすお母さんに、主人公の育生は「捨て子疑惑」をつのらせます。この一冊は「家族ってなんだろう」を教えてくれるかもしれません。
『はじまりの日』
ボブ・ディラン(作) ポール・ロジャース(絵) アーサー・ビナード(訳) 岩崎書店
ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランが息子を思って作ったそうです。みなさんのお家の方も同じ思いだと思います。
きみの手がずっと
 はたらきつづけますように
 きみの足がとおくまで
 走っていけますように
藤井 亜貴子
『ベネッセ 表現読解国語辞典』
ベネッセコーポレーション
読解や小論文に必要なキーワードを解説。わかりやすく図解もされており、読み物としてもおもしろい。また、類似の言葉の使い分けを詳細に説明。最適な表現方法が見につく。文章のテーマ・表現について学べる一冊です。学生時代から現在まで利用中です。
『雪のなまえ』
村山 由佳(著) 徳間書店
星光でも出題された作品。主人公は不登校になった小5の女の子。「逃げ癖がつく」という言葉で不安になりながらも、人とふれあうことで成長していく主人公の姿に勇気がもらえます。
『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』
佐々木 マキ(著) 福音館書店
村上春樹氏の表紙絵で有名な佐々木マキさんの作品。魔術師のムッシュ・ムニエルが弟子を探しに街へやってくる不思議な物語。大人っぽいが、ぐっと引き込まれてしまうはっきりした絵柄はとても印象に残っています。
『すべてがFになる』
森博嗣(著) 講談社
昨今の中学入試でも人気の森博嗣氏デビュー作。「理系ミステリ」と評される本書。大量の難解な専門用語におぼれながらも、すべての事象が解明されていく様を読んでいくのが心地よい。
『毎日読みたい365日の広告コピー』
WRITES PUBLISHING(著) ライツ社
毎日目にする広告コピー。短い言葉にはっとさせられたり、勇気をもらったり。そんな広告コピーを毎日読めるように1冊にまとめた本です。SNSのような限られた文字数でやりとりする現代人の参考に。また「言葉の力」に興味がある方にもおすすめします。
松藤 智
『クラスメイツ』
森 絵都(著) 偕成社
多くの中学校で入試問題として出題されている本です。中学生1年生のクラスメイト24人、それぞれを主人公とした短編の形で、一年が描かれていきます。短編として、それぞれのストーリーを楽しむこともできますが、連続した一つの物語として楽しむこともできます。また、一人の人物に対する様々な視点からの見え方の違いなども楽しみながら読むことができます。同年代だからこその悩みなど、共感できる部分がきっとあるのではないでしょうか。
宮武 進吾
『ジョゼと虎と魚たち』
田辺 聖子(原作) 百瀬 しのぶ(文) あきづき りょう(挿絵)
田辺聖子の原作を現代の中高生向けにアレンジしてヒットしたアニメ映画のノベライズ版。原作にある重さをマイルドにしているので小学生中学年からおすすめできます。舞台が大阪・兵庫なので親しみやすく、入試で取り上げられる可能性もあるかも!?
『富豪刑事』
筒井 康隆(著)
途方もない大金持ちの刑事が惜しみなくお金を使って犯人を追いつめるコメディ小説。巨匠の入門書としておすすめします。
山田 太郎
『茨木のり子詩集 (岩波文庫) 』より「自分の感受性くらい」
茨木 のり子(著) 谷川 俊太郎(選) 岩波書店
戦時中に青春を過ごした作者は、命を大切にする感受性を学んだ。自分の死にあたっては『弔慰の品はお花を含め、一切お送りくださいませんように。』の言葉まで残して逝ったこの力強さ。
詩の最後は、こうむすばれている
 「自分の感受性くらい
  自分で守れ
  ばかものよ

『こだまでしょうか』
金子 みすゞ(著) 
ご存じのように、東日本大震災の時にCMを自粛した企業広告に代わってさかんに流された公共広告のACジャパンのCMです。人間は恐怖の中で、他人を責めたくなりますが、常に思いやりの心を忘れずにいたいもので。このフレーズを思い出す方も多いのでは。
 「「遊ぼう」っていうと
  「遊ぼう」っていう。

  「ばか」っていうと
  「ばか」っていう。


あとは、ご自分で確かめてみましょう。
『家族の言い訳』
森 浩美(著) 双葉社
「家族」を主題にした短編集です。SMAPの「夜空のムコウ」などを作詞した作詞家でもあります。過年度には、中学入試の素材文にも多数使われています。「おかあちゃんの口紅」を含めて涙なしでは読めないものも入ってます。
山本 初
『「足に魂こめました」 カズが語った〔三浦知良〕』
一志 治夫(著) 文春文庫
50歳を超えても永遠の『サッカー小僧』であり続ける三浦知良選手の半生が綴られた本。若くしてサッカー王国ブラジルに単身留学、帰国後のJリーグ創成期の活躍は誰もが知るところ。夢を追い続けることの大切さが身に沁みます。カズをワールドカップで見たかった!

2021年春版

記事の日付:2021/04/26

私たち、中学受験指導スタッフがおススメする、ぜひ読んでほしい本第4弾を紹介します。

今年の入試問題を分析していくなかで、我々能開センター近畿中学受験本部国語科スタッフが是非読んでほしい作品をとりあげました。

保護者の方と一緒に選定して読んでください。

鈴木 敦士
『ハジメテヒラク』
こまつ あやこ(著) 講談社
『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』の作者の二作目。中学生女子の「脳内実況」が独特。ページをめくる手が止まりません。女子はもちろん、女子の心情理解に苦しむ男子にぜひ手に取ってほしい一冊です。
『水を縫う』
寺地 はるな(著) 集英社
松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。清澄は刺繍が好き。姉はかわいいものや華やかな場が苦手。母は理想の母親に、父はまっとうな父にそれぞれなれず。登場人物それぞれの苦悩、葛藤、それらを乗り越えていく成長が描かれています。「自分とは、置かれた環境の違う人の人生を疑似体験する」物語としてお勧めできる一冊です。
西井 建太
『家族シアター』
辻村 深月(著) 講談社
タイトルの通り「家族」をテーマにした短編集です。エピソードごとに主人公の年代や置かれた立場が違い、多角的に日常の「あるある」シーンを描いた作品です。癒し系の文章ですが、中にはハッとさせられるものも?!視野を広く持つ練習にもおすすめの一冊です。
宮武 進吾
『陰陽師』
夢枕 獏(著) 文春文庫
平安時代の京都で起きる怪事件を、陰陽師安倍晴明が解決する人気シリーズ。何度も漫画化や映像化が行われており、羽生結弦選手の演技ではこの映画の音楽が使用されています。有名な古典から着想を得て作られていますので、古文の学習にも役立つかもしれません。
島 翔子
『面白くて眠れなくなる植物学』
稲垣 栄洋(著) PHP研究所
バナナの種はどこにある?植物に血液型はあるの?といった疑問を取り上げています。台所の野菜や果物の細部に、新しい観点で楽しく目を向けられるようになる本です。稲垣栄洋さんの本は、2019立命館中、2020東山中、高槻中、2021四天王寺中、立命館中と人気校で相次いで出題されています。
上野 誠一
『脳はすこぶる快楽主義』
池谷 裕二(著) 朝日新聞出版
週刊朝日の連載「パテカトルの万能薬」をまとめた第3集です。人間の何気ない行動が最新の科学的知見からどう見えるかを軽妙な文体で書かれています。「ヒトが調理するワケ」は2021年灘中学校入試で出題されました。エッセイになじみがない小学生に少し背伸びして読ませたい一冊です。
『ミライの授業』
瀧本 哲史(著) 講談社
全国の中学校で行われた特別講義「未来をつくる5つの法則」を本にまとめたものです。未来を創るために必要な考え方や世の中の捉え方を歴史上の19人の偉人たちから学ぶことができます。歴史から学ぶという姿勢を身につけるべき小学生にも読んでもらいたい一冊です。
溜 礼加
『スマホ脳』
アンデシュ・ハンセン(著) 新潮新書
「スマホはダメだ」と言われても、大人も触っているし…納得がいかない人たちへ。スマホが人間に与える影響をわかりやすく説明してあります。大人も考えさせられる一冊です。
『10代からの情報キャッチボール入門―使えるメディア・リテラシー』
下村 健一(著) 岩波書店
「メディアリテラシー」 最近よく使われる言葉であり、入試に出題される文章でもよく取り上げられています。いろいろなメディアからいろいろな情報が飛び交う今日。これからの時代を生きていく人たちに是非読んでもらいたい一冊です。
藤井 亜貴子
『スイカのタネはなぜ散らばっているのか』
稲垣 栄洋(著) 草思社
近年中学入試頻出の、農学博士稲垣栄洋さんの本。この本では植物のタネを中心に、それぞれのユニークな生存戦略を伝えてくれる。各章は短く、細密なイラストもついているので、植物学の初めの一歩としてお勧めです。
岡本 法子
『朔と新』
いとう みく(著) 講談社
バス事故で視力を失う朔(兄)とこのバスに乗る原因を作った新(弟)。ブラインドマラソンを始めようと思う朔、注目を浴びた陸上選手でありながら事故をきっかけに走ることをあきらめたにもかかわらず伴走者を頼まれた新。それぞれの心には、複雑な思いがある。最後に本当の兄弟の思いが明かされる。
山田 太郎
『とんび』
重松 清(著) 角川文庫
不器用なお父さん(ヤスさん)が、最愛のお母さんを亡くした後、息子(あきら)を必死に育てていく父と子の物語です。読んだあと、親子で話し合ってもらえる作品です。
自分の成長とともに読み直してもらうと、感想が変わる一冊であること間違いなしです。
戸倉 一
『赤毛のアン』
モンゴメリ(著) 新潮文庫
想像力が豊かで、感情表現がストレートな孤児のアン。個性的な彼女がカスバート家に引き取られ、大自然の中、大人へと成長していく過程が描かれた物語です。
読めば、勇気をもらえること請け合い。男の子にも読んでほしい一冊です。
松藤 智
『あした咲く蕾』
朱川 湊人(著) 文春文庫
他人とは違った不思議な能力を持ちながらも、普通に生きている人の話が数話。不思議、悲しさ、少しの怖さもありつつ、読後はほっこりするような話がつまった短編集です。中学受験でもよく出題される朱川湊人さんの文章、この本は短編集なので気軽にふれてみてください。
石原 大輔
『さがしもの』
角田 光代(著) 新潮文庫
本にまつわる短編集。短いながらもどれも心を鷲掴みにされる箇所が盛り込まれており、引き込まれること間違いなし。能開センターのテキストにも「ミツザワ書店」が使われています。長い文章を読むのが苦手という方に是非オススメしたい一冊です。読後は、かつて読んだ本を読み返したくなるはずです。
辻村 博之
『こころ』
夏目 漱石(著) 新潮文庫
自身が「坊ちゃん」に続けて小6の折に読み、漱石のファンになったこともあり、お勧めの一冊に選びました。小学高学年は自我の確立が進む時期だからこそ、利己的な自己を責める主人公の姿に寄り添ってもらいたいと思います。
瀧田 奈穂子
『風立ちぬ』
堀 辰雄(著) 小学館文庫
難関中学の入試でも散見される近現代文学の名作の中で今回お薦めしたい本は堀辰雄の『風立ちぬ』です。詩的で小学生には難解な表現や「生と死」「夫婦の愛情の在り方」という重たいテーマは、一度読んだだけでは理解し難いものだと思います。2013年にスタジオジブリが制作した同タイトルのアニメーション映画にはこの小説からの着想も盛り込まれており、小説そのものは難しく理解し難いものであっても、映画を観てから小説を読んだり、小説を読んでから映画を観たりすることによって、きっとより深く心に訴えかけるものがあることでしょう。大人になるまでの過程で何度も何度も読み返し、その度に少しづつ理解し、心の琴線に触れるような美しい作品です。読み易い本を楽しく読むのももちろん良いですが、今だからこそ少し背伸びして読んで貰いたい、そんな一冊です。映画と併せて楽しんでみて下さい。
明石 智行
『タマネギ色のなみだ』
立原 えりか(著) 講談社文庫
短編集です。その中の「過去の罪」が好きです。昔の能開センターのテキストにも載っていた文章。男の子が好きな女の子のリボンをとってしまい、そのまま転校し、その後大人になってお母さんが小学校の頃を思い出し、そのよる夫が机の中から出した「過去の罪」。思わぬ結末に心があったまる話です。
『るり姉』
椰月 美智子(著) 双葉文庫
叔母のるり姉を中心とした、三姉妹と恋人の日常を描いた本。各章が、各三姉妹を主人公にしていて、面白かった。るり姉の病気がどうなるのか、最後の結末まで一気に読んでしまいました。
『こちらの事情』
森 浩美(著) 双葉文庫
家族をとりまく色々な事情に視点を当てた短編集。 みんな状況や立場が、年齢、環境、生き方の成り行きで変わる中で、相手を思いやれる優しさや器の大きさが違い、各自悩みながらも家族と向き合っていく内容のストーリー。
露口 和男
『こころに詩をどうぞ』
川崎 洋(著) 筑摩書房
岩田宏さんの「動物の受難」に対する著者の感想は心に刺さります。ちなみにアーサー・ビナードさんは、この詩に対して〈動物たちは国⺠の⼀層の戦争⽀持を促すためのプロパガンダにほかならなかった〉と警告を発しました。皆さんはどう感じるでしょうか。載っている詩ですが、黙読するだけでなく、音読して、詩の肉声を感じ取ってください。
『わたしのいもうと』
松谷 みよ子(文)・味戸 ケイコ(絵) 偕成社
いじめにあい、登校を拒否し、心をとざしてしまった子。最後はこう綴られます。「わたしをいじめたひとたちは もうわたしを わすれてしまったでしょうね あそびたかったのに べんきょうしたかったのに」多様性に対する不寛容、恐ろしいのは自分が知らないうちに加害者になっていることです。平和のために、小学校生の方は読み聞かせて理解されることを希望します。戦争を知らない中学生・高校生の方々にも、他人の尊厳をふみにじるジェノサイドにも似た行為がいかに愚かなことであるかを考えるきっかけになれば有り難く思います。
『サラバ』
西 加奈子(著) 小学館
場合によっては「円卓」を映画化した「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン(芦田愛菜さん 主演)」のほうがご存じの方は多いのではないでしょうか。国も人種も宗教も違う民族を通じて、主人公が家族の姿と自分のあるべき姿を知る物語なのですが、舞台であるエジプトの描写はリアリティーの高さという点で白眉な出来映えです。「⼤切なのは、違う⼈間が、違う⼈間であることを認めて、そして繋がることだ。宗教なんて関係ないんだ」という場面がありますが、他者を受け容れるというのは、たやすいものではありません。ダイバシティーのハードルがいかに高いかということが手に取るようにわかる物語です。

2020年秋版

記事の日付:2020/10/12

私たち、中学受験指導スタッフがおススメする、ぜひ読んでほしい本第3弾を紹介します。

各科目の先生より「私自身が学習に興味をもつきっかけになった本」、「子どもたちが学習に興味をもつきっかけになる本」などなど、皆さんにぜひ読んでほしい推薦本を掲載しました。

保護者の方と一緒に選定して読んでください。

国語科

石原 大輔
『こころ』
夏目 漱石(著)
言わずと知れた日本文学を代表する名著。高校時代に初めて読んだときは普通の印象だったが、その後時間を置いて二度目に読んだ時には衝撃を受けた。三部構成になっているが、前の二部は全てが三部のためのお膳立てになっており、張り巡らされた伏線、好奇心をかきたてる示唆の応酬…。そして全てが明かされる第三部。構築美すら感じる、私にとってはバイブル。
露口 和男
『未来形の読書術』
石原 千秋(著) 筑摩書房
「期待の地平」「予定調和」、これが物語文の「隠されたルール」であることを教えてくれた書です。文学作品とは、読者が自分自身に出合う場所であるという「受容理論」についても分かりやすく説明してくれています。
『ポケット詩集』『ポケット詩集Ⅱ』『ポケット詩集Ⅲ』
田中 和雄(著) 童話屋
友だちへの「いいね」をクリックできない。自分の胸の内で「いいな」をおしてしまって自己嫌悪。ポケット詩集に収録されている茨木のり子さんの詩、「汲む ―Y・Yに―」が支えてくれます。座右の書にふさわしい詩集です。
山田 太郎
『秘伝 中学入試国語読解法』
石原 千秋(著) 新潮選書
夏目漱石研究者の作者が子供の中学受験を通して、中学受験を概観する1部と、日本文学研究者の目から見た中学受験国語の読解法が記載されている2部は、保護者特に父親にも参考になる1冊です。この本を読んで、お子さんの中学受験国語教材を「解いてみたい」と思わせる1冊です。

算数科

島ノ江 晃央
『算数なるほど大図鑑』
桜井 進(監修) ナツメ社
これは面白い!算数の非常に興味深いテーマが数多く紹介されています。受験算数に役立つ内容ももちろんありますが、本書の真の素晴らしさは受験には役立ちそうにもない項目にあります。「練習」じゃない真の「学び」を楽しめるおすすめの一冊です。小学3年以降向け。
岸本 裕貴
『数の悪魔』
ハンス・マグヌス エンツェンスベルガー(著) 晶文社
夢に現れたゆかいな悪魔が少年に語りかける物語の中で、身近な現象を通して「数」への興味を引きつけていくストーリー。全学年向け。高学年の方が本書の内容をより深く理解できますが、どの学年でも面白さは味わえます。
島ノ江 晃央
横川 聡樹
『浜村渚の計算ノート』
青柳 碧人(著) 講談社
算数の本、といえるのかどうか微妙なライトノベル調のミステリーです。日本を揺るがす数学を題材とした大事件を、数学好きの天才少女が快刀乱麻の大活躍で解決するといったストーリー。算数の要素を楽しむも良し、はたまた勉強疲れの頭を休ませるラノベとしても良し、楽しみ方は読み手次第です。

理科

大澤 英亮
『月の満ち欠け絵本』
大枝 史郎(文) 佐藤みき(絵) あすなろ書房
月の満ち欠けの仕組みを分かりやすく図解している点。さらに広く一般に知られている月の呼称だけではなく、それぞれに名前がついており、その由来についても詳しく解説がつている点。数年先の月の暦がついているところも良い点。
河原 豊
『ジュニア空想科学読本』
柳田理科雄(著) 角川つばさ文庫
昔話やアニメなどの話題を理科的に楽しく説明しています。「赤ずきんのオオカミは人間を本当に飲み込めたのか」「かぐや姫の竹はなぜ光るのか」など架空の現象を科学的に解明しており現在20巻まで出ています。
岡本 潤一
『日本の生きもの図鑑』
石戸 忠(監修) 今泉 忠明(監修) 講談社
よく見られる動植物を、街・水辺・山・里・海と観察される場所に分けてカラーイラストと説明を記載。動植物への興味を持つきっかけとなる本。中学入試で出る動植物も巻末の索引で見つけやすく、調べ学習にも役立つ。
大嶋 康孝
『「ロウソクの科学」が教えてくれること』
マイケル・ファラデー(著) 白川 英樹(監修) SBクリエイティブ
化学者・物理学者であり「電磁誘導の法則」の発見者として知られるファラデー。彼が子供たちのために行った講演を本にしたものが「ロウソクの科学」です。本書は、写真や図解も多く、読みやすいのでおすすめです!
安川 善人
『今さら聞けない科学の常識』※シリーズものです
朝日新聞科学グループ(編集) 講談社
「自然・環境」「地球・気象」「医療・健康」など分野に分けられていて、テーマごとに3~4ページ程度にまとめられ、いろんな分野・いろんなテーマが記載されているので、興味がわいてくるので、おすすめです。
『図解雑学 ブラックホール』
前田 恵一(監修) ナツメ社
2020年のノーベル物理学賞は「ブラックホール」がキーワードです。ブラックホールや天文学に関して、1つのテーマにつき2ページ構成で、はじめの1ページで文章による解説が完結し、もう1ページで図解による説明となっており、とても読みやすくなっています。
『宇宙100の謎』
福井 康雄(監修) 東京新聞
太陽の謎・宇宙開発の謎・星や銀河の謎・ブラックホールの謎など、神秘的な宇宙についての謎をわかりやすく説明しています。宇宙の様々なことに興味がわいてくる内容になっており、この時期の読み物としても、とてもおすすめします。

社会科

浅野 貴充
『ジュニアエラ』(朝日新聞出版)
『月刊ニュースがわかる』(毎日新聞出版)
ともに小学生向けにニュースをイラストや図表を多く使い、わかりやすい言葉で解説している月刊誌です。大人が読んでも面白く、親子で社会のことに関心を持ってもらえる雑誌です。
三浦 卓也
『こども六法』
山崎 聡一郎(著) 弘文堂
刑法、民法、憲法を学ぶとともに、いじめなどから自らを守る知識(武器)を得ることがテーマになっています。毎回ある挿絵(伊藤ハムスター)も可愛くて、とても内容が理解しやすいつくりになっています。
小津 治子
『こどもの教養図鑑 世の中のしくみ』
誠文堂新光社
高学年向きですが、小学校の先生たちが、社会のさまざまな問題について、子どもたちにわかりやすく解説した図鑑で、「考える社会」を実感できる本です。
『るるぶ 地図でよくわかる 都道府県大百科』
JTBパブリッシング
受験に役立つ旅行ガイドブックです。家族旅行などの際に、主体的に旅行先の産業や名所などを調べることにより、本で学んだこととリアルな体験を結びつけることが可能な冊子です。

2020年春版

記事の日付:2020/04/10

私たち、中学受験指導スタッフがおススメする、ぜひ読んでほしい本第2弾を紹介します。

国語を好きになるきっかけとなった本、主人公に感動して泣いてしまう本、そして中学受験によく出題される本などなど、私たちが皆さんへぜひ読んでほしい推薦本を掲載しました。

保護者の方と一緒に選定して読んでください。

石原 大輔
『夏の庭 The Friends』
湯本 香樹実(著)
死を意識するようになった少年たちと老人の交流を通じて、「思いやり」「記憶の伝承」の大切さを学び成長する物語。心の琴線に触れる場面も多い超傑作。
『日本語 表と裏』
森本 哲郎(著)
日本語の美しさ、繊細さ等を成り立ちの背景・由来から繙く超傑作。言葉に興味を持つきっかけとなること間違いなし。
上野 誠一
『小学生なら知っておきたい教養366』
齋藤 孝(著)
2018年世界的にベストセラーとなった「1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365」の小学生版とでもいうべき芸術・科学・ことば・人物・歴史のジャンルの知識を、一日一ページ読み切りでまとめられている。教養をはぐくむ入門書としておすすめです。
『道具と機械の本』
マコーレイ(著)
てこ、缶切り、ミシンから自動車エンジンや飛行機のレーダーまで、どのような原理、しくみでなりたっているのかをオールカラーのイラストで解説する機械の世界へのガイドブック。大型本で高価ですが、機械好きの子には手にとってほしい名著です。
『エンダーのゲーム』
オースン・スコット・カード(著)
コミュニケーションのとれない未知の異星人バガーの侵略を二度は阻止した人類が、その第三次攻撃に備え司令官を育成するバトルスクールを開き、世界中から優秀な子どもたちを集める。最有力候補のエンダーはわずか6歳。周囲からのプレッシャーに負けずに成長していく。ジュブナイル小説とSFの融合であり、日本の様々なアニメの源流ともいえる作品です。
岡本 法子
『モモ』
ミヒャエル・エンデ(著)
時間泥棒と戦うモモ。モモを助ける老人達とのやりとり。ハラハラドキドキしながら読み進め、最後は生き方を考えさせられると共に心温まる。
『小さい旅みーつけた』
俵万智(著)
北海道から沖縄までの旅のエッセイ。エッセイでありながら、途中にいくつか俵万智本領発揮の短歌あり。
片岡 康二
『天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災』
磯田道史(著)
自分自身と家族の命を守るため、過去の災害の歴史から未来につなげる知恵を学ぼう。人の器がわかる賢書です。
貫野 貴義
『いのちの食べ方』
森達也(著)
私たちが日常的に食べる肉、牛や豚や鶏、がどのように加工されて食卓にまで届くのか? という、普段は見えないものを文章により可視化した本です。生きるということは、死ぬ誰か、何かがあるということ。単に気持ちを暗くするような内容ではなく、考えさせる内容です。後半は、牛や豚や鶏を加工する仕事をしていた人、差別の問題にまで踏み込みます。
島 翔子
『そして、バトンは渡された』
瀬尾まい子(著)
産みの親から次々といろんな人に「親」の役目のバトンが引き継がれていきますが、主人公は様々な大人と暮らす中で、複雑な心境以上に、明るく前向きに人との関わりを大切に成長していきます。
『ライオンのおやつ』
小川糸(著)
若くしてホスピスに入り、人生の最後を過ごす主人公。ホスピスには思い出のおやつを再現する時間があります。生きていく中で、当たり前だったものごとの見方が変わる本です。
鈴木 敦士
『約束——村山由佳の絵のない絵本』
村山由佳(著)
3編の物語が収められています。どの話もハンカチを片手に。言葉の一つ一つがそれほど難しくなく、4年生以上にお勧めです。
『ロードムービー』
辻村深月(著)
4編の物語のうち、表題作の「ロードムービー」が特にお勧め。子供二人の逃避行が綴られます。この物語のトリックに気づいたとき、思わず声が出るかもしれません。
『ぶらんこ乗り』
いしいしんじ(著)
ぶらんこに乗るのが得意な弟。作り話の天才の弟。その弟が残したノートが奇跡を生みます。
『わが子に伝える『絶対語感』』
外山滋比古(著)
語感が身についているかどうか、それはとても大切なこと。さらに、知っていることを読むことと、知らないことを読むときの違いを知り、後者を習得していくことは、まさに受験に直結します。
『昆虫はすごい』
丸山宗利(著)
国語で理科を学ぼう! 生物多様性と言うけれど、昆虫の多様性は本当に深いもの。これを読めば、今まで気づくこともなかったすぐそばの広大な世界に踏み込めます。
『植物はすごい』
田中修(著)
国語で理科を学ぼう! 植物の花、葉、茎、根、種、すべてに「すごい」秘密があります。身近にあるさまざまな植物の「すごい」秘密、気になりませんか?
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』
伊藤亜紗(著)
物語文で大切なことは他者の理解。その一助になること間違いなしの説明文です。
目の見える人の世界のとらえ方と、目の見えない人の世界のとらえ方の違いを分かりやすく説明してくれています。
『百人一首という感情』
最果タヒ(著)
これは「解説」ではなく、詩人である筆者が感じたことを綴ったもの。一首一首に込められた想い、それを感じた筆者の感情が赤裸々に述べられています。短く区切られているので、無理せずに読み進めることができることもお勧めできる理由です。お気に入りの歌、見つけませんか?
瀧田 奈穂子
『冒険者たち ガンバと15匹の仲間』
斎藤惇夫(著)
ネズミたちの冒険と狡猾なイタチたちとの目まぐるしい攻防戦、知恵と勇気と仲間の絆を盾に戦うガンバたちから、自己犠牲の心、友情の大切さ、最後まで諦めない強さを学びました。ハッピーエンドばかりじゃないんだなという事を初めて学んだ作品でもあります。大人になった今読んでも涙するであろう名作です。
『霧のむこうのふしぎな町』
柏葉幸子(著)
ファンタジーの名作ですが、実際に自分にもこんな出来事が起こり得るかもしれないと淡い夢を抱かせてくれる本当に素敵な物語。小学生最後の夏休みをふしぎな町で過ごすリナと、個性豊かな住人たちとの心の絆が生まれていく過程が瑞々しく柔らかい筆致で描かれています。作品を通して彩り豊かな表現や言葉に触れてほしいと思います。
『大きな森の小さな家』
ローラ・インガルス・ワイルダー(著)
開拓時代のアメリカの一家族の生活を子供の目線から描いており、知らない国の知らない時代の物語でありながらなぜか懐かしく、ローラ一家の自給自足の生活に憧れました。かえで蜜を煮詰めて雪で冷やして作った飴に憧れてカナダ留学時に再現したのも良い思い出。家族という絆の温かさ、強さに心を打たれる不朽の名作ですね。
辻村 博之
『日本一わかりやすいエネルギー問題の教科書』
水野倫之(著)
タイトル通り、わかりやすい表現と内容で、しかも内容も充分に濃いものです。また、雑学的な知識もちりばめられていて、興味を持ちやすい一冊です。
露口 和男
『齋藤孝が読む カーネギー『人を動かす』(22歳からの社会人になる教室1)』
齋藤孝(著)
英語の原題は「いかに友人を獲得し、人に影響を及ぼすか」です。上に立つ者の気構えや、単なる自己啓発について書かれたものではありません。多様性・AIとの共生の中でも、人間関係の原則は、他者理解です。この一冊は齋藤孝さんがわかりやすく現代風に解説してくれた本です。原書・CD・マンガと横に拡げていける楽しみもあります。
『幕末の先覚者 橋本左内―幼なごころをうちすてた⼗五歳の決意(まほろばシリーズ)』
⼤津寄 章三(著)
福井県は全国学力・学習状況調査結果で屈指の好成績を収めています。そんな福井県では「啓発録」を熱心にとりいれているそうです。幕末にわずか27歳で切腹を命じられてこの世を去った越前国福井藩藩士の橋本左内。そんな橋本左内がなんと15歳の時に自分に宛てて書いたとされています。西郷隆盛は「同輩において橋本左内にはかなわない」と評しています。15歳の左内の気迫に心が揺さぶられることは必定でしょう。
『青い鳥』
重松清(著)
国語の教員が吃音(国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない)という設定ですが、読み進めていくと感涙にむせびます。いじめの加害者になってしまった生徒、家庭を知らない生徒…、社会というのは成功者や芋の煮えたも御存じない者ばかりではないのです。「不寛容」という三字熟語が巷を席巻している昨今。大切なことは正しさや強さの中にだけあるのではないということを考えさせてくれる一冊です。
『見えない敵』
阿部夏丸(著)
年下のアキラのことを心配はしていますが、何一つできなかった自分に、「卑怯だな、ケンジは」という一言が刺さります。偽善者。真の善などまだわからない主人公ではありますが、この一言は心の奥深くに沈むことになります。子どもが感じる違和感には言葉にできないものが多くあります。それを自分とは違う「敵」と見なすのはすこぶる単純なことなのですが、心とは「見えない」ものなのです。時には残酷な決断を迫られることもあります。連綿と立ちはだかる「見えない敵」と戦う子どもたちのすがたに「がんばれ」と励ます気持ちを抑えることができなくなります。
戸倉 一
『二分間の冒険』『びりっかすの神さま』『ようこそおまけの時間に』
岡田淳(著)
岡田作品にはずれなし。今回は数ある作品の中から三冊を選んでみました。
『そして五人がいなくなる』
はやみね かおる(著)
夢水清志郎シリーズのうちの一冊。本の苦手な人でも、1ページ目から引き込まれることうけあいです。
『西の魔女が死んだ』
梨木 果歩(著)
クライマックスでは涙があふれでるかも。人前では読まないことをおすすめします。
『高円寺純情商店街』
ねじめ正一(著)
下町情緒たっぷりの直木賞受賞作品。短編集なので読みやすいですし、中学入試の素材文としてもよく使われます。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
東野 圭吾(著)
偶然つながった現在と過去。そこで行われる温かな手紙のやりとり。あらゆる悩みの相談にのる、不思議な雑貨店。「明日は今日より素晴らしい」作中の人物の言葉ですが、希望を失わずに生きていこうよ、という作者の声が行間から聞こえてくるようです。
『黒猫・黄金虫』
エドガーアランポー(著)
推理小説、怪奇小説の名手、ポーの短編集。日本の作家「江戸川乱歩」や、アニメの「江戸川コナン」といった名は、彼をもじってつけられたものです。少し古めかしい文体ではあるけれど、翻訳が素晴らしく、圧倒的な美文でつづられた、芸術的な作品集だと言ってよいでしょう。
『おーいでてこーい ショートショート傑作選』
星新一(著)
いわゆる「ショートショート」と呼ばれる超短編を集めた作品集。星作品は、テレビ番組「世にも奇妙な物語」で映像化されているものも多々あります。表題作は、かつて灘中学の入試問題にも使われました。
『老人と海』
アーネストヘミングウェイ(著)
キューバの老漁師サンチャゴと、巨大カジキの四日間にもわたる死闘。そののち、待ち受けていた運命とは…。
この作品を「面白い」と感じられる人には、フレデリック・フォーサイスの「帝王」をあわせてお薦めします。
『にんじん』
ルナール(著)
実の母に愛されない少年「にんじん」。母と子が、ほとんど本能的に憎みあう不幸な物語なのに、読後にはなぜか不思議な爽快感を抱かせます。世界的なロングセラーです。
西井 建太
『阪急電車』
有川浩(著)
片道15分で走破してしまう小さなローカル線に乗り込んでくる、乗客の人間模様を描いた短編集です。
ストレートながらも柔らかい表現が多く、読みやすいことから読書入門編といった感じでしょうか(実際私が読書好きになったきっかけの一冊です)。
『3匹のおっさん』
有川浩(著)
還暦を迎えた同級生3人組が、何か楽しいことはできないかと、自警団を結成し、町の平和を守る話です。The・勧善懲悪。読みやすさ+後味の良さに秀でた作品です。
藤井 亜貴子
『くもり ときどき 晴レル』
岩瀬成子(著)
すべて子どもが主人公の短編集。6話収録。タイトルの通り。よいことばかりではないけれど、その中で懸命に生きる子供たちの姿。「アスパラ」が好きです。
『絵とき ゾウの時間とネズミの時間(たくさんのふしぎ傑作集)』
本川達雄(文)/あべ弘士(絵)
中公新書から出ている生物学者の本川さんの著書を、小学校中学年から読めるようにした絵本。自然科学の入門書として。この「たくさんのふしぎ傑作集」「月刊たくさんのふしぎ」は見聞を広げるのによいです。シリーズの他の本もオススメです。
宮武 進吾
『オー・ヘンリ短編集』
「最後の一葉」「賢者の贈り物」などは、日本人にもよく知られたお話です。短編集なので気軽に手に取ってみよう。
『蜘蛛の糸・杜子春』
芥川 竜之介(著)
芥川龍之介は有名な文豪ですが、子ども向けの文章も多く手掛けています。
『船乗りクプクプの冒険』
北杜夫(著)
純文学の作家がふざけきって文章を書くとこんなにも面白くなる。マンガを読む感覚でどうぞ。
『こちらマガーク探偵団』
E.W.ヒルディック(著)
子どもたちが自分の特技を使って、町で起きた事件を解決します。シリーズものなので、気に入れば続きもあるよ。
山田 太郎
『小学5年生』
重松清(著)
思春期の始まり、切なかったり、不安な気持ちを隠したり、自分の気持ちに正直になれなかったり、初めて女子を意識したりする可愛い男子達。
母親の入院に不安がつのる『バスに乗って』を中心に、今後の入試対策としてもお勧めできる本です。
時間の空いたときに「心にほっこり」をしのばすのも大事なことです。

おススメ学習サイト(外部リンク)

文部科学省やNHKから、ご家庭での過ごし方の提案などが掲載されています。参考にしていただければと思います。