小学1・2年の講座内容

能開の低学年の考え方

低学年プロジェクト 責任者

低学年プロジェクト 責任者

川野 昌彦

小学1・2年生の保護者の方々から能開センターに寄せられるご質問の多くは、「いつから受験に向かって学習すればよいですか」あるいは「受験にそなえて、どのような勉強をさせておけばよいですか」といったものです。将来、我が子に中学受験をさせるであろうことは、おおよそ決まっていることとして、いったい具体的に①いつから、②何を、③どのように勉強すれば、中学受験で有利になるのでしょうか。

1. 中学受験を乗り越えることのできる学習姿勢

そのようなご質問に対する私たちの回答は次の通りです。まず、いつから学習すればよいかというご質問に対しては、「早い段階から学習を生活の一部にしておくことが成功の秘訣です」とお答えしています。

〈受験勉強〉となると、特別なことのように思われているかもしれません。中学受験に挑戦する受験生の一般的なイメージとしては、観たいテレビ番組も観ず、遊びたい心と格闘し、眠い目をこすりながら遅くまで机に向かい、無表情に塾へ通うそんなイメージが根強いものと思われます。むろん受験期となれば遅くまで学習することも十分にあり得ることですが、実際に能開センターで難関校合格を勝ち取っていく子どもたちには、おしなべてそのようなイメージとは相反する現実があります。彼らは「自分はこのテーマが好きだ」「これが勉強したい」というものを明確にもっていて、受験期の長時間授業にも、嬉々とした表情で参加しています。必要な睡眠時間もとり、学校でも休み時間は運動場を走り回っている好奇心が旺盛でハツラツとした子どもたちが合格を勝ち取っているのです。

受験に成功する子どもたちは、学習に対して「苦しいもの」という印象をあまりもっておらず、むしろ「楽しいもの」「やればできるもの」と思っています。いわば学習が生活や遊びの一部に溶け込んでいる状態なのです。彼らにとって勉強は「やればできる」ものであり、「最初はできなくても、頑張れば必ずできるようになる」という素朴な自信に裏打ちされたものになっているのです。潜在的に自分自身の力を信じることができているともいえましょう。
このように〈学習〉を生活や遊びの一部にして取り組んでいくという姿勢をつくり上げることができればよいわけで、それに勝る受験準備は他にないのです。私たち能開センターでは、低学年期だからこそ、〈学習〉を生活や遊びの一部にすることができるのではないかと考えています。

低学年期の学習に最も大切な
ものは達成感

小学1年生から2年生にかけての時期は、どうしても直感的な捉え方・考え方になりがちで、あまり先々のことまで見通しが立っているわけではありません。むしろ、子どもたちには〈現在〉しかないのではないかといえるほど、その時その時が楽しいか、楽しくないかで、さまざまなことが決まっていきます。そして、どんなことでも「楽しいこと」でなければ生活の一部になりません。

したがって、低学年での学習でまず大切なことは、一つ一つの課題に対して関心をもたせることです。一言でいうと、動機づけです。何が面白いのか、何が興味深いのかそれをどんなことがあっても深める必要があります。子どもたちは生活の中でさまざまなことを見聞きし、さまざまなことに触れたりしますが、それらに対する興味や関心は、「どうしてだろう?」「面白いね」などと周囲が盛り立てることで、もっと大きな関心になったり面白いものになります。興味が膨らんだり高まっていくのです。そして、それを見たり聞いたり思ったりすると、楽しくワクワクしてくるようなものである、興味づけや動機づけがまず一番に大切なものといえるのです。子どもたちは関心がなければ、どんなことでも自分からすすんで取り組みません。

低学年での学習で二番目に大切なことは、できることが楽しいということです。そのためには達成感をもたせて成果を実感させることが必要です。「わかった→できた→楽しい」というこの体験を数多くさせることで、学習は楽しいものとなり、課題を克服するという成功体験が本物の自信となり、次もまた頑張ろうという気持ちにつながるわけです。これも動機づけです。

そして「やればできる」という言葉での励ましよりも、「やったからできた」という実体験の方が何倍もやる気と自信につながります。一度やってできなくても、繰り返せば必ずできるようになるそういう実体験を繰り返し経験させることが大切なのです。
もちろん「できなかった」場合、第一歩で自信をなくすという恐れはあります。そのようなリスクはつきまといますが、低学年期の子どもたちにとっては、課題が解ければ、それ自体が何よりもうれしいと実感できるものなのです。友だちより遅れて問題が解けたとしてもです。だから、「できなかった」課題に遭遇した場合、一段階平易な課題に翻案して与え、それを克服させるという方向に導きます。どんな場合でもできたという達成感をもたせることが重要だからです。

2.成功体験の繰り返しを通じて、基礎学力を育成する

どのような勉強をさせておけばいいかというご質問には、私たちは「何よりもまず基礎学力の養成です」とお答えしています。基礎学力とは計算力・量概念・語彙力です。基礎学力の養成と、そのために不可欠な反復学習との関係を具体的に述べると、次の通りです。

計算の反復学習はこんなにも
大切

先ほど、低学年期は学習を楽しいものとして印象づけやすく、生活や遊びの一部にして取り組める時期であると述べました。ところが、中学年期~高学年期になると、徐々にそうはいかなくなるのです。習得するのにそれなりの訓練や期間を要するようなハードな単元が増えてくるのです。だから、「わかった→できた→楽しい」という三段階体験を経ないで受験プロセスに入ってしまう場合、「苦しい」という印象の方が先行してしまいます。
そうならないためにも、低学年では「わかった→できた→楽しい」というこの三段階体験を繰り返し体験させ、学習姿勢を養いながら基礎学力を習得していくのが一番よいのです。

まず計算力ですが、練習は毎日取り組むことが大切です。「何だ、計算か」と思われるかもしれませんが、きわめて重要な意味をもっています。計算とは一つの言語だと考えてください。スラスラと話せる状態、それは計算が苦にならない状態です。計算にストレスを感じない状態になれば、何度でもやり直すことも苦にならず、算数問題が立式・図化にウェイトを置いた〈思考の時間〉となるのです。そうなるためには英語や日本語の習得同様、毎日毎日の計算レッスンが不可欠です。逆に、スラスラと話せない場合、文章題1問を解くにも、長い時間を要し、また解きなおすのにも一苦労です。ここから算数嫌いが始まります。
1問ずつの正解・不正解がはっきりと短時間でわかる計算問題を毎日やることで、達成感をもたせながら集中力を鍛えていくことができるのです。基礎学力の習得は姿勢づくりと一体化しているのです。

そして、その計算力についていえば、きちんと筆算ができることは当然であり、しかもそれに満足することなく、それ以上に、何の暗算ができるかということの方が重要だと考えます。暗算は実用的意味で大きな武器になるからです。一例として、2けたと1けたのたし算・ひき算を暗算できる計算力が2年生で備わっていないと、3年生で学習するかけ算の筆算・わり算の筆算の習得に時間がかかってしまうのです。だから、私たち能開センターでは、筆算に裏づけられた暗算力が必要と考えています。

ここで、計算力について誤解を与えないように付け加えておきますが、計算力は算数力上達の必要条件の一つでしかありませんから、計算が上達したからといって算数はもう大丈夫ということには決してなりません。計算とは、数量を活用した思考力自体ではないからです。計算は一つの言語のようなものだといいましたが、その言語を活用してどのようなことを表現するのかという意味での表現力や思考力はまた別の訓練が必要なものなのです。

操作方法だけでなく、体感から感覚も身につける学習

低学年期に身につけなければならないのは、計算力だけではありません。この時期に身につけなければならないことは他にも数多くあり、その一つが量の感覚です。
私たちの身のまわりには、さまざまな量の単位があります。家族の人数、鉛筆の本数、本の冊数、身長や体重、時間や水のかさなどです。では、単位をどのように学習すれば、量の概念を確実に身につけることができるのでしょうか。

長さの単位を例にします。もし、実際の長さを体感させない学習であれば、単なる操作だけを教え込む詰め込み学習になります。しかし、両手を広げさせて1mを体感させ、筆箱の中の定規で1cmや10cmを知り、ノートや机の幅を測らせ、その上で「長さ」の単位換算の学習をすることは生活力に直結する生きた学習になります。「長さ」だけでなく、「重さ」や「かさ」も同様です。1lの牛乳パックに実際にどれくらいの水が入るか体感してみることや、10円玉の重さは何gか、500円玉は何gかを体感するなど、周囲に手伝ってもらいながら、体感にもとづいた量の概念をしっかり獲得していくテキストの問題だけに頼らない学習こそ低学年期に必要な学習だといえます。

量感覚を正しく身につけることで、実体験できないことの想像力や、具体的な説明を盛り込んだ豊かな表現力に差がつきます。
たとえば、象の体重を聞いて驚嘆できるかどうか、高く険しい雪山を登る物語や記録文を読んでスリルを感じ取れるかどうか、見学してきた工場の大きさ・広さを聞き手に分かりやすく伝えることができるかどうか・・・・・・同じ場所にいて同じものを目の前にしていても、量感覚を正しく身につけた子にとっては貴重な学習動機となりますが、正しく身につけていない子にとってはその機会を得ることはありません。
つまり、正しい量感覚を身につけることは、身の回りに存在するあらゆる学習機会を活かし、新しい知識・高度な考え方を身につけていく上での必要条件なのです。

ことばは思考のツール、豊富な語彙量が深い思考と抽象理解へ

ことばというのは、言うまでもなく重要なコミュニケーションツールです。しかし、多様な生活様式や価値観、豊富な情報に取り巻かれているにも関わらず、子どもたちのボキャブラリーは低下し、自分の思いや考えをうまく伝えられなかったり、相手の話す内容を正確に理解できなかったりして、十分なコミュニケーションを図れない状況が社会問題にもなっています。

学習も、まずは「ことば」を通じて行います。読んだり聞いたりすることから新しい知識に触れ習得していく過程では、常にことばをつかって思考しています。ところが、使用できる語彙量が少ないと提示されている事柄を十分にイメージできず、具体的に見える形で示されないと理解できない、という視覚頼りの思考から脱却できないままになるのです。しかも、進級するにつれ、見える形に表しようのない抽象的な事柄を学習する機会は増えていきますので、ますます理解できないことが増えていくのです。

思考のツールとなる語彙量を増やしていくためには、豊富な読書体験は欠かせません。しかし、ただ漫然と読書をしても、思考のツールとしてのレベルの語彙力として身につきません。ただ知っているという理解語彙と、そのことばを使って表現できる使用語彙とはレベルが違うのです。
思考のツールとしての語彙量・語彙力を高めるためには、気持ちを表すことばや情景描写に使われていることばへの注目や抽出など、目的を持ってことばに向き合うことが大切です。そして、子どもたちが言おうとしていることを、周囲の大人が「それを○○というのです」と付け加え、実際に使用させて、新しいことばを扱う楽しみを継続的に与えていくことが重要なのです。

反復の過程では必ず「待つ」

「学習を進める力」とは一言で表すと「学ぼう」という気持ちであると考えます。一度やってわからなくても、何度も繰り返せばわかるようになるという実体験が、新しいことを学ぶときに何よりも大切な姿勢につながるのです。
いくら叱ったり怒鳴ったりしたところで、子どもたちに「学ぼう」という気持ちがないと学ぶことはできません。できるまで待ち、少しできたら褒め、また待って、少しできたら褒めるこの繰り返しです。
こうして粘り強く学習し身につけることが生活の一部になれば、将来自ら学ぶ姿勢で圧倒的な優位性を示してくれるでしょう。低学年期のうちに長期にわたって学習を推進していく力をしっかりと備えさせることが最も大切なことなのです。

年間スケジュール

  • 保護者対象行事
  • 公開テスト
  • 内部テスト、行事
小1・2
2月
  • 新年度ゼミスタート
    (小2)
  • 難関私立中学入試分析会
3月
春期講習
4月
  • 新年度ゼミスタート
    (小1)
  • 難関私立中学入試分析会
    ≪第二弾≫
  • 到達度テスト(小2)
5月
  • 第1回学力・思考力診断テスト
6月
  • 個別保護者懇談会
  • 私立中学教育講演会
  • 到達度テスト
7月
  • 私立中学教育講演会
夏期講習
9月
  • 私立中学入試セミナー
  • 個別保護者懇談会
  • 到達度テスト
10月
  • 第2回学力・思考力診断テスト
11月
  • 次学年指導
    システム説明会
  • 最難関S模試
  • 到達度テスト
12月
  • 個別保護者懇談会
冬期講習
1月
  • 到達度テスト
2月
  • 新年度ゼミスタート
    (新小2・新小3)
  • ※事情により一部変更させていただく場合がございます。