頂への道・国語編~後編~
この記事は 2019年06月18日 に書かれたものです。
現在は状況が異なる可能性があります。
『最難関中学受験には正しい方法での国語学習が大切』
最難関選抜Sαクラス国語担当・国語科主任:上野 誠一
「わかっていたんだけど」を超えていく正しい国語学習法
ここまでを踏まえて、日々の「正しい国語学習法」をまとめます。
「直し」を中心にお話ししましょう。
まず、漢字、ことわざ、慣用句などの「語彙」学習についてです。
①.問題を解く際は、問いを含んだ短文全体をしっかりと理解した上で解答すること。たとえば漢字の書き取りで、同音異義語は文の中で判別できます。
②.答え合わせは「間違えているところを探すこと」が一番の目的。「間違ってはいけない」では、かえっていい加減な学習になります。学習の目的は「満点」ではなく、語句の正しい理解とマスターです。
③.直しは「短文全体1回、漢字・語句部分3回」の反復練習を、答え合わせのすぐ後に行います。必ず「書いて」直しをすること。目で見るだけではいけません。
「読解」問題では、何度も申し上げておりますが、「どんな間違いをしたか」の経験をきちんと蓄積していくことが「解答作成力」を向上させる唯一の方法だとご認識ください。
①.返却されたテストを復習するときは、いきなり設問に進むのではなく、必ずまず文章を再読します。そして「どんなことを伝えたい文章か」を説明します。
②.間違った問題は、正答が文章のどこにあったかを見つけて色ペンでマーキングします。そしてその正答と設問部分(傍線部)とのつながり方を説明します。
③.さらに自分の答えには何が足りなかったのかを説明します。記述問題なら、比較的わかりやすいですね。選択肢問題なら、選んだもののどこがどう正しくなかったのかを確認します。抜き出し問題なら、なぜそのことばなのかを考えます。
以上を、4年生までなら口頭で説明させます。5年生からは自分でノートにまとめさせます。「頭ではわかっていたんだけど…」を具体的に超えていかなければなりません。「何となく」を「ことばにする」こと、読解の言わば「見える化」が国語学習の質を転換させる重要ポイントです。「なぜ?」「どうして?」にこだわること、こつこつと頑張りを積み上げていくことが大切です。
各学年トップクラスで指導する私の授業での重点とねらい
本日の締めくくりに「トップ集団の授業でめざすもの」ということで、各学年を実際に担当していますので、授業での重点とねらいをお話しします。
3年生:語彙でも読解でも本当の基礎固めを
まず、基礎固めとなる3年生では、他学年同様、「漢字」「語句」「読解」の3種のテキストを使います。漢字など語彙学習ではできるだけ豊かにことばに触れさせます。あることばが登場すれば、その反対語や類義語、部首違いの漢字、同音異義語、似ているのに別の意味の漢字やことばなどを、できるだけセットにして教えます。それを書き写せばそれだけでノートがいっぱいになるくらいに(笑)。
一方、文章読解ではノートに整理するより、テキストの文章そのものへのマーキングを3年生では重視しています。特に「接続語」「指示語」についてです。子どもたちはそれらを知識としては知っています。しかし、文章の中で実際にどのように働いているのか、運用されているかについてはまだまだ未熟なのです。ある接続語が登場したところでテキストを伏せさせて、「次はどうなる?」とその後の展開を予想、想像させることもあります。文章を読んだ後は、「何の話だった?」と問いかけます。感想ではありません。主題なり要旨なりを答えさせます。このように、3年生では「なぜ?」「どうして?」と聞いてあげ、考えさせることが大事だと考えています。
4年生:本格学習に向けて受験型の学習意識への転換
4年生です。受験につながる学習もさることながら、この学年は学校型から受験型の学習意識へと切り替えていく大事な転換期です。そのターニングポイントとなるのは自分の間違いに対する意識です。早くから学習を始めた子ほど、「満点が当たり前、ほめられたい。間違いはダメ、恥ずかしいこと」と思っています。しかし受験学習に向けては、この意識・感覚を脱することが必要です。
だから、授業ではだれかの間違いを、どうして間違えたのか、みんなで考えさせます。こういう中で「僕も同じ間違いをした」「私もだ」と、エラーした理由を共有できるようになります。だれでも間違うことはある、恥ずかしいことではない。なぜ間違ったかを考え、次には間違わないようにすることが大事だと思えたら、次の段階への準備が整ったことになります。
5年生:頭でっかちにならず自分の甘さを捨て妥協なく進む
5年生は論理的に物事を考えられるようになる時期です。理屈を言うようにもなります。納得しなければ動かないこともあります。5年生で私が心がけているのは「自己否定させない」ということです。つい「どうせできない」「どうせ無理だ」と頭でっかちになってしまうのです。ここでこそ「なぜ間違えたのか?」「どうしてそうなのか?」を冷静に分析して、1つひとつ解決していくことが必要です。自分を全否定しないで前進することが重要なのです。
このような十分な配慮の上、国語力を本格的、徹底的に鍛え上げていくのが5年生です。自分の甘さを捨て妥協なく文章そのものに向き合い読み解き、過不足なく文章で記述したり解答したりする。その心・技・体をトータルに練り上げます。読解と解答の方法論はあります。あとは間違いを恐れずに逃げずに挑戦し続けることだけです。自分を信じることです。
6年生:最難関合格に向けて「失敗」を「成功」に変えていく
6年生は、以上のことの集大成になります。ひとことで言うと、「失敗」を「成功」に変え続ける学年です。失敗や間違いは理由がわかり、対策をきちんと続ければ、必ず改善できます。間違いは正解に、減点は得点へと変わります。そのためには、きちんと頭を使って、「論理的に読む・解く」を続けることに尽きます。
確かにめざす最難関レベルの国語はやさしくはありません。それでも失敗を成功に変えていくプロセスは同じです。その経験をくり返し積むことが最終的な成功へとつながります。その困難を、私たち、そして仲間たちといっしょに乗り越えていくのが最難関クラスだと考えています。お任せください。