松藤 智・和泉府中校責任者が語る“合格指南”
この記事は 2015年12月11日 に書かれたものです。
現在は状況が異なる可能性があります。
『「やればできる」の自信を胸に合格を越えてその先へ進め』
和泉府中校責任者:松藤 智
中学受験はお子さまの豊かな才能を発見しその成長を図る機会
校責任者となって、いかがですか?
松藤 和泉府中校に来て6年目ですが、やはりこれまでとは違いますね。同じことであっても校責任者として視野を広げて考えることが要求されますし、小さなことであっても自分が最終決断を下さなければならないので責任感が違います。
ちょうどこの12月には泉大津校が入る新ビルが落成し、正式開校します。これで能開センターの泉州ネットワークがより緊密になるとともに、和泉府中校の責任範囲もより明確になります。内陸側のJR阪和線沿い、特に堺市の鳳駅から熊取駅にかけての範囲です。ここを中心とする地域で能開センターが果たすべきことは、和泉府中校の、つまりは私の任務だと認識しています。
この地域の方々の教育に対するスタンスは、あえて「中学受験」にチャレンジするよりも、公立校進学でいいじゃないかという雰囲気を感じることもあります。
ですが、能開センター和泉府中校にお越しになる機会があり、説明会や教育フォーラムでたとえば「人生の選択肢を増やす中学受験」といったお話を差し上げますと、きちんとご納得され、中学受験にご賛同くださいます。また、そもそもこの地域には素晴らしい力を秘めた子どもたちがたくさんいるのです。
先日、一人の能開OBによる講演会がありました。彼は中学受験し、灘中学・高校を経て東京大学へ進んだのですが、そこから転進して今はアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で学んでいます。その経緯と決断を、これから中学受験にチャレンジする子どもたちとその保護者の方々に自ら語る講演会だったのです。
この彼、前田君というのですが、実はこの和泉府中校の出身です。残念ながら、私が和泉府中校に来たのと入れ替わりで卒業だったのですが。そんな可能性を秘めた子たちがこの地域にはまだまだいるということです。
中学受験の意義を、すなわち中学受験はお子さまの豊かな才能を発見しその成長を図る機会であることをアピールしていくことが私の役目だと思っています。
子どもたち一人ひとりにていねいで、ゆるがせにしない指導を
和泉府中校として大切にしていることは?
松藤 一人でも多くの方に能開センターを知ってもらうこと、そしてお預かりした子どもたち一人ひとりと真剣に向き合い、学習を通じて自身の可能性を追求することを徹底サポートすることです。入試はその仕上げであり、その実現です。さらにいえば、こうした活動を通じて子どもたちの自立を促していくことが能開センターの使命です。
和泉府中校の指導陣はベテランぞろいです。派手さには欠けるかもしれませんが、子どもたち一人ひとりに対しての指導がていねいで、その1つ1つを決してゆるがせにしないというのが自負です。子ども一人ひとりへの愛がそれを支えています。
「ていねい」というと短絡して「やさしい」と受け取られかねませんが、違います。むしろ「厳しい」です。愛あるゆえに手抜きを見逃さないということでもあります。だから、もし約束が守られていなければ、必ず叱るということにもなります。
私たちは「正しい努力」が大切だと考えています。子どもたちがこれを実行し、その手応えや成果を身をもって知り、力をつけ自信を持ってほしいのです。だからこそ、手抜きは許しません。一方、正しい努力を行うには方法も必要です。
たとえば4・5年生では、出題範囲が定まっている実力テストが隔月実施されます。これは「やればできる」を体験し自信をつけられる絶好の学習機会です。そこで準備学習を毎回早い時期から声かけをし、促し、全校で応援、指導します。
とりわけ12月は、5年生にとって最後の実力テストになります。「やればできる」の自信を持って受験生である6年に進んでほしいと、特に力を入れて応援します。
もちろん、かけ声だけでは得点になりません。年度当初などでは、学習計画を立てることを指導します。ふだんの宿題に加え、実力テストの出題範囲であるテーマを復習する予定を組み込みます。復習内容は範囲内のテキストページで自分がマークした問題や自覚している弱点テーマです。
中学受験をするしないに関わらず、こういう学習法はいずれ身につけなければなりません。中学・高校での定期考査でも必要ですし、知識を定着させるために復習は欠かせないものだからです。中学受験に役立ち、しかもその後にも役立つことを学ぶ、身につけるというのが能開センターのスタイルです。
勉強は机の上ばかりで行うものとは限りません。いろいろな経験や体験の中で学ぶことも必ず役に立ちます。能開センターでは、ケースバイケースではありますが、受験学習とともに習い事やスポーツを可能な限り続けることも否定しません。これまでにも、それでかえって時間の使い方がうまくなり、整理力も身についた子がたくさんいました。
ノート作りによる学習の進歩、学習法の改善による効率化と得点化
ふだんはどのような指導をしていますか?
松藤 和泉府中校では、基本を、1回1回の授業を、毎日の学習を大切にしています。その表れはそれぞれのノートに集約できるかなと思います。正しい間違い直しをきちんと進めていくことが大切です。1回1回の学習、そして間違い直しが自分自身にとっての「あたり前」を作っていきます。そのあたり前が学習習慣であり学習姿勢となっていくのです。
ノート内容を1年間追っかけてみますと、明らかに「進歩」のあとが見えます。表や図解が増えたり文字の色使いが増えたりと表れ方はさまざまですが、整理できる力、そして考える力が着実に身についてきたことがわかります。毎回のノートチェックの中で、習慣作りを促しているのです。
進歩のペースは一人ひとり、子どもによって違います。それで良いのです。少しずつ伸びていく子もいれば、なかなか変化がなく、あるときになって急に伸びる子もいます。可能性の開花は私たちにも予想がつきません。入会から受験、卒業まで、子どもたちのノートは、私たちにとって指導という戦いの記録であり、子どもたちの成長の感動と喜びの劇場なのです(笑)。
また、能開センターでは、授業のあと、可能な限り「フォローアップタイム」という時間を設けています。質問や自習のための時間なのですが、授業のすぐあと、その担当者が直接フォローするというのが特長です。和泉府中校では、このフォローアップタイムも大切な学習機会と捉えています。
学習を効率良く進めるには段取り力といいますか、何をいつどうするかという要領があると思うのですね。これは学習に限らず、あらゆることに応用可です。そこも指導していきます。たとえば、フォローアップタイムなのに今日の授業と関係のないことを始める子がいます。あるいは、暗記系、単なる知識系の学習をする子がいたりします。
やはり、直前の授業内容について、自分の理解に関わる「旬」の質問をする機会とするべきです。要するに、わからない問題をきく場にしなければいけません。それに対して、暗記系は間を空けながら、少しずつ、何回も学習するべきです。そんな指導もしていきます。
それから、自分の学習法を見つめ直すことは大事なことです。「わかった」「覚えた」つもりでも、それが「得点化」できていないのであれば、どこかに問題があるわけです。それを見つけ出し、得点化できる学習法にしていくことが必要です。
たとえば、漢字を間違って覚えている子がいます。間違ったまま、漢字をいくら練習しても正解にならないのはあたり前ですね。同様に、誤った理解のまま、それに気づかずに同じ間違いをくり返しているというパターンが多々あります。自覚できていないので質問にも来ません。私たちはノートチェックでこれらも徹底的に洗い出していきます。
2つの壁が立ちはだかる国語に、楽しみながら親しんでいく
国語の指導では、どこに重点を?
松藤 学年により指導内容は変わりますが、その基調は「楽しみながら、文章に親しむ」ということですね。国語が苦手な子どもたちの前には、2つの壁が立ちはだかっていると思います。1つは文字や文章というメディアの壁、もう1つは書かれている内容の壁です。だから、「楽しむ」や「親しむ」が大事なのです。
語彙力を含む前者に関しましては、子どもたちの言葉を覚える力が弱まっているように感じることもあります。だから、慣用句などを材料に、集中的・断続的・反復的に暗記力を高める練習をときどき授業の中でも行います。学習法、学び方自体の学習です。暗記力は練習によって高めることができますから。
後者の文章内容に関しましては、まず、自分が知らない、体験したことがない世界を知ることができる楽しさを味わえるように、さまざまな具体例、自分の立場への置き換え、関連知識や事例の紹介など、授業でていねいに説明することを心がけています。
大事なことはもう1つありまして、世の中には自分とは違う感じ方や考え方があることを理解することです。これが他者理解ということで、物語文では知識の有無ではなく、経験の有無が人物理解の重要なかぎとなるゆえんです。
男子はたいていこれがからきしダメですね。たとえば、女の子たちの気持ちがまるでわかりません。気になる子にいやがらせをする。女子にはそれが「好意」の裏返しだとわかりますが、男子では「そんなんしたら嫌われるのに」とストレートに返ってくることも(笑)。
他者理解は入試国語でも重要ポイントです。もとより、人間社会での最重要スキルですよね。国語の文章読解を通じて、他人の気持ちがわかる人になってほしいという願いは、入試を越えて、能開センターにお預けくださっているご家庭のものでもあるでしょう。入試を突破するとともに、その後にも活きる他者理解力を国語指導の中でも磨けたらと思います。
1つ1つのことがきちんとでき、自分に自信を持った子を育てたい
中学受験指導を通して、何をめざしていますか?
松藤 まず中学受験の意義を申し上げます。中学受験とは、つまるところ、自分で行きたい中学校・高校を選ぶことです。そして、小学生の段階で自分の可能性を試すとともに、受験というチャンスを通して能力を思い切り伸ばしてみることです。精神的には自分自身にチャレンジしてみることです。
次に、めざす中高6年一貫校のメリットは何でしょう? 高校受験による断絶がないので青年前期の6年間を有効に活かせることが最大のメリットでしょう。何より将来を見据えてじっくり考えることができます。だからこそ、夢を持って大学入試に挑むこともできるのです。これが「人生の選択肢を増やす中学受験」という意味です。
その他、6年間かけて友人をつくれる、中高どの先生も大学入試を知った上で指導している、同じ選抜を経た生徒たちが地域を越えて集まり、クラスの「あたり前」ラインが何につけても高いなど、いろいろあります。
では、能開センターは、和泉府中校は、そして私は中学受験を通して子どもたちに何を願うのかです。それは、「1つ1つのことがきちんとできる子」になってもらいたいということです。中学受験はゴールではありません。1つの通過点にすぎません。
人間は弱いものです。目標や期限がなければ、なかなか仕事ははかどりません。仕事だけでなく、自分自身を成長させることもなかなかシンドイことです。だからこそ、中学受験はまたとないチャンスなのです。合格力とともに、以降も通用する学習姿勢や学習法はじめさまざまに活かせる力、その総合力としての生きる力を身につけ、磨く絶好の機会となるのです。
人生で自分を支えてくれる一番大きな力は、実体験で得た自信だと私は思います。「やればできた」の実体験、「やればできる」「どんな壁も乗り越えられる」の自信を胸に、合格を越えてさらにその先へ力強く歩んでいってほしいと本当に願っています。
まもなく入試です。これまで和泉府中校の受験生たちは自信を胸に、入試本番でこそ最高の力を発揮し、地元の清風南海中をはじめ、それぞれ1ランク上の合格を勝ち取ってきました。最後に受験生たちにエールを贈らせてください。
「これまで自分がやってきたことを、たとえばノートを見返して思い出してほしい。これだけのことをやってきた、それを全部出せばいい、ただそれだけでいいのだ、と自分によく言いきかせ、自分に自信をもって臨んでください。みんな、がんばれ! 朗報を待っています」
ありがとうございました。
和泉府中校責任者
松藤 智
入社以来、泉佐野校、和泉府中校と、泉州地区で着実に指導経験と実績を積み重ね、今春より伝統ある和泉府中校の責任者の任に就く。教科および受験指導では穏やかなスタイルながら、妥協せず粘り強い指導で子どもたちに1ランク上の合格を勝ち取らせてきた。また、国語科では高い教科力が買われ、「大阪星光学院中模試」「小6中学受験公開模試」の作成を担当する。