理科主任が語る“合格指南”

記事の日付:2016/07/21

この記事は 2016年07月21日 に書かれたものです。
現在は状況が異なる可能性があります。

 

2016夏・学年別 学習攻略ポイント
『夏を制する者は受験を制す』
理科主任 安川 善人

理科主任が語る“合格指南”

「夏を制する者は受験を制す」
2016夏・学年別 学習攻略ポイント 理科

 7月下旬から始まる子どもたちの“熱い夏”「夏期講習」「夏の集結特訓」に先立って、能開センターの科目主任にこの夏の学習攻略ポイントを学年別に語ってもらいました。また、能開の各科目の特長も聞きました。「夏を制する者は受験を制す」ともいいます。この夏を充実した時間にきっとしてください。

安川 善人

理科主任

安川 善人

2016夏・学年別 学習攻略ポイント

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小4理科

4年生は「夏休みだからこそできる親子での自然体験学習を!」

 4年生の「夏期講習」には理科がありません。でも1学期に教室で学んだ知識をそれだけで終わらせずに、この夏の期間を上手に使って、実際の自然の中などで学んだことを観たり触れたりする体験学習を強くお勧めします。林間や海浜だけでなく、博物館や水族館、科学館やプラネタリウムもお勧めですよ。夏休みだからこそできる自然体験は、お子さまだけでなくご家族にとっての宝物にきっとなります。

 1学期ゼミでは四季の自然のうち、春夏の動植物を学びました。子どもたちにとってカブトムシなどの虫は比較的身近なのですが、植物に関してはうといですね。特徴を知らずに植物を見ると、確かに区別がつきませんし…。ご家族でお出かけの機会などに、動植物についてここに注目すればいいよというポイント見た目だけでなく分類上のポイントもをいっしょに確認してあげると理解がグンと深まることでしょう。

 あと、星座の学習もしました。花火だけでなく、夏の夜空をいっしょに見上げてください。でも、天の川は残念ながら光害で都市部からはほとんど見えませんので、悪しからず。

 今後の予定を申し上げます。9月からは秋冬の自然を学ぶとともに、電気と電流、磁石のはたらきなどの物理分野に入っていきます。1学期ゼミでは、すでにものの溶け方や温まり方など化学分野を少しずつ学習し始めています。4年生ではこうして四季の自然とともに、理科の全重要テーマについての導入を進めていきます。

 理科が強い子になるには、興味、好奇心が一番です。そのためにはご家族の方がいっしょに自然現象に対して驚いてあげることです。「えーっ!」「すごい!」「なぜ?」、こんなことばへの共感を大切にしてください。

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小5理科

5年生は「この夏、本格的な理科の学習方法を身につけよう!」

安川

 5年生の夏は非常に重要です。「夏期講習」でのテーマ、「ばねとてこ」「溶解度」「太陽と月」は復習ですが、いずれも厳選したテーマです。単一的だった4年理科とは違い、思考問題であると同時に計算問題でもあるという複合的な構成をとり、これが入試につながる5年理科の形です。また、理科の学習スタイル、理科への取り組み方が決まるのがこの夏ですので、ユメユメおろそかにしてはなりません。

 面倒くさがりやの男子に多いのですが、理科と算数とは別物だと決めつけています。するとどうなるかといいますと、計算がおざなりになります。きちんと計算式を書かないからケアレスミスが起きやすい。それ以上に、どこでどう間違えたのか、計算ミスか思考ミスかも、後でトレースできないのが最大の難点です。このものぐさを直さないと、理科の得点は伸びていきません。

 理科という科目は、英語でサイエンス、つまり科学です。中学校以降は数学、小学校では算数を使いこなして答えを導き出す科目なのです。そういう意味で理科の問題というのは、入り口での思考が理科、中間の処理方法が算数で、出口で再び理科に戻ります。

 算数の解法にも通じますが、理科では自分の考えを、図に、表に、そして数字や文字に書き表すことが重要です。計算についても同様です。自分の思考を省略しないで、目に見えるように展開していくこと。これこそが理科の王道です。

 男子と断ってお話ししましたので、今度は女子についてもひとこと言っておきます。「思考と計算」の学習となった5年理科は、もっぱら「暗記」を得意としてきた女子にとっては“鬼門”となります。こういう女子に多いのは、宿題の問題を「考える」のではなく、「仕上げる」というタイプです。そんな子のノートはたいていカラフルです。

 学習の重心がずれているのです。思考に重点を置いてほしいと思います。是正するには、仕上がり=結果を気にせず、自分でわかるところまで解いていき、わからないところで立ち止まって質問することです。これは、「言われたからする学習」から「自分から求めていく学習」へと切り替えることを意味します。

 「夏期講習」のテーマは、たとえば「ばねとてこ」が力学の「力のつり合い」の学習であるように、それぞれ将来の物理、化学、天体につながっていく重要テーマばかりです。ここでの“成功体験”は、受験にはもちろん、さらには中学高校での理科にも好影響をもたらすことでしょう。  だから、この夏、私たち指導者と子どもたちの共通の目標は、男女とも子どもたちが理科学習の進め方について確かに前進できたという達成感を持つことです。そのためにがんばりたいと思います。

2016夏・学年別 学習攻略ポイント 小6理科

6年生は「解くスピードより問題への正しい対応力を磨こう!」

 受験まであと半年。ゼミではテーマ学習はすでに終わり、入試に向けてのローリング(巻き直し)学習に入っています。「夏期講習」では、入試頻出テーマの重要ポイントについて総整理と総演習を進めます。「夏は受験の天王山」ともいいます。学習量を増やして、秋以降の本格的な入試実戦演習に耐えうる実力を磨きます。

 ただ勘違いしてはならないことは、この段階で大事なことは問題を“解くスピードではない”ということです。制限時間を守りながらも、優先順位は一問一問へのアプローチの正しさ、精度、正確さです。そして一問一問との出合いを大切にし、一つひとつの正解を積み重ねていくことなのです。「一期一会」をもじっていえば「一問一会」です。スピードアップはあとで十分に間に合います。

 いま磨かなければならないのは、何を求める問題か、それを求めるには何が必要か、そのための条件を整理していく力です。計算があるなら数量関係も取り出します。具体的に言いますと、説明文から、数表から、また図やグラフから、必要な条件を引き出していける力です。

 新しい、初めての、未知の、さまざまな問題に出合うたび、当然、とまどい、苦しみ、もがきます。これが、いま必要な学びなのです。来るべき入試での、初見の問題への対応力がこうして培われ、養われていきます。

 次に、この「初見対応力」とセットで磨いていってほしいのが「アウトプット力」です。すなわち正解する力です。途中でミスをしない力ともいえます。特に、確認テストなど基本となるテストを大切にすることが大事です。ここでも「一問一会」です。せっかく解き方がわかっても計算ミスなどをして途中でつまずけば、得点とはなりません。持てる実力を最後まで発揮できる力がアウトプット力です。

 3つ目に、男子を中心に、知識整理について言っておきます。理科では知識も大事です。知識は思考の源だからです。学習計画には、知識を覚える時間をきちんと組み入れておきます。その際、短時間で集中して覚えるのがコツです。ただし、無機質に覚えればよいと考えるのは間違いですし、おもしろくもありません。

 理科は前にも言いましたように科学です。科学とは科学的方法で世界をとらえる学問です。そこには法則、規則、ルールがあり、因果でつながれています。「対照実験」と呼ばれる、条件の違いによる結果の対比は、その典型的な検証方法です。科学的知識も同様で、法則と因果の網目でつながれています。たとえば動植物の分類もそのような網目のうちにあるのです。共通のことと違うことを上手にチェックし、整理していきましょう。

入試逆転への秘策としての理科。そして能開の理科の特長

安川

 この7月から「志望校別模試」が始まります。結果が心配なのはわかるのですが、本当に大事なのはそれを受けて本番までに何をどうするかですね。そこで良いお話があります。理科をがんばることです。といいますのも、理科は自分の弱点テーマが明確になりやすい科目だからです。これは6年生に限った話ではありません。むしろ5年生にこそ聞いてほしい話です。

 理科はまず分野として物理、化学、生物、地学と分かれ、さらに細かいテーマへと細分化されています。テスト結果データの正答率を見れば、はっきりしていますね。自分はほかのみんなと比べてどのテーマが弱いか、つまりどのテーマが得点の足を引っぱっているのかがピンポイントでわかります。

 弱点テーマの問題では、集中力が極端に低下し、思考が空回りを起こしているはずです。どうすればよいか? 1つは思考の源である知識特に基本を増やすこと。知識のつながりをノートに整理します。もう1つは実験これも基本を理解すること。ノートにまとめ、そのテーマでの規則性や法則性を見つけます。この2つがきちんとできれば、そのテーマの基本問題は必ず解けるようになります。

 理科では、このように弱点をピンポイントで克服していくことが可能です。するとどうなるか? 平均以下の凹みがなくなり、反対に自分の強みが活きてきます。理科の得点がカバーされるだけでなく、3科や4科での合計点がまったく変わってきます。短期間で合否の形勢を急転回できる科目が理科なのです。がんばりがいのある科目が理科なのです。

 最後に、能開の理科の特長について少し。能開では、理科を「小学生の科学」として学びます。だから4年生では四季の動植物などの自然を一年の流れに沿って、また生活の中にもあふれる身近な自然現象を科学することから始めます。

 この興味づけをともなったトータルな導入を受け、5年生で本格的に理科を組織立てて学びます。そして6年生では学習内容をスパイラル(らせん状)に何重にも練り上げていき、入試に対応できると同時に、総合的な理科力、科学力が育つように構成してあります。

 それと、テキスト・テストなど教材が毎年の入試分析、また正答率分析に基づいて、全テーマがレベル別の合理的な編成となっているのは他科目と同様ですが、6年理科では今年度より知識の整理と定着のために『要点の確認』という冊子を用意しました。

 6年生はこの夏、この新ツールも十分活用しつつ、納得のいくまで先生にどんどん質問して、理科学習をやり尽くしてください。志望校合格をめざして、ともにがんばりましょう!

科目主任4人が語る“合格指南” 2016夏・学年別 学習攻略ポイント