中学受験コースの教科指導方針(近畿中学受験部門)
[小学生]

算数

試し、楽しむ「算数」から実践ノウハウまで、経験豊富な指導者が伝授。

算数はその学習過程で、数理的な処理の面白さや図や比に置き換える便利さに気づき、試行錯誤する楽しさを理解することがとても重要です。

確かに超難関校の入試問題を制限時間内でクリアするのは至難の業です。それを可能にするカギは、いかに速く解法に気づけるかというところにあります。難しそうに見えるけれど学習したことがあり、自分にも解ける問題なのだと気づくか気づかないか、それが合否へと結びつきます。その気づきを育てるために、「試し、考え、楽しむ」ことが何よりも大切なのです。

難関中学の入試問題の難しさは、機械的に解こうとする学習をあえて拒んだ、将来性へ向けての試問だと解釈できないでしょうか。算数に求められているのは解法を覚えることではなく、持てる力を総動員して巧みにそれらを組み合わせ、新しい認識に到達する力なのです。この力は一方的に授業を受け、たくさんの問題をこなすだけでは獲得するのは困難です。

子どもは常に何かを知りたがっていますが、それはあくまで興味の対象であって、無意味な暗記などしようとしません。人間の脳は、無意味な暗記には耐えられないのです。そこで、興味づけが必要となってきます。ある事柄の背景に隠れている意味を子ども自身に理解させることで彼らの好奇心を刺激し、事柄の結末を予想させます。暗記するのではなく、試行錯誤し、公式を見つけ出すことが学習だということを経験させます。その予想や公式が正解であれば、興味はますますわいてくるでしょう。

能開センターでは、興味付けを第一義と考え、学年に応じて体系的にシステムを構築していきます。

各学年の指導ポイント

小3・4では

小3 計算の土台完成と試行錯誤の楽しさを学ぶ

整数・小数の加減乗除/小数・分数平面図形・立体図形/条件の整理/時刻・時間/速さ/場合の数/規則性と数列/広さ

小4 面積図や線分図を描くことを工夫して整理し、思考しやすいようにする

整数の四則混合計算・小数・分数/平行線と角度/三角形と角度/のべと平均/対称/多角形の性質/つるかめ算/平均算/植木算/数列と規則性/周期算/集合と論理/差集算/過不足算/消去算/日暦算/立体図形/体積/速さ/旅人算/樹形図/倍数・約数/方陣算/図形と規則性/概数

「きまりを見つける」「いろいろな場合を考える」「条件を整理する」など、高学年での学習の土台となる考え方を育てます。自分自身で考え試すことで発見できる楽しさとともに、算数の基本的な学習姿勢を育てます。

小5では

「比」を使いこなし、受験算数のすべてを学習する

倍数と約数/分数・小数/倍の三用法/倍の和差積/比/仕事算/円とおうぎ形/速さの三用法/旅人算/相当算/損益算/濃度/図形と比/多角形の性質/立体図形/通過算/流水算/角すいと円すい/点の移動・時計算/速さとグラフ/相似比と面積比/平面図形の移動/速さと比/旅人算と比/数の性質/立体の切断/倍数算/図形と場合の数/水の体積と比/水量とグラフ

新出単元が多く、また概念把握に時間のかかるものが多いため、算数の学習においては重要な1年です。特に重要な「比」の考え方は割合に限らず、速さ・図形・数の性質・特殊算など多岐にわたって活用されます。

小6では

入試頻出の「数」「量」「図形」を整理し、実戦経験を積む

和と差の文章題/速さ/割合と比/集合・論理/影/平面図形/立体図形/数の性質/規則性/場合の数/水の体積・グラフ/点の移動・時計算/集合・論理/図形の移動

実力以上の難問に取り組むことで生じる「必要以上の負担」に時間を取られることがなく、「必須正答問題」と「合否分岐問題」レベルの演習を繰り返すことで、効率よく学習しながら最大限の効果をあげることができます。

国語

言葉で思考し、言葉でコミュニケーションする力を育む

国語の入試問題では、文章を読んで情報を整理し内容を理解する「読解処理」と、それにもとづいて解答を探す、選ぶ、また表現する「解答処理」という二つの処理能力が求められます。そしてその底辺を支える「語彙力」も見逃してはならない要素です。

最近の中学入試で出題される“大人向け”の文章を子どもたちが読解するためには、ほぼ大人に匹敵する語彙力とその文章の背景となる知識が必要です。それぞれのジャンルにあわせた「読解技法」で情報を整理し、内容を理解していく読解処理を行います。各学年とも「少し背伸びする必要のある文章」に接することで、語彙力をつけると同時に「読解処理」の力をみがきます。

一方「解答処理」では記述問題をしっかりと書くことが合格へのカギとなる場合が多くなります。十字程度のものから百五十字以上、文章中の言葉をまとめるものから自分の考えを説明するものまで多種多様です。多くの子どもたちは、記述問題というだけで苦手意識を持っていますが、徐々にステップを踏み、それぞれの段階で添削、評価を受けることによって、だんだんと表現力は磨かれていくのです。読解処理同様に解答処理の力も、意識して練習をすることで飛躍的に高まります。能開センターでは独自の難度指標にもとづき、読解処理と解答処理の難度を徐々にあげていきながら学習し、無理なくこれらの力を身に付けていきます。

各学年の指導ポイント

小3・4では

小3 ことばを使う楽しさを学ぶ

物語文/説明文/記録文/報道文/詩/記述問題の答え方/かなづかい/合わせことば/辞典の引き方/筆順/画数/送りがな/いろいろな意味のことば/同じ読みのことば/部首/音読み・訓読み/熟語の読み方/熟語の成り立ち/反対語/類義語/つなぎことば/こそあどことば/慣用句/ことわざ/主語・述語/修飾語/ようすを表すことば/あとに決まった言い方がくることば/くっつきことば/ていねいな言い方/漢字など

小4 知識を増やし使いこなす

文学的文章/論理的文章/詩/記述問題の答え方/六書/部首/筆順/画数/音読みと訓読み/辞典の引き方/送りがな/かなづかい/熟語の成り立ち/熟語の読み方/反対語/類義語/同音意義語・同訓異字/文節/主語と述語/修飾語/様子を表す言葉/つなぎことば/敬語/慣用句/ことわざ/四字熟語/漢字など

物語文・説明文といった基本的な文章の学習を進めるとともに、伝記・報道文・記録文・詩といったさまざまなジャンルに触れ、読解処理の基本を身に付けます。各学年とも「少し背伸びする必要のある文章」に触れることで、「難しい」と感じる文章を「かみ砕く力」を養います。また記号選択、語句の抜き出しから文の抜き出し、そして記述問題と段階を追って学習し、解答処理の力を磨きます。加えて3年生からはサブテキスト「ことばの学習」によって、文法・漢字・熟語・ことわざ・慣用句を体系的に学習し、語彙力を増強していきます。

小5・6では

小5 大人の文章に触れる力を育む

ことばと文/文学的文章/論理的文章/短歌・俳句/詩歌/ことばのひと区切り/主語と述語/修飾語/品詞の種類・識別/敬語/ことわざ/慣用句/四字熟語/漢字など

小6 実戦的なテンプレートの完成

指示語/接続語/文整除・脱文挿入/場面・段落/心情把握/言いかえ/理由吟味/内容審議/同格/対比/因果/選択問題/二項対立記述/比較文化論/文化論/言語論/読書論/環境論/社会論/子どもと子ども/家族/時代背景/子どもと大人/入試直前対策/ことばのひと区切り/主語と述語/修飾語/品詞の種類・識別/敬語/ことわざ/慣用句/四字熟語/漢字など

5年生からはほぼ入試問題レベルの文章に触れながら各ジャンルの「読解技法」を完成に近づけます。
論説文での筆者の主張をよりシンプルに読み取ること、物語文でカギとなる場面の読み取りと心情理解、出題機会が増えている随筆での筆者の意見の読み取りなど、読解処理で大切なことを毎週学びます。また文章の背後にある文化的背景、歴史、習慣等も紹介し、論説文の各テーマの基本的な考え方、文章のテンプレートも伝えていきます。これらの知識を下敷きにすることによって子どもたちは“大人向け”の文章にも戸惑うことなく読むこと、そして理解を深めることができるのです。
このような「読解技法」を知った上で良質の文章を数多く読み、「心情把握」「理由吟味」「言い換え表現の理解」などそれぞれの問いに必要な情報の取捨選択の仕方を学習します。また同時に、記述問題にも難度を順次上げながら取り組むことにより解答処理の力も強化します。6年生前半、夏休みまでに入試に要求される「読解処理」「解答処理」の手順をすべて学習します。6年生では、独自の難度指標を基に体系的に作られた『国語大全』を使い、これまでに培ってきた読解処理と解答処理を精錬し、入試対応力を完成させます。

理科

自分の頭で考え、判断する力を育てる

暗記科目として理科をとらえると、中学入試全般における出題内容は約300項目、関連する用語は約2500語以上になります。そして、その出題内容の約20%以上が誰でも毎日触れ、約30~40%の出題が意識すれば身の周りで確認できる事象なのです。しかしながら小学生は現実感に乏しく、そこに辞典ほどの大量の知識を詰め込んだとしても記憶の断片として残るだけで、時間を浪費するだけの無駄な学習に終わってしまいます。

「理科用語」の数の多さに比べると、「科学を構成している原理」はシンプルなものです。複雑そうに見える外見にとらわれずに「原理」を見抜ければ、もつれた糸をほぐすように関連する「理科用語」が結びついてきます。

入試問題の素材は「日常の自然」です。しかし、問われるのは「普遍的な科学概念」がどれだけ子どもの中に形成されているかです。したがって、子どもたちの実体験を動機付けに活用し、「体験学習」(4年)「体系学習」(5年)に結び付けていくことを、大きな指導の流れにおいています。これによって、入試の合格点を上回るのに十分な得点力がつくことは実証ずみです。6年ではテキスト『理科大全』を使い、入試問題に取り組むための仕上げを行います。総合的な概括力、さまざまな知識を複合した問題にも対応できる力を育てます。

各学年の指導ポイント

小4では

まずは楽しく学ぶ!知的好奇心を育てます

こん虫/春の植物・動物・気候と空/いも/光合成/水のはたらき/夏の植物・動物・気候と空/もののとけ方・体積と温度・あたたまり方/星と星座/人の体のつくりと運動/秋の植物・動物・秋の気候と空/太陽の動き/月の見え方/電気と電流/豆電球の明るさ/空気中の気体/磁石のはたらき/冬の植物・動物・気候と空/てんびん/ものの重さと体積/ばね/水溶液

子どもたちは自分が体験したことを活発に発表してくれます。体験したことを科学的にもう一度見直しながら「筋道を立てた考え方」「事柄の共通点・相違点や事象の法則性への気づき」など「科学する目」を養います。身近な物質や現象に結びつけ、簡単な実験を交えながら理科嫌いにならないよう気をつけて指導します。

小5では

難しい単元も整理できる力をはぐくむ

種子の発芽と成長/植物のつくりとはたらき/花のつくりと植物の分類/こん虫/メダカとカエルの育ち方/水中生物と食物連鎖/ばね/てこ/人体/溶解度/水溶液の性質/太陽/光/音/月/大地のでき方/気体の性質/気体の発生量/気象/豆電球の明るさ/抵抗と発熱量/電流と磁界/熱/星/ふりこ/運動とエネルギー/炎と燃焼

5年生で小学校の全履修内容を修了します。抽象的思考を育てながら、仮説を立て、実験方法を自分で考え作図し、結果を図表に表現できるように指導します。苦手意識を持ちやすい単元も多いため、毎回の授業では必ず「知的好奇心」を意識した指導を心がけています。一年間で学習する単元のうち、学習時間・演習問題数の多いものは、物理と化学の分野に集中しています。簡単には体感できない事象の原理を、紙と鉛筆を使って、論理的に説明できるようになることも、この学年の大きな指導目標です。

小6では

テキスト『理科大全』で入試に向けて原理を総活用

酸化と燃焼/中和/光/かっ車と輪軸/浮力/力のつり合い/電流と磁界/雲のでき方と前線/植物/水溶液と気体/ばねとてこ/太陽と月/動物/溶解度/運動とエネルギー/星/大地のでき方/熱/電気回路/光/気象/音/総合問題

得点力を上げていくためにテキスト『理科大全』を使って仕上げていきます。
前半では「原理」の理解を再点検し、大単元ごとの学習で総復習を行います。後半からは、すべての単元において総合的な実戦演習・解説授業が中心になります。一人ひとりの得点傾向を把握し、修正していく指導が中心になります。自信をつけ、難しそうな問題にも持っている知識を使って向かっていく力を養います。

社会科

社会生活を営むための知恵と知識の養成

社会科で求められること。それは、社会生活を営む上で必要な「知識」という机上のものから、日本の政治や世界の国々との関わり、介護や社会福祉、情報化などという世の中の具体的な動きに子どもたちの目を向けさせ、広がりを持たせていくことです。

地理の分野では、警察の仕事・消防署の働きなど地域生活に密着したものから、地形の特色・日本の産業・人口動向など日本社会全体をとらえるもの、また日本と世界の関わりなど広範囲に出題されています。近年の傾向としては現代社会に関する出題が多く扱われ、ニュースや新聞などを通して今の社会状況に対しても敏感になっておく必要性が生じています。

歴史の分野では政治・外交・文化などテーマにそった通史や近代史、また戦後の世の中を映し出した現代史や、建築物・人物写真(人物画)などの写真資料を用いた史料問題が多く出題されていることにも目を向けておく必要があります。

近畿の入試問題の傾向でもある選択問題の多さは、受験生を悩ませるところです。地理分野においては、統計資料からのデータの読み取り、また社会現象として表れていることに対して、その原因となっている部分を理解しているかどうかを確認する問題などです。歴史分野であれば、歴史的事件の背景や、断片的な知識では正しい答えを導き出せないのです。したがって、一問一答式に答えを出せば良いという用語記述問題と比べて難度が高いと言えるのです。用語記述の問題についても「漢字指定」が増えており、漢字で正しく書けないために得点に至らないということもあるため、日ごろから漢字で書く習慣づけが必要となってきます。

各学年の指導ポイント

小4では

映像講座で、自分の暮らす「日本」にくわしい人になる

日本の都道府県/日本の地形と気候/九州地方/中国・四国地方/近畿地方/中部地方/関東地方/東北地方/北海道地方/世界の中の日本

社会は「好きになれるかどうか?」で大きなちがいが生まれる科目です。まず社会科に興味を持ってもらうため、社会科主任の天雲による「スーパー講師映像ゼミ」を後期に開講します。教室にいる担当講師がテーマのポイントをまとめ、確認テストを交えながら、映像視聴中も各生徒の状況をチェックします。テーマは「日本を知る」。
自分がそこに暮らしていながらも気づかずにいた「日本」という国について、さまざまな事柄の理解を楽しく深めていきます。5年以降の本格的な学習に先駆けて、知識とともに社会の学習法自体を身につけるのが本講座のねらいです。できるから好きになる、好きだから楽しい、楽しいから苦にならないという好循環で、負担感少なく4科学習の土台を作ります。

小5では

地理・歴史~生きた知識を育てる

都道府県/地図の見方/日本の地形・気候/わたしたちの国日本/農業/水産業/資源/工業/工業地帯・工業地域/貿易/環境と公害/日本のあけぼの/国家の形成/天皇の治める世の中/貴族の世の中/武士のおこりと成長/武士の政権/足利義満の政治/戦乱の世の中/天下の統一/鎖国と幕藩体制/ゆれる封建社会/近代国家をめざして/新しい世の中/日清・日露戦争/第1次世界大戦と日本/太平洋戦争への道/戦後の日本/今日の日本と世界

農業・工業・水産業など産業別の特徴について、また各地方ごとの特徴について十分な知識の養成を行います。まずは子どもたちのくらしに直接関わりのある、ゴミの問題・水資源の問題・物流などから学習していきます。そして、子どもたちが自ら地図帳をみていくことの素地づくりを行った上で、くらしと気候の関わり・地形と暮らしのかかわり等、知識の関連付けを行います。更に細かな知識を養成していくために、都道府県別・産業別など様々な角度から日本という国をとらえるとともに、貿易や地球環境問題を通しての世界との関わりを考えさせるなど、視野と知識に広がりを持たせていきます。
後半では時代の流れにしたがって日本の歴史を学んでいきますが、歴史上の事件はその時代の社会背景との関わりの中で生じていきます。ですから単に事件を追うのではなく、関連性を考えさせながら授業を行い、5年生修了段階では戦後史や今日の日本と世界の関わりという現代史まで全て履修していきます。

小6では

最新の入試に則した学習で磐石の体制を整える

地理復習/統計表の読み方/世界のすがたと日本と関係の深い国々/近現代史の復習/政治史/外交史/社会史/文化史/日本国憲法/日本の政治/国際社会/分野別演習

前半では、年代に沿って学習してきた歴史を政治史・外交史・社会史・文化史といったテーマ別に学習します。それとともに、日本国憲法を中心とした日本の政治、国際連合を中心とした国際社会問題、世界のすがたや国々など、近年の入試に則しながら学習を進めていきます。夏期講習以降は地理・歴史融合問題や統計資料の読み取りなど、近年の入試問題に直結した実戦演習を行い、入試問題への対応力を強化していきます。時事的な問題に関しても「時事問題集」を用いて、世の中の動きに関する問題の総仕上げを行い、入試に向けて磐石の体制を整えていきます。