2019入試Web特別報告会② 四天王寺プロジェクトリーダーが語る合格への道標

記事の日付:2019/05/16

この記事は 2019年05月16日 に書かれたものです。
現在は状況が異なる可能性があります。

 

『大阪星光学院中・四天王寺中にやっぱり強い能開センターの秘密』
四天王寺プロジェクトリーダー:藤井 亜貴子

2019入試Web特別報告会 プロジェクトリーダーが語る合格への道標

大阪星光学院中・四天王寺中にやっぱり強い能開センターの秘密

 2019年の大阪星光学院中入試で「82名合格」を達成した能開センター。これを牽引してきたのが能開の「大阪星光プロジェクト」です。また、「四天王寺プロジェクト」が牽引する四天王寺中入試の合格者数は過去最高の「118名合格」を達成しました。今回はこの2プロジェクトのリーダーによる「2019入試Web特別報告会」をお届けします(本内容は3月21日に実施されました「入試報告会」に基づいています)。

大阪星光プロジェクトリーダー

大阪星光プロジェクトリーダー

岸本裕貴

天王寺校における志望校別クラスで熱烈指導の傍ら、スーパー講師中学受験映像講座「Web難関中直前対策 大阪星光学院 算数」講師も務める。男子難関校への受験・算数指導に精通。

四天王寺プロジェクトリーダー

四天王寺プロジェクトリーダー

藤井亜貴子

志望校別日曜実戦・四天王寺クラス(天王寺校実施の女子受験生専用講座)の責任者及び国語担当を務める。女子を知り尽くした厳しくも優しい受験・国語指導のエキスパートとして定評あり。

四天王寺プロジェクトリーダーが語る合格への道標

藤井

 こんにちは。能開センター四天王寺プロジェクトの藤井です。振り返りますと、2011年に志望校別クラスとして「四天王寺クラス」が誕生し、翌2012年には「四天王寺プロジェクト」が正式に始動しましたが、その頃の能開生合格者は50名ほどでした。

 あれから7年、この2019年入試においては過去最高の合格者「118名」を数えるに至りました。この2倍以上になった合格者は、私たち能開センターが真剣に女子受験生と向き合ってきたことの賜物と自負しております。では、本年度の四天王寺中入試と、プロジェクトの成果や取り組みについてご報告いたします。

受験者数が大幅増加、大阪ナンバーワン女子校の復権

 最初に、ここ5か年の「受験者動向」(図1)をご覧ください。

図1<図1>

 赤が受験者数、青が合格者数、水色の折れ線グラフが実質倍率です。左側が3コース全体の動向で、3科受験ができるアラカルト方式を導入した2018年から受験者数がグンと増加し、今年最多となったことが見て取れます。大阪ナンバーワン女子校の復権の趣です。受験者数につれて合格者数も増え、倍率は2018、2019年とも1.3と安定しています。

 ただし、右側の医志コース、これは2014年設置の国公立大学医学部医学科をめざす人気コースですが、それだけを取り出したグラフを見れば、ほぼ6倍以上という大変な高倍率です。もともと理系に強いとの定評がありますが、近ごろは京都大学や大阪大学の医学部体験ツアー、総合病院の見学ツアー、また現役医師によるOG講演会の実施など、進学キャリア指導にもますます磨きがかかっています。

英数コースはバランス良く、医志コースはさらに算理を積み上げる

 次に、2019年の入試結果、科目別・コース別合格者平均点です(図2)。

図2<図2>

 なお、コース別合格者平均点は能開センターの推定値であることをお断りしておきます。下から上へ、紺が不合格者で、青が英数Ⅰ、赤が英数Ⅱ、緑が医志の各コース合格者平均点です。赤色中にある菱形マークは学校発表の科目別の受験者平均点で、学校の想定平均点は社会が4科重視もあって7割、他は6割です。その社会の平均点は7割ピッタリの56点でした。
 4科受験での合格率は81.6%、3科受験での合格率は60.8%で、4科が有利に見えますが、能開生の3科での合格率はこの4科の数字とほぼ変わりません。従って、能開生は自分の特性に応じた受験スタイルで問題ありません。

 コースごとの合格ポイントを申し上げます。まず、どのコースでも社会は7割キープが必要です。その上で、残る3科目はバランス良く積み上げます。英数Ⅰ、英数Ⅱの各コースで3科目とも10点ほどずつ積み上がっていることがよくわかります。算数で言えば、1問約7点ですので、2問ほどずつの差です。そして最後の医志コースになりますと、もう国語では差がつきにくく、算数・理科での勝負となったことがわかります。

クラス目標を超える医志コースにも合格可能な学力をつける

 もう一度まとめますと、英数Ⅰ、英数Ⅱコースはバランスの取れた学力、医志コースはさらに高い算理の学力が必要ということになります。能開生は2019年、医志コースに20名、英数Ⅱコースに45名、英数Ⅰコースに53名がそれぞれ合格を果たしてくれました。
 能開センターでは、医志コース合格を目標とするのはより上位となる、もう一つの女子クラス「S女子最難関クラス」なのですが、毎年「四天王寺クラス」から“越境”して医志コースに合格してくれる女子が出ます。今年は2名がそうでした。四天王寺クラスでそれだけの高い学力が十分培えている証だと思います。

 四天王寺中を受験した能開生の成績がこちらです(図3)。

図3<図3>

 色別に各コース受験者偏差値、菱形マークが平均値です。大まかに言いますと、偏差値50が英数Ⅰ、55が英数Ⅱ、60が医志コースの受験ラインです。4科目中で国語の偏差値が一番高くなっているのは、この数字が男女合わせた偏差値で、女子は国語が得意なせいです。入試合格への目標点で言いますと、英数Ⅰで60%、英数Ⅱで70%、医志で80%となります。

入試と同じ「女子の戦い」の中で学力を切磋琢磨する

 では、四天王寺プロジェクトが能開生の合格のためにどのように取り組んでいるのかを紹介させていただきます。こちらが主な活動スケジュールです(図4)。中でも赤字は女子専用のイベントや講座です。

図4<図4>

 全校一斉集合の「集結特訓」、各種「志望校別模試」、後期「日曜実戦」と、受験生である6年生が中心となりますが、春には4・5年生対象の「四天王寺中チャレンジテスト」も実施します。しかも四天王寺中学校の校舎をテスト会場にお借りしてです。学校の雰囲気が肌で感じ取れます。なお、6年生の模試も四天王寺中学校を会場として実施の回を持ち、その場合はまさに完璧な入試シミュレーションの機会となります。

 プロジェクト活動の主体となる「四天王寺クラス」は、後期日曜実戦の「志望校別クラス」の一つとして実施します。従来2クラス編成でしたが、伸びていく指導実績をご評価いただいて、2018年は初めて3クラス編成となりました。
 四天王寺クラスの最大意義は、入試と同じく女子ライバルたちの中で存分に力を切磋琢磨できるということです。女子校入試はもちろん女子同士の戦いですが、共学校入試でも男女枠があります。そういう中で、たとえば女子はよく「自分は国語が強く、理科が弱い」と思っていますが、実はこれは女子の一般的な傾向です。必ずしも自分の国語は武器ではなく、理科は弱点ではないかもしれないのです。
 つまり、「女子の戦いの中で、自分の正しい位置を知り、自分の特性を生かしてどう戦うか」で合否が決まるということなのです。四天王寺クラスではそこをしっかりとじっくりと追求していきます。

合格最適化した専用教材、ランキング掲示による合格発表

 四天王寺クラスの教材は、合格に向け特化した「専用教材」です。しかも最新入試はもちろん、毎回のクラス成績状況も分析しながら、内容を常に合格最適化のためにアップデートしています(図5)。

図5<図5>

 昨年は秋に四天王寺中学校で入試説明会が開催され、大変参考になる詳細な説明がありました。私たちは早速ここでの発表を踏まえて教材を再整備し、入試に臨みました。

 日曜実戦での成績結果は、毎回「ランキング」として掲示しています(図6)。

図6<図6>

ここには3本のライン、すなわち英数Ⅰ・英数Ⅱ・医志コースの合否ラインが引いてあります。そのつど、「合格発表」なのです。ランキング掲示を前にして一喜一憂があるのですが、ここで女子だけの中での自分の位置を厳しくも明確に知り、次への発奮の材料とします。

「勝ちパターン」を探り、女子一人ひとりに合格まで寄り添う

 そして個人別には「成績表」を返却します(図7)。

図7<図7>

 日曜実戦だけでなく、集結特訓や志望校別模試での成績も一覧化し、各回の合否、科目別の成績推移を「見える化」します。四天王寺中入試で重要な科目バランスはどうか? 今回の合否を分けた大きな要因は? 自分の特性は何か? などと分析し、自分に最適な自分だけの「勝ちパターン」を探り、一人ひとりを合格プロデュースしていきます。

 最後に「四天王寺クラスダイアリー」です(図8)。

図8<図8>

これは日曜実戦の一回一回を余さずていねいに次に活かすため、毎回自分自身を振り返り、自己客観化、自己反省するツールです。この末尾には、女子クラスならではの「相談コーナー」を設けており、言わば「交換日記」として活用しています。

 以上のように、私たち四天王寺プロジェクトは、女子の科目特性から心情まで十分に理解した上で徹底した合格指導を行います。入試当日、会場にすべての能開生が凛とした受験生として入場できるまで決して妥協することなく、一人ひとりに寄り添った指導と応援をし続けます。ご期待ください。