2017入試Web特別報告会② 四天王寺プロジェクトリーダーが語る合格への道標

記事の日付:2017/04/13

この記事は 2017年04月13日 に書かれたものです。
現在は状況が異なる可能性があります。

 

『大阪星光学院中・四天王寺中をめざすなら やっぱり能開センター』
四天王寺プロジェクトリーダー:藤井亜貴子

2017入試Web特別報告会 プロジェクトリーダーが語る合格への道標

大阪星光学院中 四天王寺中をめざすなら
やっぱり能開センター

 2017年の大阪星光学院中入試で塾別合格者数ナンバーワンを達成した能開センター。これを牽引してきたのが能開の「星光・西大和プロジェクト」です。また、同「四天王寺プロジェクト」が牽引する四天王寺中入試の合格者数は3年連続で過去最高を更新中です。今回はこの2プロジェクトのリーダーによる「2017入試Web特別報告会」をお届けします(なお、本内容は3月20日に実施されました「入試報告会」に基づいています)。

岸本裕貴

星光・西大和プロジェクトリーダー

岸本裕貴

算数科副主任等を歴任。直接指導の傍ら、スーパー講師中学受験映像講座「Web難関中直前対策 大阪星光学院 算数」講師も務める。男子難関校への受験・算数指導に精通し、入試速報会・分析会では算数科を代表しての報告者に連年指名される。

藤井亜貴子

四天王寺プロジェクトリーダー

藤井亜貴子

志望校別日曜実戦・四天王寺クラス(天王寺校実施の女子受験生専門指導講座)の責任者及び国語担当を務め、女子難関校の入試速報会・分析会では国語科を代表しての報告者に連年指名される。女子を知り尽くした厳しくも優しい受験・国語指導のエキスパートとして定評あり。

四天王寺プロジェクトリーダーが語る合格への道標

競争率が低減しても医志コースが最難関の理由とは?

 こんにちは。四天王寺プロジェクトの藤井です。今年も能開センターの女の子たちは大変がんばってくれました。その中で、大阪トップの女子校・四天王寺中には、医志コース10名、英数コース38名、英数コース29名の計77名が合格してくれました。これで3年連続の過去最高実績の更新となります。
今日は、2017年四天王寺中入試の実態、および四天王寺プロジェクトの取り組みについてご報告させていただきます。

 今年の四天王寺中入試はどうだったのか、まず四天王寺を受験した能開女子はどんな併願作戦を取ったのかを確認します。

 <図1>をご覧ください。

 四天王寺中入試は統一入試の初日午前でしたが、そのうち約2割は午後に奈良の帝塚山を受験。2日目には四天王寺受験者のほぼ半分が清風南海を、約2割が午後の西大和学園を受験。さらに3日目の帝塚山を約3割が、4日目の清風南海を同じく約3割が受験しています。上位の女の子たちはほぼこういうパターンでした。

 ただし、今年はこうだったから来年も…という保証はどこにもありません。中学入試では、毎年いずれかの学校で日程や内容など何らかの変更があるのが常です。だから併願作戦も毎年変わるのです。実際、四天王寺も今年から「面接が廃止」となりました。これにより午後入試の併願がしやすくなり、たとえば、そのポジションに西大和学園の「21世紀型特色入試」が新設されています。

 さらに来年2018年の四天王寺では、これまで4科必須だった入試に、ついに「3・4科アラカルト」が導入されます。初めて3科受験が可能となるのです。これは注目の大変化です。

 2017年の受験者動向を見てみましょう。

 <図2>のように、受験者数が減りましたが合格者数は変わりませんでしたので、結果、競争率が前年の1.4倍から1.2倍に下がりました。これは共学化された高槻中学校が同日程入試となり、女子受験生がそちらへ多く流れたためと推測されます。両校に共通するのは医学部志向です。

 四天王寺では医志コースも競争率はダウンしましたが、それでも5.4倍と非常に高い数値です。これに関連して、速報でお伝えしますが、2017年大学入試で四天王寺から国公立大学医学部医学科に40名(うち現役22名)が前期試験で合格しています。例年、四天王寺は前後期で約50名の合格者を輩出します。そして、さらにこれに私立大学の医学部合格者が加わるのです。

医志コース合格の決め手は? 四天王寺に合格するためには?

 2017年入試そのものに迫っていきます。

<図3>はここ4年間の受験者平均点です。合計点をご覧ください。昨年までは200点を大きく上回っていますが、今年はなんと200点にさえ届きませんでした。

 わかりやすいようにパーセント表示に直した表が<図4>です。

合計点で約6割だったのが、2017年は5割を切る入試となりました。科目別には、算数4割、国語だけ例年と変わらず6割、理社は5割でした。

 さらに詳しく見ていきます。

<図5>で示しましたのは、各科目のコース別平均点(ただし、各コースの合格者平均点は能開センターの推定)です。下から紺色が不合格者、青色が英数合格者、赤色が英数合格者、緑色が医志合格者の平均点で、各グラフ上方のピンク色の★印は合格者最高点です。受験者平均点は点線でつないだ○印で表していて、今年は赤色のゾーン中にありますが、例年はほぼ青色と赤色の境目、つまり英数合格者平均点付近にあります。これは、今年は英数より英数の合格者の方が多くなったことによるものです。

 このグラフからわかることの1つは、医志コース合格にはやはり算数と理科に相当の力が必要だということです。英数との差が算数で22点、理科で9点あります。また、合格者最高点と受験者平均点の差でも算数が一番大きく、得意な人にとっては算数で稼げる入試だったことを示しています。一方の国語ですが、受験者平均点自体が高得点です。国語が得意であることが言わばあたり前の入試であり、国語では点差が開かないことを示しています。

 また、青色の合否分岐ゾーンのところでは、算数で11点、理科で7点と差がありますが、文系科目の国語でも11点、社会でも6点と同等の差があります。つまり、四天王寺合格には理系科目を伸ばす一方で、文系科目をしっかりと固めておくことを忘れてはならないことが読み取れます。

四天王寺クラス女子の今年のがんばりと来年に向けて

 能開女子にとって、四天王寺はどんな入試だったのかをお話しします。2017年の実績については初めに申し上げました。そのうち医志コース合格者は10名でしたが、彼女たちはすべて後期開講の「日曜実戦・志望校別クラス」で、「αクラス」「女子最難関クラス」「四天王寺クラス」のいずれかの受講生でした。それぞれ受講資格要件があります。

 四天王寺クラスは四天王寺プロジェクトが直接コントロールするクラスです。2クラス編成で、Aクラスが英数、Bクラスが英数コース合格をめざします。医志コースは女子最難関クラスからめざすのが基本形です。ところが、四天王寺クラスで学力が資格判定時より大きく伸びて、医志コースや西大和学園に合格する子たちが毎年出ます。うれしい結果です。コツコツがんばる子が多い四天王寺クラスから四天王寺中へは、一定の偏差値まできれいに100%合格できています。

 今年四天王寺を受験した子たちが、能開センターではどんな成績だったのかをご紹介します。入試直前3回(10・11・12月)の中学受験公開模試の平均偏差値でご説明していきます。医志コース合格者は算数・国語・理科の偏差値がほぼ一定ラインに並んでいて、社会だけ少し下です。例年、だいたいこんな感じです。

 <図6>は、コース別合格者間の偏差値の差異だけを表にしたものです。左はしの医志と英数とでは、算数と理科に偏差値6ポイント前後の開きがあります。英数合格者は、算理では医志合格者に及びませんが、国語でならほぼ並んでいます。興味深いことは、英数での最大の差は国語なのです。これは国語はできるけれど、算理の高い壁で医志へのアップをはばまれている状態の子たちが引き上げています。

 右はしの合否分岐では、例年は算国が逆でまず算数で差がつきますが、今年はお話しした通りの状況でしたので、例年通りだった国語での差が前に出ることになりました。いずれにせよ、4科ともそれぞれ5~7ポイント前後あります。これが四天王寺です。4科をバランスよく力をつけていくことがとても重要なのです。医志と英数コースとの合格者の差異もここにあります。

 では、まとめます。来年入試は今年と同じことにはならず、例年通りに復するものと想定されます。すると合格ラインは、英数で6割、英数で7割、医志コースで8割です。医志コース合格には最難関レベルの算理の力が必要です。国語はどのコースでもハイレベルの戦いとなり、出題傾向に基づいた徹底した対策と訓練が欠かせません。理社については3科選択も可能となりますが、いずれにせよ合格には科目バランスが必須です。

 なお、能開センターは公開模試におきまして、それぞれのコースの合格可能性80%ライン偏差値をお示ししますが、これはあくまで「80%ライン」です。実際にはそこに届かずとも合格のチャンスはあります。ぜひ果敢に挑戦してもらいたいと思います。私たちが全力で指導、応援いたします。

女子特有の気持ちのフォローを含め、最後の最後まで応援

 四天王寺プロジェクトの取り組みのご説明に移ります。<図7>に主な動きをまとめました。

ご注目いただけたらと思いますのは、5月の4・5年生対象「四天王寺チャレンジテスト」と6年生対象「難関模試」、11月の「四天王寺模試」です。これらは四天王寺中学校を模試会場にお借りしての実施で、入試前に「本番会場」を実際に体感できる貴重な機会となります。奮ってご参加ください。

 そして8月末からの「志望校別日曜実戦」で、いよいよ四天王寺クラスが始まります。天王寺校のみでの実施です。昨年ですと60名ほど(2クラス合計)が在籍でした。女子専門指導クラスだということが大きなポイントです。女子校はもちろんですが、共学校でも入試は女子枠の中での戦いになります。たとえば、女子だけの中では得意な国語が、不得意な算数が違った位置づけに…。そんな自分のポジショニングの変化を含め、女子の中でどう戦えばいいかを身をもっての実戦で学んでいきます。

 日曜実戦・四天王寺クラスは全10回の講座となりますが、入試分析に基づき四天王寺入試に向けて特化した専用教材で演習と授業を進めます。演習結果は一人別小問別に徹底分析し、それに従って毎回改善指導を図っていきます。得点結果のランキングはコース別「合格発表」として教室掲示も行います。「ここまで○○コース合格、…そしてここからは不合格」と、スパッとラインを引きます。一回一回非情で厳しいようですが、これで以降の真剣さが変わってくるのです。

 各人へは個人別「成績表」をフィードバックします。ここに、日曜実戦だけでなく志望校別模試や集結特訓の結果を含めて一覧化、グラフ化していきます。4科バランスが良いのが一番ですが、たとえば「文系型だけど、このパターンで得点できたときには合格できる」など、自分だけの勝ちパターンを発見し探っていけるツールです。私たちも一人別に指導をコーディネートしていきます。

 女子専門指導の四天王寺クラスの特色としてあるのが、<図8>の「四天王寺クラスダイアリー」です。

毎回の結果をふり返り、客観的に自己分析していくツールです。下には、「お悩み相談」のコーナーも設けてあります。女子が抱きがちな不安がもしあれば書いてもらい、学習面ばかりでなく気持ちを含めたフォローアップを進め、このダイアリーを介して漏れのないコミュニケーションを図っていきます。言わば、交換日記です。

 このように、私たちは彼女たち一人ひとりに時に優しく、時に厳しく寄り添ってまいります。それは、四天王寺クラスの門をたたいてくれた時から、入試当日、四天王寺中学校の門をくぐる時までです。実際、それまでそんなそぶりも見せなかった子が入試会場に近づくその道で急に不安になってしまうことも毎年のようにあるのです。私たちはそのような事態まで常に想定しながら伴走してまいります。

 お約束します。四天王寺を、そして女子を知り尽くした私たちが能開女子を最後の最後まで指導し応援し、一人ひとりを凜とした受験生に育て上げ、それぞれが大輪の花を美しく咲かせてくれるよう力を尽くしますことを。